宝登山〜春近し〜
実は昨年、モ●ベルのイベントの抽選で、宝登山ロープウェイの無料券が当たったのだ。
有効期限は無いみたいだけど、早めに使った方がいいだろう。どうせなら、宝登山の代名詞である蠟梅が咲いている時期に行こう、と2月中旬に設定した。
催玉県(仮)北部はほぼG県である。長瀞も北部なので、ほぼG県と言って間違いないであろう。距離的にも我が家から車で1時間半弱くらいで到着する。近い。
…催玉県(仮)民は「ほぼG県」であることに、どのような感情を抱いているのか知らないが、ホンモノのG県に住まう我々は催玉県(仮)北部を快く受け入れる用意がある!
学校の校歌に赤城山を歌う地域として、共に手を携えて世間の荒波に立ち向かって行こうではないか!
近いので、当日朝は8時出発。今回の同行は山の相棒ノムさんだ。
ただ宝登山に登るだけではつまらないので、長瀞アルプスから宝登山山頂を目指すルートを歩くことにする。
「…そのルートだと、ロープウェイ使わないのでは…?」とノムさんが気づく。
「…うむ。下りだけ使うってのはどうかな?券は往復券だけどね…。贅沢をしてみようよ」
とりあえず、行きは自分の足で歩く。
この山はロープウェイを使うと、ほぼ登らない、歩かないで山頂に到着できてしまう。
普段、ロープウェイは大好きなのだが、この山ではさすがにパスしてみた。
がらーんとした駐車場に車を駐める。料金は1日300円。安い。
駐車場のおじさんは私たちの服装を見て「神社だけなら、もっと安くするんだけど、山の人は長いから300円ね」と告げた。…ディスカウントできるくらい、閑古鳥が鳴いているのか、冬の長瀞駅前!
夏場はライン下りやら何やらで、かなりの賑わいぶりなのだろうが、寒い冬に来る人は少ないのか…。こたつ船でライン下り実施しているみたいだけど。
何かもの悲しい気持ちで駅へ向かう。
すると、意外や意外、駅前はたくさんの人であふれており、観光協会の人(?)が次々訪れるハイカー達を宝登山へと案内している。
そうか!大都会の人は車じゃなくて、電車で来るのか!
ほぼG県といえど、さすが催玉県(仮)。大都会に近いので、訪れる人も多いらしい。
観光協会の人(?)が田舎から訪れた私たちにも「宝登山ですか?」と優しく声を掛けてくれた。
ありがとうございます!
でも、私たちはここから一駅だけ電車に乗り、そこから宝登山を目指すので、今、案内はいらないのだ。
田舎者への優しさに対する感謝を胸に駅の改札をくぐる。
当然、自動改札なんてものはない。秩父鉄道はどローカル線。Suicaも使えないのだ。
10:00 野上駅到着。
ここも人で大賑わい。私たちと同じく長瀞アルプス経由で宝登山を目指す人はたくさんいるらしい。
しかし、こちらの駅は観光協会の人(?)はおらず、自らの力で目指す登山口までのルートを歩くことになる。
正直、人がたくさんいてくれてよかった…!
野上駅から登山口までは徒歩およそ20分程度だが、住宅地(いや、田舎道といった方が正しいか?)の一般道路を歩いて行くので、先を行く人々がいなかったら迷っていた可能性が高い。
長瀞駅前で地図貰ったけど、私もノムさんも地図は苦手だ。…登山する上で大切な能力が私たちには欠けている…。
「何事にも先達はあらまほしき事なり(by吉田兼好)」とつぶやきながら、迷うこと無く長瀞アルプス登山口である万福時に到着した。9:20。ありがとう、先達!
長瀞アルプスは、穏やかな樹林帯の道がほとんどで、眺望はあまりない。冬なので、木々の合間から少し景色が望める。
「アルプス」いうよりは「里山」という雰囲気だ。
道を行く人も多く、なんとなく、先日登った太田金山を思い出した。ただ、太田金山は地元民がほぼすべてなのに対し、長瀞アルプスは大都会民が大勢を占めている点が大きく異なる。うーむ、さすが催玉(仮)。
「神まわり分岐」「天狗山分岐」「氷池分岐」をてくてくと超える。
四角友里「山登り12ヶ月」によると、この氷池から秩父名物天然氷が切り出されるそうだ。冬に切り出しておいた氷で、夏にかき氷を食べる。贅沢の極みである。
清少納言も枕草子で、甘蔓をかけた削り氷は上品なもの、なんて言っていたらしい。平安の昔は、本当に限られた一部の人だけが食べることができた超高級品だっただろう。それが庶民でも田舎者でも食べられる現代って、すごい時代だなあ。
氷池を見てみたい気持ちになったが、そこはぐっと堪え、引き続き長瀞アルプスコースを行く。長瀞アルプスの「神まわりコース」だと、氷池をとおるらしいので、今度来るときは、そのルートにしてみたい。
11:25小鳥峠
名前が可愛いので「ぴよちゃん峠」と呼んで、手を鳥の形にして写真を撮る。
私は鳥が好き。
11:40 毒キノコ看板前
長瀞駅で地図貰った地図に、しっかりと書かれている「毒キノコ看板前」という地名(?地名というか、スポット名?)
…他に言い方、無かったのかな…?
「毒キノコ看板って何!?」とキノコ好きなノムさんは若干興奮気味。
「宝登山頂、もうすぐ、と毒キノコが教えてくれる看板じゃない?ベニテングダケとか!ク●ボーかも!」と私もかなり期待大。
実際に見てみると「毒キノコに注意!」という看板だった。
タマゴダケの絵とか書いてあるけど、「やたらにとって食べないことが最も安全といえます」というあたりまえの結論に至る、いたってまじめな看板だ。
なんか、学校の先生にこんこんと諭されているような文章で、どうも、身が縮むような気持ちになる…。
地名(スポット名?)になるようなキャッチーなインパクトのあるものを想像していたので、この生真面目さに少し拍子抜けした気分になる。
そりゃ、そうだよね…。何に期待していたのだろうか、私たちは。
毒キノコ看板を過ぎると、最後の仕上げ(?)の木の階段地獄が待っていた。
地図には「山頂まで約200段の階段」と書いてある。ここまでアップダウンのあまりない穏やかな道だったが、ついに登りが現れた。
ラスボス、という言葉が私の頭をよぎる。
「階段、キライ!」と涙ながらにノムさんに訴えてみるが「私も嫌いだけど、仕方がないじゃないか」と返されるのみ。淡々と登るしかあるまい。
段になっているべき土が流れてしまっていて、丸太が飛び出しているだけの階段で「丸太、かえって邪魔やねん!」と、私はついつい不満を口に出してしまう。いかん、いかん。楽しく登らなくては。
ノムさんは私の後ろから「ママ~ う~うぅぅ~」となぜか、ボヘミアンラプソディを歌っている、というか呻いている。やはり、進退窮まった時に助けを求めるのはママなのだろうか…。
12:10山頂着。497.1m
かなり広く、ベンチなども設置されているが、人が多く、お昼を食べる場所を確保するのもちょっと大変だった。
思い思いにくつろぐ皆さんに混じって、今回も私はカレーメシの良い匂いを周囲にまき散らした。最高においしいから!ソーリー、ごめんあそばせ。
ノムさんからレモンケーキのチョココーティング、といった感じのおやつを分けてもらい、甘いものの補給も万全だ。
天気が良かったので、山頂からは秩父のシンボル、ピラミッド山武甲山や、百名山の両神山が望めた。
いずれは、どちらも山も登るつもりだ。しばし、待ってて!
食後は、宝登山神社奥宮へお参り。13:15。
ここの狛犬も三峯神社と同じく、狼である。この地方はそういう信仰の地らしい。
隣の売店ではたき火があり、焼きミカンを売っている。
焼きミカン、とても、おいしいそう!しかし、さきほどご飯をじっかり食べてしまったので、今回は買わずなかった。甘さが増すんだろうな、きっと。
たき火、いいな~。
奥宮の先は、今回の目玉である臘梅園。ちょうど見頃。
黄色い花弁に日の光が透けてほんのり輝き、あたりは甘い香りが漂っている。
春が近い。
ついでに福寿草も梅も咲いている。
春って、華やかな季節だな。こんなに一気に花が咲き乱れる景色になれば、そりゃあ、浮かれるってもんだ。
ロープウェイ組も加わり、春の花見の賑わいだ。
みんな、春の訪れを感じているのか、どこか足取りが軽く、笑い声のさざめきが賑やかだ。
賑わいにつられて、うらうら歩いていると、すぐにロープウェイの駅に到着。
「ノムさん…ロープウェイ乗る?」
「…いや、歩こうか」
なんだか、春の気配に心が浮き立っていたせいか、長瀞アルプスが割と穏やかだったせいなのか、気力体力共に余裕があったので、歩いて下山を選択してしまった。
つまり、せっかく貰ったロープウェイ無料券は全く使わず…。
モ●ベルさんに言いたい。
モ●ベルのイベントには、登山が好きな人が行くのであって、宝登山の場合は登山が好きな人はロープウェイは使わない…。
どうしよう、この無料券。一応、次の機会があると信じて、持っておこう。でも、次の機会も足で登っちゃう気がする…。
宝登山の登山道は綺麗に砂利で整備された道で、急坂にならないよう勾配に沿って、うねうね曲がって作られており、多分とても歩きやすい。でも、単調なので、ちょっと飽きる気もする。
途中、藪の中を一気に下る獣道のようなショートカットルートがつけられていたので、(おそらく登山者が勝手につけたと思われる)ついつい、ショートカットルートに入ってしまった。そっちの方が楽しかったので…。スミマセン。
14:30 麓の宝登山神社着。
下りはショートカットルートを使ったせいか、多分、30分ちょいくらいで下りられてしまった。
今回、長瀞アルプス登り、宝登山下りルートを選んだのは正解だった。
逆コースだと、宝登山の登りが単調で地味にずっと登るだけのルートで、あまり変化が無く面白みに欠けたような気がする。
長瀞アルプスコースは、楽しい山歩きからスタートして、宝登山を楽しんだ後、一気に下ってフィニッシュという、いい配分になっていると思う。
御朱印も2カ所貰えたし、春の花も堪能できて、楽しい一日であった。
余談だが、宝登山神社から駅までは土産物屋さんなどが多く並んでいる。
「豚みそ丼」や「こんにゃく」が名物らしい。
「…名物が完全にG県なんだけど…」
「やっぱり、催玉県(仮)北部はG県で間違いないね」
ノムさんと二人、確かな確信を持って、催玉県(仮)を後にした。
G県はいつでも、催玉県(仮)北部を歓迎する!
<コースタイム>
9:45長瀞駅…10:00野上駅…10:20万福寺…11:10氷池分岐…11:25小鳥峠…11:45毒キノコ看板…12:10山頂(お昼50時間)…13:15宝登山神社奥宮…13:45臘梅園…14:30宝登山神社
「とりぱん」とりのなん子
先日、道の駅の農産物直売所をうろついていて、「訳あり りんご」(8個くらいで350円)を発見して、私は驚喜した。
すぐさまレジに直行だ。
自分で食べるために購入した訳でない。庭に来る鳥にあげるのだ。
もうずっと以前から、我が家では冬場に時折、庭の木にりんごを差しておく。
すると、すぐさま「ちぃーっ」という鳴き声と共に、ヒヨドリがやってくるのだ。
一体、どこで監視しているのだろう?うち、毎日、りんご出してるわけじゃないのに。
ヒヨちゃんはりんごが大好物。一心不乱に食べ続け、他の鳥がやってきても、決してりんごのベストポジションを譲らない。
時々、ヒヨではない鳥(ムクドリが多い)がりんごを食べていると、「どけやーっ」と激しく威嚇し、りんごをかっさらう、という傍若無人さを発揮する。
地面に撒かれた残りご飯を食べに来ているつぐみん(ツグミ)やらジョウビたん(ジョウビタキ)にも飛びかかって、蹴散らす。
りんご食べない面々にも容赦が無いヒヨちゃん。無人となった我が家の庭で、一羽悠々とりんごを食べ尽くすのだ。
ちなみに、ヒヨちゃん同士だと、たまーにりんごの順番待ちしている光景も見られる。が、待ちきれずに、激しい戦闘に突入することも多い。同士討ちも辞さないのだ。
ヒヨちゃん、最強。けんか上等。
我が家は完全にヒヨちゃんの支配下に置かれている。
まさに「とりぱん」に登場するヤンキーヒヨちゃんと全く同じだ。
私は初めて「とりぱん」を読んだときに、どこのヒヨちゃんも一緒なんだ…とえらく感動した。
最も、「とりぱん」のヒヨちゃんはオナガの集団やら、ゲラさんたちには負けていたけど…。うちにくるオナガは単独が多いし、ゲラさんたちは来ないから、ヒヨちゃんの天下なのであろうか。
「とりぱん」は庭にやってくる野鳥の話をメインとした四コママンガだ。2005年からモーニングで連載されているそうなので、かれこれ14年続いていることになる。かなりの長寿マンガといっていいだろう。
そもそも、「とりぱん」は作者の投稿作品であり、それがそのまま連載作品になって、長寿連載になるというすごい作品だ。まさに代表作。
投稿時、ペットマンガはたくさんあるけれど、野鳥をメインにしたマンガはないだろう、と作品内容を決めたそうだ。(1巻による)
確かに、新しいかも。あちこちに鳥がいることは知っていても、その鳥の名前すら知らないで生活している人がほとんどだろう。ましてや、その鳥たちが、実はいろいろな個性を持っていることも当然知らないのだ。
「とりぱん」では作者の目を通した野鳥たちの姿が、実に生き生きと描かれている。
我が家の庭を牛耳るヒヨちゃんは、ケンカ上等のヤンキーで、小心者で貧乏性のツグミ(つぐみん)をいじめている。でも、大甘党でお花とかを食べたり、オナガ集団には勝てなかったりと、どこか愛嬌のある存在。
オナガはその美しいブルーの羽根の色から「おしゃれ番長」。
日本画に出てきそうな「和風美人」としてはじめは登場したシメはひまわりの種を長時間食べ続ける大食い鳥として描かれる。(うちにはあまり来ない…)
また、本来、水辺の鳥であるハクセキレイは、なぜかアスファルト大好きな「駐車場の鳥」…。
本格的な餌台を作っているとりの家には、他にもさまざなま種類の野鳥が訪れている。
アオゲラ(ポンちゃん)、アカゲラ(ペンちゃん)、コゲラのキツツキさん(ゲラさん)たち。
毛玉のように愛らしいエナガたん。
我が家には、一度もやってきたことがない種類の鳥たちだ。うらやましい。
うちのえさは、りんごと余りご飯くらいなので、牛脂やひまわりの種とかが好きな種類の鳥は来ないのかもしれない。そもそも、頻度が「たまに」なのもダメなのだろう。
(以前、インコのえさの余りを置いたら、春になってよくわからない草がにょろにょろ生えてきて大変だったので、以後、余りご飯になった)
そして、豪快なドラミングを披露して欲しい!そのためならば、うちの壁の一部くらい、喜んで提供する!(家族、未承諾)
ポンちゃんへの憧れと、ヒヨちゃんばかりが幅をきかせている現状に少し変化を呼び込みたいという気持ちで、えさを拡充するべきかどうか、毎年少し迷う。
しかし、生来の怠惰な性格が邪魔をして、どうしよっかなーと思っているうちに、シーズンオフに突入してしまうのだ。今年も、そろそろ春が近い頃合いになってしまったので、まあ、拡充は来年以降考えよう。
メジロくるかもしれないから、ミカンは出してみようかな~、そのうち。
そもそも私は餌付けが好きだ。
観光地に「鯉のえさ」があれば必ず買う。
外国に行った際(台湾)でも買ったし、周りがポ●モンGOに興じる人だらけだった大●氷●神社でも買った。(ついでに氷●神社では「盆栽だー」も買った)
その他、数え切れないくらい「●●のえさ」を購入しているが、最も印象に残っているえさやり体験を記してみたい。
それは、京都六角堂の「鳩のえさ」である。
六角堂は華道の池坊発祥の地として有名なお寺だが、「鳩みくじ」も売っているくらい、とにかく鳩がいるお寺だ。
境内はこじんまりとしていて、ビルの合間にお堂がちょこっとあるだけで、敷地面積は小さい。
その六角堂を訪れ、売店で鳩みくじを買った際に、白い袋に入った「鳩のえさ」を売られている事に気づいた。100円か200円くらいだったと思う。
「鳩にえさあげられるんだ~。外にいっぱいいたもんね」と何も考えずに、いつものようにえさを購入。
えさが売られている横に「鳩のえさは、売店から離れたところであげてください」といった注意書きが書かれていることをよく考えてみるべきだったと後から後悔したが、その時は「ふーん」という感想しか持たなかった。
売店から出て、注意書きに従い、えさを片手に少し離れた場所に移動した。
すると、さっきまで平和に地面をうろついていた鳩たちが、一斉に私めがけて移動を開始する。鳥なので、もちろん低空飛行で飛んでくる。
「どうしたんだ、みんな!(鳩たちのこと)落ち着け!」と小走りに売店から離れるが、爛々と目を輝かせた鳩たちはさらに私に群がる。
肩に、頭に十数羽たかられ、右手に持った「鳩のえさ」を左手でつかみ出すという簡単な行為さえできず(両腕に鳩が乗ってるから)、右手にとまった勇気ある鳩が、えさの入った白い袋に勝手に頭を突っ込んで食べているのを「あわわわわ」と言いながら見ていることしかできない。鳩のなすがまま。
地面に「えーい」とえさを投げると、鳩が寄ってきてそれをついばむ、という正に平和の象徴のような状況を予想していただけなのに…。こんな暴力的な状況を誰が予想した!?
あの売店の張り紙は「近くでえさやりをすると、鳩が集まってきて迷惑」という状況を言っていたのか…!!京都人らしく、遠回しな言い方しやがって!もっと、直接的に「鳩がすごく寄ってきます」って書いとけよ!!
(他の方のブログによると、どうやら現在は「鳩が寄ってきます」的な書き方になっているらしいです)
一番、えさ袋に近いところの勇気ある鳩は一羽で勝手にえさを独占している。
このままでは、この一羽しかえさが食べられない!
鳩にまみれながら、突然その事実に気づき「ほかの鳩にもえさやりたいんじゃー!」と叫び、右手を下に向けて(手首を動かすので精一杯だった)、残ったえさを全部地面にざらーっと落とした。
途端に、落ちたえさに群がる鳩たち。
あっというまにえさは食べ尽くされ、鳩たちは何事も無かったかのように散っていった…。
ぼさぼさの頭で呆然と立ち尽くす私(頭にも鳩が乗っていたので)
なんか、すごい敗北感。鳩たちによってたかって身ぐるみはがされた気分だ。
ひどいわ。えさがなくなったら、私になんて、もう見向きもしないのね…
ちなみに、この一部始終を目撃していた友人には「ごめん、本当に怖くて、何もしてあげられなかった…」と謝られた。
私個人としては、オカメインコ(信頼関係はないが、一応手乗り)を飼っているので、鳥を腕にとまらせること自体は慣れていて全く抵抗がないので、別に怖くは無かった。
しかし、傍目から見ると「数十羽の鳩にたかられていて、完全にホラーだった!」とのことだ。ヒッチコックみたいな感じ?
わずか100円だか200円だかで、滅多にできない体験ができる場所、六角堂。
鳥好きにはオススメの寺だ。とりの氏にも、きっと気に入っていただけるのではないだろうか。
ちなみに私は、この体験が忘れがたく、2回目に行った際も「鳩のえさ」を買ってしまった。中毒。
以前、こんな記事もかきました。
藪内美術館にはその後行って、本とかグッズとか買い込んできました。八ヶ岳のついでに、また行きたい。
稲荷山(伏見稲荷大社)~妖しのインバウンド~
引き続き、京都の話である。
大文字山を登った翌日、帰路につく前に時間があったので、伏見稲荷大社に行ってみることにした。
実は、伏見稲荷大社は「京都一周トレイル」の出発地点。伏見稲荷大社の一ノ峰(山頂)への参拝コースはそのままトレイルコースにもなっているのだ。
少しでもトレイルルートを埋めておき、制覇を目指す。貪欲な私。
伏見稲荷大社には、15年くらい前に行ったことがあるが、その時は奥社までしか行かなかった。「どこまで続くのか、この鳥居は…」と早々に心が折れてしまったのだ。
あの頃の私は坂道を歩くことがひどく苦痛だった。
でも、今の私は違う。必ず、一ノ峰(頂上)まで登ってみせようではないか。
登山だけど登山じゃない。スニーカーにジーンズ、サコッシュを肩掛けし、片手にミネラルウォーター(サコッシュに入らなかった)の軽装で挑む。
ちなみに、天気は雲多めの晴れ。
単独行動だから…。私一人なら、それほど雨女ではない。
8:30 朝だが、伏見稲荷大社はかなり賑わっていた。JR伏見駅は小さな駅だが、その駅前は黒山の人だかり。
たぶん、8割くらいが外国からのお客さま。
インバウンド!
私の頭に、最近、流行りの言葉が浮かぶ。
…すごいな…。話には聞いていたが、これほどとは…!!
15年くらい前に来たときは、訪れる人もまばらだったと記憶しているが…。15年も経てば変わるものなのだろう。生まれた子どもが高校生になっちゃうのか、15年…。
変化にかなり圧倒されながら、インバウンドの皆さんの間をすりぬけ、朱色も鮮やかな本殿にお参りする。(私が来なかった15年くらいの間に修繕したのであろう)
8:40 本殿奥の千本鳥居入口に到着。
ここは京都観光雑誌などに必ず掲載される場所だ。
隙間がないほど立ち並ぶ鳥居が二筋に分かれている。誰が撮ってもインスタ映え~な写真が撮れる。
だがしかし、ここで写真を撮りたいのはみな同じ。ものすごい人だかりだ。
早々に写真はあきらめて先へ進む。
びっしりと並ぶ鳥居の下は、朱に閉じ込められた世界で、朱く色づいた空気が立ち込めている。
この鳥居の道をたどっていくと、現世では無い怪しい世界にたどりついてしまう気がする。鳥居は世界を分ける垣根だから。
「Amazing!」
心の中でだけ、英語圏の人間になりきって叫んでみる。
周りのインバウンドの皆さんは、しきりにシャッターを切っている。一眼レフ率がかなり高い。
鳥居を背景に、仲良く家族写真を撮られている皆さんも多い。
さすが、外国人観光客満足度NO.1!
どうですか?日本旅行、楽しいですか?楽しんでいただければ幸いです!
せっかく日本を選んで旅行に来てもらったんだから、是非とも楽しんでいただきたい。
なんだか旅行会社の社員のような気持になってしまったが、これが日本の「おもてなし」精神の基礎なのかもしれない。
8:45 奥社到着。
わずか15分で到着した。以前来た時はここで引き返したと記憶しているが、たった15分でつける場所だったのか…。もっと遠い気がしていた。
誰も興味を示していなかったので、「おもかる石」を一人で持ち上げてみた。
すっげー重かった!
なんでも、「おもかる石」とは、持ち上げてみて「軽い」と感じると、願い事が叶う日が近い 「重い」と感じると、願い事が叶う日は遠いらしい…。
だめだこりゃ(byいかりや)
奥社でしばし楽しんで、山頂への道を進む。進んでも進んでも鳥居が続く。
以前の私の経験から、観光客の皆さんは、時間の都合もあるので、奥社で引き返す人が多いに違いない。だから、ここから先は人が凄く少ないはずだ。
でも、意外と人は減らない。すごいな、インバウンドパワー。
9:10 三ツ辻
9:15 四ツ辻
峠の茶屋といった感じの土産物店も登場。ちょっとした休憩スポットになっている。景色も良く、京都南部が見渡せた。
ここから頂上の一ノ峰に至るルートが二つに分かれる。どちらのルートを選択しても頂上にはたどり着くのだが、距離が近そうだったので、眼力社、御膳所奉拝所ルートを選択し、案内看板を頼りに石段を登る。
途端に、周りには小さな祠が林立。細い道を進んでも曲がっても小さな祠と鳥居。
古びた石の灰色に、奉納された小鳥居の朱が鮮やかに目に突き刺さる。
何かじっと見られているような気がして後ろを振り返ると、祠の前に置かれた狛狐と目が合う。厳めしく、こっちをにらんでいる。
時が止っているかのような不思議な静けさの中、「とおりゃんせ」がどこかから聞こえてきそうだ。
なぜか、さっきまでいたインバウンドの皆さんはいなくなり、私一人がこの空間をさまよっている。
ここはどこだ?
道間違った!
どうやら荒神峰に迷い込んでしまったらしい。
荒神峰、怪しい雰囲気満点過ぎる。
細い小路を曲がっても曲がっても祠と狐と鳥居だらけで、「どうしよう、異界に迷い込んだ…」と かなり不安になった。
頭の中を「彼岸」とか「人身御供」とか「神隠し」なんて妖しい単語がどんどんよぎっていって、妄想が大爆発。…いくつになっても中二病…。
異世界から脱出をはかり、今度こそ頂上に至る正しい道を行く。やっぱり、鳥居はずっと続いている。
このあたりになると、さすがに人影はかなり少なくなってきた。
9:30 眼力社
9:35 御膳所奉拝所
眼力社ではかなり真剣にお参りした。最近、視力の衰えが激しくてねえ…。
無料のおみくじもあって、楽しい。中吉だった。
ここからが山頂に至る道のラストスパート。
階段を黙々と登っていく。結構辛い。
私の前を行くお兄さん二人連れは「頭から湯気が出そうだ~」と言いながら登っていた。普段、登山をしない人たちなのであろう。(そりゃそうか)
9:55 一ノ峰(山頂) 233m
稲荷山の山頂を示すプレートもあるが、眺望はなし。立派な社がある。
末広大神と書かれた幟がはためいていたが、どうやら、アメノウズメノミコト(天岩戸の前で踊った神様)が祀られているらしい。芸能の神様だ。ここで芸事の神様か…。その関連性は、よくわからない。が、しっかり参拝する。
下の本殿から約1時間半。ここまで登るのは「今日は登る!」という気合いと「半日余裕あります」という時間が必要だと思う。
だが、山頂にはかなりの人がいた。もちろん、インバウンドの皆さんも。
余裕があって、通な旅行だ。あこがれる。きっと、何度目かの京都なのだろう。
帰路は二ノ峰、三ノ峰コースをとる。四ツ辻で行きのコースと合流。
しまった…。社の順番からいうと、このコースで登った方がよかったのかもしれない。
さくさく下る。やはり、鳥居だらけ。比較的新しい鳥居が多い。
10:10 四ツ辻
ここから急に人が増える。眺望もいいので、このあたりまでは登ってくる観光客が多いのだろう。
登山グループもちらほら見える。「京都一周トレイル」巡りだろうか。
三ツ辻で分岐。
本殿へストレートに下るルートをとる。
10:40 本殿到着 約2時間。荒神峰に迷い込まなければ、もうちょっと早く山頂往復できたはず。
下界に帰ってきて、びっくりだ。朝より格段に観光客が増えてる…!
御朱印所も本殿とは離れた場所のビル(?)の一階に大々的に設けられていて、大人数対応型だ。
しかし、いかんせんインバウンドの皆さんには、まだ御朱印文化までは浸透していないらしく、ものすごく空いていた。まだまだ伸びしろ、あるね!
かつて「頂上までは無理だよう!」と思ったが、意外と簡単に登れて楽しかった。
やはり 、上まで行く!との強い意志を持って臨んだからであろう。
それにしても、どこまでもどこまでも鳥居だった…。朱色の洪水。
この山には、間違いなく神様が住んでいる。
今度登るときは、禁断の夜に行ってみたい。灯籠に照らされた鳥居の朱色が、妖しの世界へ誘ってくれるという。少し、怖いけれど。
最後におまけ。
稲荷山攻略中、私はずっと片手にサ●トリー天然水をぶら下げて歩いていた。朝、京都駅のコンビニで購入した。
何気なく、ラベルを見て、そこに書かれた文字に仰天した。
「奥大山の天然水」
南アルプスじゃ無い!!
ラベルのデザインは全く同じなのに、「奥大山」!!
どこかの会社が大胆にパクったのかと思ったが、何度見ても、サントリーの商品である。
帰宅して調べた。
なんと、「南アルプス」の他「奥大山」「阿蘇」があり、それぞれ販売地域が異なるらしい。
私が住む関東では「南アルプス」、近畿地方では「奥大山」が販売されているという。
知らなかった!
この話を大興奮して山の相棒ノムさんに話し、ラベルの写真を見せた。すると、ノムさんから、さらっとご指摘がある。
「ラベルの山の形が違うと思う」
…!!確かに!
よく見れば、山の形が違うよ!
「違う山のラベルでは商品名に偽りありだよ」
とノムさんは、さらにたたみかける。
言われてみれば、おっしゃる通り。でも、私は気づかなかった。
さすが、サ●トリー!細かいところまでの心配りに、私は感動した。
以後、山のお供の水はサ●トリーにする!
ちなみに、味もかなり違うらしいが、私にはさっぱり…。
<コースタイム>
8:30 伏見稲荷大社本殿…8:40 千本鳥居…8:45 奥社…9:15 四ツ辻…9:20 荒神峰(迷い)…9:30 眼力社…9:35 御膳所奉拝所…9:55 一ノ峰(山頂)…10:10 四ツ辻…10:40 伏見稲荷大社本殿
大文字山~雨女リターンズ~
そうだ、京都行こう。
冬になったら、京都の大文字山に登ろうと、私は密かに計画していた。
冬に行ける雪の無い低山情報をコツコツ集めていたときに、ホシガラス山岳会「あたらしい登山案内」と四角友里「一歩ずつの山歩き入門」を読み、これや!と心のノートに書きとめておいたのだ。
何しろ、私にとって、京都は第2のふるさと!
学生時代の4年間を過ごした街だ。
当時は山に全く興味が無かったので、大文字山に登れるなんて知らなかった。知っていたとしても、決して登ろうとは思わなかっただろう。そのころの私は登山は疲れるだけのものだと思っていたのだから。
そういえば、学生時代に聞いた都市伝説がある。
ある年の五山送り火の日。とある大学の血気にはやった学生達が、「やるで!」と集まった。そして、学生達はそれぞれにたいまつを掲げて「わーっ」と一気に大文字山を駆け登り、目的の地で、一斉に頭上にたいまつを掲げた。その日、送り火は「大」ではなく「犬」になったという。…都市伝説だ。
今回、一応、その伝説が可能かどうかも検証したいと思う…。
今回の同行者は学生時代の友人、キキちゃん(関西在住)
以前、何度かブログにも書いたが、キキちゃんと私は二人揃うと、強烈雨女パワーを炸裂させる。何度か二人で山に行っているが、雨が降らなかったのは、日光男体山に行った時だけだ。他は全部雨!呪われているのかな…。
しかし、時はカラカラ乾燥シーズンの1月だ。しかも、今年の1月は記録的に雨が少ないとのこと。数日前の天気予報では晴れマーク。さすがにいけるやろ~と思った。
前日の天気予報。曇り時々雨。
…うむ。なんか、雨マークが登場したな…。まあ、曇りだろう。きっと大丈夫だ
「曇りやったら、まあいいか。なんとか天気は保つやろ~」と、キキちゃんと前日夜、京都木屋町で酒杯を重ね、就寝前に天気予報の確認を怠った私が悪かったのかもしれない。
当日朝、テレビの情報番組から流れる音声に我が耳を疑った。
「京都市内の天気予報 雨のち曇り 午前中は雨が降りますが、午後には上がるでしょう」
えっ?
テレビからは「ハブアグッタイ~」と陽気な歌が流れてくるが、「グッタイ」を過ごせるのか!雨で!?(八つ当たり)
ホテルの重い遮光カーテンを開けると雨に濡れそぼる道路が見える…。本当に雨だ…。
こういうとき、欧米の皆さんは「Oh Lord!」とか言うのかもしれないが、生粋の日本人の私は「雨女の呪い、顕在か…」と自らを責めることしかできなかった…。
当日朝、8:00 銀閣寺道のバス停でキキちゃんと待ち合わせ。
雨でもとりあえず決行するのだ。やると決めたらやる!
京都の五山送り火の「大」の字は二つあるが、今日、目指すは東の「大」の字の方だ。通常、「大文字」といえば、こちらを指す。
もう一つの「大」の方は金閣寺方面にあり「左大文字」という。(今気づいたが、右京の「大」が左大文字なんだ…。不思議。これだけは、御所中心ではないらしい)
大文字山は「京都一周トレイル」にも組み込まれている。
「京都一周トレイル」は京都を囲む山々を一周するコースで、山だけではなく、時には街も通るトレイルルートで、全長83.3kmの京都市を一周するコースと、全長48.7kmの京北コースがある。
いずれは制覇してみたいものだ。ぐんま県境稜線トレイルよりははるかに実現の可能性が高そう。
本日のルートは銀閣寺の脇から大文字山に登り、南禅寺へ下るルート。おそらく、最もメジャーなルートだと思われる。
まだ観光客のいない土産物屋通りを歩き、登山口を探して少しうろうろ。なにしろ登山客よりはるかに観光客の多い場所なので、「登山口こちら」といった親切な看板はない。
京都市内でないと入手困難な「京都一周トレイル 東山コース」の地図を頼りに、なんとか登山口を発見。
カッパを着込んだりして、登山準備を整え、いざ出発!8:40
行こうではないか、京都の街を一望できるという大文字山へ!雨降ってるけど、もう、腹をくくるしかない。
キキちゃんはカッパを着込みながら「カッパに袖を通すと安心する。ユニフォームみたいなもんや」と豪語し、一周回って吹っ切れた模様。
道は非常に歩きやすい。
さすが、大文字山。多分、登山者のためではなく、送り火で登る方々のためにきちんと整備されている。
しばらく歩くと、千人塚に到着。9:00
謂われはよくわからないけれど、塚に軽く手を合わせて、先へ進む。
行き交う人は皆無。冬枯れの枝にとまったカラスに「こんにちは」と言うことしかできない…。カラスは「ぐるぐるぐる」とよくわからない声で返事(?)してくれたけど、結構寂しい…。
雨だからね…。晴れてればもう少し人がいるはずなんだと思うけれど…。
9:10 五山送り火の火床に到着。登りはじめから約30分。すぐに到着した感じ。
「大」の字の「一」と「人」の交わる部分に到着だ。「大」の字の要と言ってよい場所だ。
京都市街一望!天気が良ければ!
多分、木がないせいで、雨足がとても強く感じる…。
でも、雨天にしては、まあまあ下界が見下ろせたと思う。少し天狗の気持ちになれて嬉しい。(この直前に森見登美彦「有頂天家族 2代目の帰朝」を読んでいたのだ)
「あそこが吉田神社かな~?」
「下鴨神社はどこだろう?糺の森には狸がいるんだよな~(直前に読んでいた本の影響)」
などと、しばし楽しむ。
かの有名な鴨川デルタは、くっきりはっきりデルタ地帯を形成していて「ほお、まさしくデルタ!」と妙に感心した。「鴨川ホルモー」にも出てきたな~。
火床を実際に見てみての実感としては、例の都市伝説「犬」事件は、できなくはなさそうだ。そこそこの人数があつまれば、犬の「点」くらいは追加できそうである。
ちょっとだけ現実感があるけど、果てしなく無意味に馬鹿げていて、よくできた都市伝説だな~。ちなみに「太」よりも「犬」の方が、やっぱイイと思う。
ただし、ここにも書いておくが、8月16日は登山禁止である。
そんなアホ学生達が登ってきたら、あっという間にお縄になるであろう。
火床を楽しんだ後、山頂に向けてさらに山を登る。
ここからは登山者用の道なので、急に整備度ががくんと落ちる。
倒木が多く、夏の台風の影響の大きさを改めて感じる。コース全体的に被害が生じたそうだ。
倒木をかわしながら、眺望のない道を歩くこと、約30分。
大文字山山頂到着!9:50 465.4m
眺望は火床の方がいいと思うが、冬枯れているので、そこそこ。
倒木を利用したベンチがあったりして、ちょっとした休憩スポットになっている。
当初の予定では、ここでコーヒーを飲んで「ダバダ~」を歌ったりしたかったのだが、雨なので「ま、いいか」と、ペットボトルの水で疲れを癒やす。雨はやはり、テンションを下げるのだ。
ここからは「京都一周トレイルルート」となる。
実は、銀閣寺方面から大文字山に登るルートは「京都一周トレイル」のルートでは無い。銀閣寺から哲学の道を通って、鹿ヶ谷から登るルートが「京都一周トレイル」のルートだ。
でも、一周トレイルのルートだと、火床を通らないのだ!
火床ははずせない!ということで、今回のルートを選択した。次は鹿ヶ谷コースで登ろうかな。ふふふ。鹿ヶ谷事件、好き。(すみません。大河ドラマ「平清盛」がとにかく好きなもので…)
山頂をしばし楽しんだ後、南禅寺に向けて出発。
ずんずん進む。とにかく倒木が激しい。
しばらく歩き続けて、キキちゃんから気になる発言がある。
「京都一周トレイルルートは、看板があるはずなのに、一つも出てこないのはどうしてかな?」
「……どうしてかな?」
やっちまったか!という不安に駆られて、ヤマレコのGPSログを確認。
…やっちまった。道間違えた。
今、私達がいる場所は如意ヶ嶽に向かう道らしい。
如意ヶ嶽薬師坊様(直前に読んでいた小説の登場人物。天狗)には会いたい気持ちはあるけど、今日は如意ヶ嶽に行くつもりはない!
「あかん。戻ろう」
来た道を戻り、ふたたび大文字山の山頂に立つ。10:20
30分ロスした感じか…。
地図をよく確認したところ、山頂からすこし先の「大文字山四つ辻」で道が分岐するのだが、そこで間違えたらしい。
しまった。山頂まで戻っちゃったよ…。戻りすぎ。
再び、大文字山四つ辻まで歩き、今度は道を慎重に選択する。
私もキキちゃんも地図が読めない女なので、二人で地図をぐるぐるまわして「こっちで間違いないと思う」という道を選択した。
だってさ。北がどっちで、自分が今どこにいるのかとかよくわかんないじゃないの…。
しばらく歩くと、ヤマレコのGPSログが正しい道をたどったので、安心する。私の場合、ヤマレコのGPSログは、道を間違えた時の確認、という役割が一番大きいかもしれない。便利な世の中、ありがとう!
「京都一周トレイル」の看板も現れるようになり、俄然元気が出る私たち。
しかし、次にまた難所が現れる。
この「京都一周トレイル」ルートをそのままたどると、蹴上、インクライン、ねじりマンボ方面(あやしい名前だが、簡単に言うとトンネルだ)に行くのだが、今回は南禅寺に下りたいのだ。
そのためには、途中の「七福思案処」で違うルートに入らなければならない。
「今度こそ間違えないようにしよう」と二人で誓い合って、慎重に道を下る。
だが、道は意外とわかりやすかった。
「京都一周トレイル」の看板には、簡単な地図も付いているので、「38番で分岐」と覚えておけば、38番の看板の地図で簡単に道を選択できるのだ。
さっきの「大文字山四つ辻」でも、この確認をすればよかったのに…。いや、「大文字四つ辻」で失敗したからこそ、次に活かされたのだ。失敗は成功の母。
南禅寺方面への道を選択後、キキちゃんから「この道で大丈夫や!南禅寺の水路閣へ続く道の雰囲気やもん」との発言が飛び出す。
「キキちゃん。大丈夫の根拠は「雰囲気」だけなんか~!!」
「そう、雰囲気だけ!」
「だけかい!」
なんて希薄な根拠!二人でげらげら大爆笑しながら道を下る。
果たして、キキちゃんの言うとおり、水路閣に到着した。11:20
頼りになるな、キキちゃんの直感!
二人で健闘をたたえ合い、山門の下の片隅をお借りしてでカッパを脱いだりして身繕いをする。
お寺の軒先を借りるって、日本むかしばなしみたいだなあ。「今晩一夜、軒先をお貸しくださいませ」って感じだ。
雨にめげずお寺を見学する観光客の皆さんに混じって、登山スタイルの私たちはちょっと浮いていた…。
が、そんなことは一切気にしない。キキちゃんは、まるで自分の家であるかのように、山門下の片隅で、座り込んで荷物を広げてた。キキちゃん、ここ公共の場だからね~!
さて、どうして南禅寺に下りたのか。
それは、湯豆腐を食べるためである。冬の京都といったら湯豆腐。
雨のおかげか、人気店も空いていて、ゆっくり豆腐を味わえた。怪我の功名(?)
あったまる~。おいしい~。
登山後の湯豆腐、最高!
まさかの雨という信じられない出来事が私たちを襲ったが、結構楽しい登山だった。
市街地の眺望もそこそこだったし。次は清水山まで行こうかな~。
しかし、キキちゃんと私の雨女の呪いはどうにかせねばならんな。…どうすればいいんだろう。
天気ばかりはどうにもならない。日頃の行いを良くするくらいしか思いつかないんだけど!
それとも、雨女の呪いを受け入れて、ゴアテックスのいいカッパ買おうかな…。そっちの方向に舵を切った方が建設的かも…。
ちなみに、この日は一日中雨だった…。天気予報は午後止むって言ったのに…。
相当強力な雨女パワーを持ってるみたいだ…。どうしよう。
<コースタイム>
8:00 銀閣寺道…8:40 登山口…9:00 千人塚…9:10 火床…9:50 山頂…(道間違い)10:20 再び山頂…11:20 南禅寺
太田金山〜山頂で鍋〜
昨年の秋から、私には1つの夢があった。
荒船山に登った時に目にした風景。強烈に憧れた。
それは、山頂で鍋!である。もちろん寒いシーズンに!
それも、シングルバーナーで野菜を煮込むだけ、といった簡単なものではない。
私が昨年荒船山の艫岩付近で見かけたものは、卓上ガスコンロに家庭科の授業で使ったような金色の鍋で白菜を大量にぐつぐつ煮込み、それをみんなでつつく本格的な鍋だ。
これを是非やりたい!
しかし、これを実現するためのハードルは結構高い。
まず、広い山頂。できればベンチのような平らなものがある場所が好ましい。
次に、コンロと鍋と食材を背負っていくので、簡単に登れる低山であること。また、寒い時期でも雪の無い低山であること。
(荒船山で鍋をしていた若者3人組は猛者だと思う。よくコンロと鍋を抱えて登ったなあ。さすが若者!)
この条件に合う山として、真っ先に浮かんだ場所はG県東部にある太田金山である。
太田金山はわずか236mという低山であるが、平野がひろがるG県東部では、ぽこんと際立つ山様で、ふもとのお寺大光院(呑龍さま)とともに、「ふるさとの山」として地元民に親しまれている。この地域を象徴する山なのだ。
また、戦国時代には金山城が建築されていて、当時の遺構が残っており、城好きにもたまらない場所だ。
ついでに、山頂に立つ新田神社の御祭神は鎌倉幕府攻撃で有名な新田義貞である。(地元民もみんな勘違いしているが、金山城は新田義貞の城ではない。城主としては由良成繁が一番有名か?)
私は高校生の頃、歴史好きの先輩(当時は「歴女」なんて言葉は存在しなかった)に「金山城大手道を攻略しよう!」と言葉巧みに誘われて、道無き道(藪)を登った記憶がある…。先輩、お元気ですか?
年末の忘年会という名前の飲み会で「金山で鍋がしたい!」との熱い思いを語ったところ、友人のでんさんが「行こう!私、カセットコンロあるから!」と激しく同意してくれたので、善は急げと、さっそく実行に移した。
当日の集合は10:00。
だが、のっけから私が集合時間を10:30と勘違いしたり、でんさんが忘れ物で途中引き返しがあったりして、顔を合わせたのは11:00。
登山を始める時間とは思えない遅さ…。低山だからとなめまくっている。
しかし、私は鍋と食材などをザックに詰め込んでいるので、北アルプスに行くのか!?と思えるような大荷物。(ちょっと誇張)ちなみにザックの容量は40Lだ。
「登山、久しぶり~」とご機嫌なでんさんは、小さいザックを背負っているため、カセットコンロの箱が見えている。ファスナーが閉まらなかったそうだ。箱から出せばよかったんじゃないかな…?
11:10 大光院駐車場からようやく出発。
西山ハイキングコースという、おそらく一番メインのコースを選択した。
まずは大光院の裏手の道を登っていく。最初は調子よくずんずん登っていたのだが、けっこうな斜度に途中から動悸息切れが激しくなる。
「でんさん、ペースが速いようです!私は救●が必要な感じです!!」
「私も、救●!!久しぶりだから、ペース配分間違えた!」
明らかにペースダウンして、よろよろと急坂を登り切る。低山だからって急な坂が無いわけじゃ無い、という当たり前の事実を身をもって知る…。
15分程度で急坂を登り切った後は、なだらかな道を行く。
途中、案内板もたくさんあり、休憩できる四阿もいくつか設置されていた。すれ違う人たちも多く、やはり地元民に親しまれている山だなあ、という実感が湧く。
「ところで、案内板にちょいちょい現れる「モータープール」って何かな…?」とでんさんが疑問を発する。
「駐車場だと思います。多分…」
私は宮本輝氏の「流転の海」シリーズを愛読しているので知っていたが、確かにあまり聞かない単語だ。(ちなみに「流転の海」シリーズでは、一時期、主人公松坂熊吾がモータープールの管理人をしている)
後で調べてみたところ、主に関西地方で使うらしい。
…G県、関東なのに…。
考古学的には、G県は東海地方との密接な関わりが指摘されているらしいけど…関係ないか。
謎な言葉のチョイスだ、G県東部。
木の階段を再び息を切らして登り切ると、噂のモータープールに到着。だいたい11:40。
ちょっとした見晴台もあり、市街地が一望できる。
本当に軽いハイキングなら、ここまで車で来て、山頂まで徒歩というコースもあり。このコースなら、頑張ればヒールのある靴でもOKだ。
ここからは登山と言うより、史跡めぐりといった感じ。
金山城の遺構がいくつか復元されているので、中世山城を探検する様な気持ちでゆっくり歩く。
私が先輩に連れられて大手道を登った時は、こんな復元建物全然無かったけどな~。ただの山道だったと記憶しているが…時代は変わるものだ。
早馬が「伝令!伝令!」と言って、駆けてきそうな雰囲気がちょっと楽しい。
12:00少し過ぎたくらいに山頂に到着。
ちょうどお昼に到着できたので、集合が遅れたのは結果的には良かったのかもしれない。
かつては名物だった藤棚の残骸を眺めたり、新田神社にお参りして御朱印をゲットしたり(書き置きあり。賽銭箱にお金を投入する形式)で山頂を30分ほどうろうろして楽しむ。
天気が良い日はスカイツリーとか富士山とか見えるのだろうが、この日は天気がイマイチだったため、全く見えず。まあ、いい。今日の目的は景色ではない。
山頂では、最大の目的である鍋の準備に取りかかる。
神社脇の石のベンチにカセットコンロを設置して、鍋にスープをどぼどぼ投入。続いて自宅で切ってきた白菜ほか、具材を次々投入だ。
今回は、ひんしゅく覚悟でキムチ鍋とした。(「もと」を持参した)
こでは、後ほど語るが、私の深い配慮による選択なのだ。まわりにものすごくキムチの匂いが漂ってしまったが…。
広い空の下、ということで勘弁していただきたい。
ほどよく煮詰まったところで、二人で取り分ける。
「でんさん!おたま忘れました!」
「仕方あるまい。スプーンですくおう」
ふは~っ!おいしい!!
この日はそんなに寒い日ではなかったが、暖かい汁物は体の隅々まで染みる!
そして、やっぱり鍋は白菜だね。どんどん食が進む。トマトも意外とイケる!
具をある程度食べ尽くした後、締めに伝家の宝刀「辛ラーメン」を投入だ!
昔、大学のゼミで韓国に行った際に、地元の学生にキムチ鍋をごちそうして貰ったことがあるのだが、その時、締めがインスタントラーメンだったのだ。めっちゃおいしくて、ゼミ生みんなで感動したのだった。
あの味よ、もう一度!
キムチ鍋といえば、締めラーメン。
ついでに、締めラーメンにすれば、鍋の残り汁も飲みやすいかな~という思惑もあった。最後の一滴まできちんとおいしくいただくのだ。山のルール。
はたして、キムチラーメン、おいしかったわ~!
山で食べるラーメンはなぜにこんなにおいしいのだろう?
今まで山のラーメンを否定する人には、ただの一人も出会ったことが無い。
幸せである。満腹である。
夢だった山頂鍋をたっぷり堪能した。楽しい。
山頂で鍋に相当の時間を費やし、13:30下山開始。
途中、見晴台で景色を楽しんだりして、のんびり下る。(でんさんが「ハンカチ落とした!」と言って、探しに戻るアクシデントあり。結局、上着の袖の中にあった…。どうやったら、そんなところに格納できるのだろか…?)
帰りは金龍寺を経由するルートを選択。お寺の裏に由良氏の供養塔?もあるので、ちょっと楽しい。
14:45頃、大光院駐車場着。
すごくゆっくり楽しんだ割に、早い時間に下りてこられた。低山の醍醐味だな。
でんさんは、久しぶりの山が楽しかったそうで「来年の夏は那須岳行って、三斗小屋温泉に行きたい!」と言っていた。もちろん、ワタクシ、お供します!
昨年来の夢が叶い、私も感無量である。
山で鍋!楽しかった。
本当はビールがあれば、なお良かった…!!
<コースタイム>
11:00大光院駐車場…11:40モータープール…12:10山頂(鍋1時間超)…13:30下山開始…14:00モータープール…14:45大光院駐車場
小盆栽講座
ついに、行ってみた。小盆栽講座に。
以前から盆栽には興味があったのだが、まだ手を出してはいけない領域だと自分に言い聞かせていた。せいぜい、盆栽だー!!(大宮市で売っている。サイダー)を飲んで悦に入る程度にとどめていたのだ。
しかし、たまたま行った園芸店で小盆栽講座のチラシを発見してしまい、そのまま勢いで講座を予約してしまった。
多分、冬はあまり山に行かないので、他のことに貪欲になっているのだと思う…。
大宮盆栽だー!!(さいたまるしぇHPより拝借)
盆栽講座といっても、本格的な手入れの仕方とかを教えてくれるわけでは無い。簡単に言うと、寄せ植え講座だ。小盆栽を作って、お家で育てる。
今回のメインは梅。
私、最初の盆栽は梅がいいな、ってずっと思ってた!
何しろ、花が咲くので華やかで可愛い。香りもいいし。
そして、なんだか梅は情に厚い姐さんっぽい気がするのだ。大事に育てれば、しっかり応えてくれると思う。単に、飛び梅の話が好きなだけかもしれないけど。
(飛び梅は、太宰府に左遷された菅原道真を追いかけて、梅が京都から飛ぶ、という話です。キテレツ)
ついでに梅酒も好き!
当日、園芸店の片隅のプレハブに向かう。
参加者は私と友人のノムさんを含めて5人。少数精鋭だ。
こんな片田舎で盆栽を作りたい人が5人もいることにちょっと驚きも感じた。みなさん、どういった素性の方なのだろうか…?
語り合うチャンスは無かったのでよくわからないが、きっと仲良くなれただろうな。ちょっと惜しいことをした気がする…。
目の前には、これから盆栽になる具材(?)が準備されていた。
白梅ちゃんと斑入りのハタザオだそうだ。
これを講師(園芸店の店員さん)の方の指示のもと、鉢にぐいぐい詰めていく。
鉢が小さいので、とにかく、土をガツガツ落とす。そうしないと入らない。
盆栽は小さい鉢で木を大きくしないものなのだろうが、用意された鉢が私には小さすぎる気がする…。根を制する者が盆栽を制する(?)
とりあえず詰め込んだ私の白梅ちゃんは鉢から相当はみ出しているが、講師の方に「よし」とうなずいていただけたので、これでいいと勝手に判断する。
根はある程度はちぎってしまっても大丈夫なのだろうか?びくびくして、これ以上はできない…。
続いて、角あたりの隙間に赤玉土をガツガツ詰め込む。割り箸でザクザクつつくと、結構入る。なんだか、寄せ植えって詰め込んでばかりだな…。
余談。赤玉土を見て思い出したのだが、園芸でよく使われる土に「鹿沼土」がある。土地木県(仮)鹿沼市で採れる土なのだが、元をたどるとこの土は我がG県の赤城山の噴火による軽石なのだ。
友人のでんさんは「土地木(仮)が、G県のもので潤ってる!」と悔しがっていた…。G県民、心狭い…。
さて、植物を鉢に詰め込んだら、最後の仕上げとして、土にコケを張る。
コケについては、私も多少は知識がある。が、今までコケを育てられた事が無い。すぐに枯れちゃうのよ、コケ…。私のお世話にご満足いただけないのだ…。気むずかしいご主人様。
きっと、このコケもすぐに枯れちゃって、土むき出しの盆栽になるんだわ…と最初から諦めモードで割と手荒にコケを貼り付ける。
講師の方によると、コケと土がよく混じるように上からぎゅっと押さえつけると根付きやすい、とのこと(コケに根は無いが…)
でも、きっとすぐに枯れちゃうんだ…。コケに関しては最初から期待しないの。そのほうが、後で傷つかないもん…。
ジョウロで水をやり、アクセントに灯籠をのっけて完成!
所要時間は1時間くらい。
結構、よくできた気がする。(自画自賛)
鉢のビビットな赤とコケの緑が良い感じ。これに、白い花が咲けばすごく映えるに違いない。
花が咲くのが楽しみだ。
「すぐにでも咲くと思いますよ」と講師の方は言っていた。
いつかな~?待ち遠しいな~。
コケが枯れるのと、花が咲くのと、どちらが早いだろう…?
赤城山(黒檜山)~雪ふる前に~
新年あけましておめでとうございます。
今年も変わらず、気ままに続けて行きたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
新年明けてはいるのだが、昨年の12月初旬の赤城登山の話から2019年をスタートしたい。
赤城からスタートだと、なんだか縁起が良い気がする。なんといっても、わがふるさとの山!
実は当初は赤城に登る気持ちは全く無かった。しかし、11月に妙義山と榛名山を立て続けて登ってしまい、私の頭の中に「上毛三山制覇」の文字がちらつき出したのだ。
2つ行ったら、最後の1つを外すわけにはいかない。
コンプリートを目指すコレクター魂がわき上がり、欲望という名の電車が走り出してしまった。欲望は振り払おうとしても振り払いきれず「もう、行こう。行くしか、自分の気持ちをおさめる方法が思いつかない…」と、なにか悲壮な気持ちで赤城行きを決意したのだ。
時は12月。今すぐにでも行かないと、雪が降ってしまう!もう、明日にでも行きたい気持ちだ。
週末すぐにでも山に誘える一番手軽な人選として、今回、私は伝家の宝刀を抜いた。
父と登山。
ちなみに父は本人曰く登山歴60年以上だそうだ。すごいな。山を登って半世紀以上。
11月までは秋の延長線上のような気候だったが、12月に入って、一気に寒さを増してきた。
登山口に向かう車の温度計は「-2℃」を表示している。
寒いじゃないか!マイナスじゃないか!
さすが赤城。冬本番にはカルデラ湖である大沼が全面結氷して、ワカサギ釣りが楽しめる場所である。寒いのだ。
8:30 大沼湖畔の大洞駐車場着。
赤城山は榛名山と同じく、「赤城山」という山頂は無い。地蔵岳や長七郎山や鍋割山などのたくさんの峰をあわせて「赤城山」なのだ。
ちなみにG県民のソウルカルチャー「上毛かるた」で「裾野は長し 赤城山」と読まれているとおり、その長く美しい裾野が特徴である。数万年前に大噴火し、山の上部分が吹っ飛んだため、今のようなガタガタの形になったが、それ以前は富士山型をしていたであろうと言われている。上部がそのまま残っていたら、富士山より高かったのではないか…?と聞いたこともあるが、どうだろう?
山の神様の話としては、日光男体山と激しい戦いを繰り広げた話なども有名だ。(諸説あるが、赤城が負けたらしい…。昔から、土地木県(仮)には負けっぱなしな気がして涙を禁じ得ない)
本日は駒ヶ岳側から登り、黒檜山に縦走して、そのまま下るコースで行く。父曰く、その方が登りが緩いので楽だと思う、とのことである。
私は山登りぺーぺー時代に、この逆コースで登った。とにかく加減のわからない時代にガツガツ登ったので、翌日以降数日間、激しい筋肉痛に泣いた記憶がある。
今回はどうだろう?装備も充実、嬉しいな(byエキセントリック少年ボウイ)なので、少しは上手に登れるようになったと思うのだが…。
8:50 登山開始。寒いけれど、天気良好。
木々の間から大沼が見え、登るにつれてだんだんと遠くなるのがなんだか嬉しい。
振り返ると、地蔵岳の上に電波塔がたくさん並んでいるのも見える。テレビなどの電波の中継点なのだ。G県では屋根の上のテレビアンテナは赤城に向けて設置する。(ちなみに地蔵岳は小学生の遠足定番コースでもある)
しばらく歩くと、鉄の階段が現れる。
「うん。そうだ、長い階段ばかりだったな、確か」と父。十数年ぶり(もっと?)に登るという父はどんな感じだったかまったく覚えていないらしい。
…実は、数年ぶりの私もあまり覚えていない…。筋肉痛しか覚えていないなんて、あんまりだ…。
階段を黙々と登ると「階段はキライだな、うん」という父の声。激しく同意だ、父よ!
でも、赤城は整備がしっかりしていて、段差が低めにそろっているので、比較的登りやすい。
9:45 階段を登りきり、見晴らしのいい場所に出る。
下界が見渡せていい景色だ。
写真を撮ろうと、アイちゃん(iPhone)を取り出して、カメラを起動した途端、ブラックアウト…。
またか!?またなのか、アイちゃん!!
昨年、荒船山に登った時も、寒さに凍えて、冬眠しちゃったよね!
(アイちゃんは寒がりなので、気温が低い場所では電源が落ちることがある)
うう…。しかし、これは予想すべき事態だった…。なんと言っても2回目だからね…。しかし、前回同様何の対策も講じていない私…。ばかばか。私のばか。
モバイルバッテリー持って行くべきだった。以後、寒い登山には必ず持って行くこと、と心のノートに書き留めた。うう…。
できることといえば、アイちゃんを暖めるべく、ズボンのお腹部分に挟み込むことだけ。人肌で暖めるのが一番よね。遭難時の常識(?)
復活してくれ、アイちゃん!
ヤマレコでGPSログもとっていたのに…。(でも、相変わらずブログへの貼り付け方はよくわかんない)
10:05 駒ヶ岳山頂着。1685m。魚肉ソーセージを食べて休憩。
ここで、アイちゃんを再起動してみたところ、復活した!
電源につながなくても、復活するみたい!よかった~。体温を分け与えた甲斐があった!
GPSのログが不自然に途絶えているが、まあいい。後からみたら、「ここで消息を絶った」という感じがするけど…。
ここから、頑張ってね、アイちゃん!凍えないよう、ポケットに入れて歩くことにする。
休憩後、次なる目的である黒檜山を目指して出発する。
当たり前と言えば当たり前なのだが、駒ヶ岳山頂から一気に下る。
かなり下るので、なんだかもったいないような気になる。せっかく登ったのに…。黒檜に行くには下った以上に登らなくちゃならないのね…。
10:30 大だるみ着。下りきったので、ここから黒檜に向けて、登りが始まる。
登りは木の階段が多く、階段嫌い親子の私たちにはちょっと辛い。整備はしっかりしているので、登りやすいけれども。
「やっぱり、駒ヶ岳から下ったのがもったいなかったな」と父は階段をにらんでいる。登山歴60年超えでも、初心者の私と同じようなこと言うんだなあ、となんだか感慨深い。三つ子の魂百まで(使い方間違い?)
黙々と階段を登り、11:20頃、「絶景スポット60歩」の看板に出会う。
60歩…!!細かっ!
山頂とは反対方向だが、60歩なら行くよねえ…。60分じゃ行かないけど。
歩数を数えていた登山者の方が、「ま、そんくらい」と言っていた。
「日本一の関東平野 筑波山」との触れ込みも書いているけれど、私は筑波山見るの忘れた…。うっかり日光方面ばっかり見てしまった。痛恨のミス!
よく見れば、筑波山見えたのかな…?
絶景スポットから、標識どおりすぐに黒檜大神が祀られた神社のある南峰に着。11:30。
さらに先に歩を進め、11:40黒檜山頂着。1828m。
気温があがってきたので、多分霜柱が溶けて、山頂付近はどろどろ、ぐちゃぐちゃ。
うーむ、お昼ごはんを食べるスペースを探すのが大変だ。泥の海にわずかに顔を出す岩はすでに先人に占められている。
隅っこの方の比較的固めのゾーンで、空気いす状態になりながら、鍋焼きうどんをすする。長時間、空気いすは辛いので、最終的には立ち食い。まあ、それもまた良し。
鍋焼きうどんは寒い日には最高!
お腹がふくれた後は、山頂の奥にある「絶景スポット」とやらに行ってみる。2分だっていうし、行かないわけにはいかない。
どろどろぐちゃぐちゃ道をたどると、確かに絶景スポット!下界一望!
しかも、こちらは地面が比較的乾いている。父も「こっちでお昼にすればよかった…」と言っていた。そうね。お互いに初めて登った山じゃ無いのに、この絶景スポットをまったく覚えていなかった…。
目を転じれば、木の枝が砂糖菓子のように凍り付いている。これが霧氷!地元テレビの視聴者投稿コーナーによく出てくるヤツだ!初めてみたので感動。
もう、すっかり冬なんだな~。本当に雪降る直前ギリギリなのだろう。
12:30 山頂発で下り始める。
黙々と下って、写真一枚撮っていない…。寒さのせいか、アイちゃんの充電残量がかなりの危険ゾーンに達してしまったのだ。
ヤマレコを動かしていると、結構電池くうのね。やっぱり、モバイルバッテリーが必要だった。
道は結構急で岩が多い。こんなに急だったのか…。
ぺーぺー時代の私は、この道を愛用のスニーカー(コン●ース)で登ったのだ。(ついでにザックはユニ●ロ)
…すごいな、当時の私。
今、まわりを見渡しても、そんな無茶をしている人はいない。当時、きっとまわりのベテラン登山者の方をハラハラさせてたんだろうなあ。
安心してください。今ではトレッキングシューズ、履いてますよ。(by安村さん)
14:00 無事、黒檜登山口着。楽しい登山であった。父も満足気。
赤城山、いい山だ!
初めての登山にぴったりの山なのではないだろうか。ちなみに、私も初めて登った百名山は赤城山だ。(コン●ースで…)
急勾配もあって登り甲斐もあるし、その先に絶景スポットはあるし、登山道もしっかり整備されているし。ついでに下山すると湖畔に売店もあるし。(冬はわかさぎの天ぷらも食べられる!)
雪が降る前に赤城に登れてよかった。
これにて、2018年上毛三山制覇である!
そういえば、今年「上毛三山スタンプラリー」というのをやっていたけど、どうせ、全部は行かない、と思って参加しなかった…。悔やまれる…。
<コースタイム>
8:30大洞駐車場…8:50駒ヶ岳登山口…10:05駒ヶ岳…10:30大だるみ…11:20絶景スポット…11:20黒檜南峰…11:40黒檜山(昼食30分)…12:20絶景スポット②…12:30下山開始…14:00黒檜登山口…(赤城神社経由)…14:30大洞駐車場