睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

牡丹咲く~庭の花~

庭の牡丹が咲いた。

今年は当たり年なのか、とにかく大量につぼみをつけ、一気に咲いたので、花盛りである。

巨大な花がみっしりと枝先で重たそうに、ぼよんぼよんと揺れている。

牡丹そのものは1本しかないので、そこだけが何やら異世界のような彼岸の入口のような不思議な感じだ。

さすが百花の王。その存在感はずば抜けている。

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牡丹はアップで撮りたくなる。

そのまま、庭をうろうろすると、あちこちで花が咲いている。春なのだ。

毎年同じ花が咲いているはずだが、「君の名は」と聞きたくなる花にも出会う。

よし!と気合いを入れて、以前買ったまま活用されていない「ヤマケイポケットガイド 野の花」のページをめくるが、探し方も良くわからない。

どういう順番に掲載されているのだ?

やたらにページをめくってみるが、何一つ得られるものはなく、本を閉じることとなった。君とはやってられんわ。

次いで、インターネット上の花図鑑も検索してみるが、それらしき写真に遭遇しても、イマイチ自信が持てない。

やっぱり、詳しい人に教えて貰うのが一番かもしれない。

確か、以前もそんなことを思って、登山中に咲いている花の名前をいろいろと教えてもらったが、下山後、何一つ覚えていなかった…。やる気が感じられないな、自分。

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マツバウンランでいいのでしょうか?全く自信なし。

 名前が判明している花もある。

藤が重そうに花房を垂れている。

私は藤が好きだ。

藤が好きな理由を話すと長くなるが、簡単に言うと源氏物語」が好きだからだ。

小学生の頃、「マンガで読む偉人シリーズ 紫式部」が私の本棚にあり、何度読んだかわからないくらい、繰り返し読んだ。そんな娘の好みを察した父親が、「マンガで読む源氏物語」を追加で購入してくれたので、そちらもむさぼるように読み尽くしたのだ。

今から思うと、マンガに飢えていただけのような気もするが…。

当時は百人一首の読み札のお姫様を眺めて「式氏内親王几帳があってステキ」とか「小野小町の着物はピンクで可愛い」などと、うっとりしていた。女子らしく、綺麗なお姫様が単に好きだったのだ。(ちなみに持統天皇も几帳がある。皇族は几帳があるルール?)

このまま百人一首を本格的に始めていたら、若宮詩暢(byちはらふる)みたいになれていたのに…。惜しいことをした。

話が大分それてしまったが、源氏物語といえば「若紫」。紫=藤である。

どうでもいいことだが、私が隠居後に住む庵の名前は「睡紫庵」にすると決めている。最初は「垂紫庵」だったが、睡るの方がいいなあ、と思って、このブログを始めるときに変えたのだ。ちなみに「独活亭」もいいなあ、と思っている。

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藤を地植えにすると大変なことになる、と聞いているのでまだ鉢植え。藤棚は憧れ。

もう一つ、私の好きな花と言えば椿である。

今年は咲くのが遅く「つぼみのまま枯れちゃうのか」と私をヤキモキさせたが、3月末からようやく咲き出した。椿って、2月のイメージがあったけど…。

ずぼらな私は何度も水やりを忘れ、水多めが好きな椿たんには辛い環境にあったかもしれない。ごめん。今後はしっかりと水を切らさないようにするので、来年も咲いてください!

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一番好きな黒侘助。完璧。

その他、庭で見つけた春の花。

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桜草。私はコケも好き。

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オダマキ

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満天星と書いて「ドウダン」。美しい漢字。

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オマケ。シクラメンはもう終わりの季節

  

suishian.hatenadiary.jp

 前に書いた。椿のはなし。

 

suishian.hatenadiary.jp

 すごく前に書いた。牡丹のはなし。

「sol×solがおしえる 多肉植物育て方ノート」松山美紗 監修

冬になると、なんとなく部屋が狭く感じる。

ベランダに出しっ放しにしている多肉植物たちを室内に入れるからだ。

1鉢2鉢ならたいしたことないが、小さい鉢がごちゃごちゃと20鉢くらいある。けっこうな量なのだ。

多肉植物はとにかく種類が多く、世界中にコレクターがいるらしい。コレクターってどこにでもいる…。コレクターの世界の奥の深さよ。

私は別に多肉植物コレクターではないが、ちょこちょこ買っているうちに、だんだん増えてしまったのだ。

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観葉植物も入り乱れて、混沌とした窓辺。

 

私が多肉植物を育て出したのは、多分10年以上前だ。つきあいで「寄せ植え教室」に参加したところ、寄せ植える植物が多肉植物だったのだ。パンジーとかの寄せ植えだと思ってたのに…。

初めて多肉植物を手にして「何じゃコレ…。葉っぱが肉肉しい…」と不信感いっぱいだったのだが、できあがった寄せ植えを毎日眺めているうちにだんだんと愛着が湧いてきた。

ハムっぽい感触の葉っぱは、しっとりとして手になじむし、ぷりんぷりんした見た目もかわいい。

そして、何より水をこまめにやらなくても全然枯れない。多肉植物は葉に水分をためる植物なので、多少、水やりを忘れたところで問題ないのだ。ラクダと同じだ。

しばらく「けっこういい寄せ植えじゃないか~」と眺めていたところ、何やら葉っぱがぐんぐん伸びていく。

生長早いんだな。大きくなれよ~(by●大ハム)」と楽しく見守っていたが、多肉ちゃんは茎をどんどん伸ばし、葉の密度はすっかすかひょろひょろに。

「これは…生長じゃないかもしれない…」とようやく気づき、ネットで検索して、この状況が日光不足の「徒長であることを知る。

アカンやん!窓際に置いといたのに!

ひょろひょろに伸びた多肉ちゃんをあわてて外に出してみたが、時すでに遅し。そのまま、半分ほどがご臨終した。

ごめん…。知識が無いって、許されない時もあるのだ。

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徒長した虹の玉。切り戻したけど、そっちも徒長している…

 

この反省を活かし、多肉ちゃんの実用書を何冊か購入し、知識の習得に努めた。

その中で、一番お気に入りの本が「sol×solがおしえる 多肉植物育て方ノート」だ。

(ちなみにsol×solとは、多肉諸物専門のお店だ)

何がいいって、掲載されている写真が非常にお洒落なのだ。ステキすぎる。

すでに多肉植物を「かわいこちゃん」ととらえることのできる私の目には、アイドル名鑑であるかの様に見えてくる。いろいろな多肉ちゃんの写真がずらりと掲載。

さらに、掲載されている寄せ植えが、ものすごく可愛い!そのかわいい寄せ植えが置かれた部屋の写真は、インテリア雑誌そのものだ。

す…ステキ!

 

多肉植物育て方ノート」には寄せ植えの作り方もしっかりと書かれている。

早速、本を片手に、葉差しで増やした多肉ちゃんたちで寄せ植えを作ってみたりする。

割と簡単に良い感じに出来る。ほれぼれ。

多肉ちゃん、できる子や…。

私のようなずさんな人間でも、そこそこな寄せ植えができてしまう。ポテンシャルが高い。

いそいそと出来上がった寄せ植えを窓際において、重大な事実に呆然とする…。

徒長するかも…。

多肉ちゃんは日光が好き。日光不足だと、あっという間に徒長してしまうのは、一番最初に経験済みだ。

屋外に置けば多分、ぷりぷりのまま良い感じに生長してくれるだろう。

しかし、ステキに出来上がった寄せ植えは、インテリア雑誌みたいにお洒落な感じに室内に置きたいのだ。私のごちゃごちゃな部屋が多肉ちゃんの寄せ植え一つでお洒落になる訳が無い、という声はちょっと置いておく。

本当なら、窓際じゃ無くて、本棚とかお風呂場とかの水回りあたりに置いてみたりもしたい。しかし、そこは日光が足りないのだ。もっと光を…!!(byゲーテ

とりあえず、窓際においてしばらく愛でることにする。あまり長期間じゃなければ大丈夫だ。

徒長の兆しが見えたら、室外に出して、場合によっては切り戻しをして形を戻す。

めんどくさい…。

結局、いくつか作って友達にあげたりしたが、最近はあまり作っていない。作っても、屋外に放置している。

マメじゃ無い私を許して…。でも、私は多肉ちゃんの「水やりしなくても大丈夫」というずさんなところに惚れたのよ。しょうがないよね。

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比較的最近作った。セダムたち3種類寄せ植え。屋外に放置してた…。

 

多肉植物育て方ノート」にはいろいろな種類の多肉植物が掲載されている。

しかし、それでも図鑑としては全く足りていない。我が家の多肉ちゃんたちでも掲載されていないものがかなりある。

冒頭にも書いたが、多肉植物はとにかく種類が多いのだ。

「えっそれも多肉ちゃん?」と言いたくなるようなものも沢山ある。ただの球根からちょろーんと葉っぱが生えているだけのものとか。←こんな変な植物なのに、買うとかなりいいお値段がする。レア?

また、名前が知的でロマンチックなものが多く、「かーーっ名前つけた人、センス良すぎる!」とうなってしまうことも多数だ。

月兎耳(つきとじ)」は見た目が兎の耳みたいだから。全体に細かい毛がふわふわしていて、先が黒いのだ。

すばらしいネーミング!「月」が付いているところがセンスの良さだ。

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月兎耳。割と手に入りやすい品種。

朧月」「ブロンズ姫」も好きな名前だ。

ちなみに、我が家の朧月は、初めて作った寄せ植えから生き残っている長老だ。

私のテキトーな世話にも負けず、ものすごく丈夫なのだ。このまま長生きして欲しい。

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朧月。横にちょろっと映っているのがブロンズ姫。

また、花が綺麗なものが多い。

奇妙な形態の極みだと思うリトープス属の花はけっこうお気に入りだ。

リトープス植物には決して見えない。強いて言うならキノコに近いような気がする…。

最初は「キモチワルイから、私はリトープス属には手を出さない」と決めていたが、今では「リトちゃん、かわいい模様だね」と、ぴとぴとお触りしながら話しかけている自分がいる…。人って変われるものだなあ。

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リトープスの花。

最後に、今、一番気に入っている多肉ちゃんの写真を載せておく。

ビーンズレーマニー」である。

多肉植物育て方ノート」に載っていないし、私が持っている他の本にも載っていないので、イマイチ詳細はよくわからないが、ころころした感じが気に入っている。

伸びすぎているので、そのうちカットするつもりだ。

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ビーンズレーマニー。名前を忘れるので、書いてあるモノがあれば、そのまま差しておきます。

冬になると、多肉ちゃん達が室内で圧倒的な存在感を放っているので、やはり、どうにも気になってしまう。

そして、ついつい葉差しで増やしてしまったりする。(多肉植物は簡単に増やせる。葉っぱを取って、土に転がしておけばよい

春になったら、また寄せ植えを作ろうかな。かわいく仕上げて、お洒落なインテリアに再挑戦したいものだ。

今日、「多肉植物育て方ノート」の写真を、またじっくりと眺めてしまったので、気持ちが盛り上がっている。

愛いヤツめ…。ふふふ…。 

sol×solがおしえる 多肉植物育て方ノート

sol×solがおしえる 多肉植物育て方ノート

 

 

桜咲く

春が来た。

桜が咲くと、春が来た、と急にそわそわしてしまう。早く、花見に行かないと桜が散ってしまう。何が何でも、咲き誇る桜を見なければならない。だって、今年の桜は今年だけだから。

しず心なく 花の散るらん とうたった紀友則の気持ちがよくわかる。

もうちょっとだけ、待っていて欲しい。そんなに散り急がないで。

 

という私の気持ちが通じたのか、今年は開花してから寒い日が続き、満開まで少し足踏み。週末のぽかぽか陽気で満開になるという、最高の状況。

ありがとうございます。天気の神様。気象神社にお参りした御利益かしら?

 

今年もいそいそと花見に出かけた。

桜の下で飲むビールはサイコー!

4月は花見で酒が飲めるぞ 酒が飲める飲めるぞ 酒が飲めるぞ(by 日本全国酒飲み音頭)

本当はノンアルビールを飲んで、崎陽軒のシュウマイをつつく、という、ピクニック花見だった。絵に描いたような酒盛りしたいな。

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満開の桜の花の下

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さくら さくら さくら

さらに 今年は妙な焦燥感が強く、夜桜も見物に出かけた。

宴会で賑わう人たちや、夜桜見物でそぞろ歩く人々で、かなりの人出だった。日本人はどうしても、桜が咲くと浮かれて出かけてしまうものなのだろう。もう、しょうがない。

私もスマホ片手に桜並木をぶらぶら歩く。

ぼんぼりの明かりを頼りに写真を撮っていると、突然、あたりは真っ暗に。

「わあ、停電!?」「ここだけ暗くなったぞ。屋台は明かりがついているのに」と周りの見物客の皆さんと、少しざわついたが、原因は時計をみてすぐに判明。

どうやら、9時半を過ぎると、何の予告もなく照明が落とされるらしい。

割と早い!

うう…もうちょっとぶらぶらしたかった…。

未練がましく、暗闇の中でフラッシュをたいて写真を撮ってみたりするが、桜が幽霊の様に映り込む不気味な写真になってしまい、即座に削除する。ちょっと怖い!

ここは、いさぎよく諦めよう…。

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夜空に映える

ついでに、春の花と言えば菜の花。

鮮やかな黄色が目にまぶしく突き刺さって、春の到来を教えてくれる。

なんとなく、こちらは庶民的で身近な暖かさを感じるのは私だけだろうか。桜が華族のお嬢様なら、菜の花は平民の女学生って感じ。

 

車を走らせていたら、土手が黄色に染まっている光景を目にして、たまらず車を脇に駐めて写真を撮ってしまった。

多分、車で通りがかった方には「なにやってんだろう、あいつ…」と不審に思われたに違いない。怪しい行動。

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黄色の洪水。うっすら見える山は赤城山

 

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菜の花と桜のコラボレーション

他にも春を告げる花は次々と咲いている。

気温も高くなり、ぽかぽか陽気で朝、起きるのが辛い。(朝起きられないのは春だけでは無いが)

山もおぼろに霞んでいる。

春になった。

春になって、暖かくなれば、また高い山にも行けるシーズンがやってくる。

今年、行きたい山のピックアップを始めよう。

やっぱり、春はうきうきする季節なのだ。わーい。

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神社には桜が似合う

 

宝登山〜春近し〜

冬の低山歩きの総決算として、長瀞宝登山に行ってきた。

実は昨年、モ●ベルのイベントの抽選で、宝登山ロープウェイの無料券が当たったのだ。

有効期限は無いみたいだけど、早めに使った方がいいだろう。どうせなら、宝登山の代名詞である蠟梅が咲いている時期に行こう、と2月中旬に設定した。

催玉県(仮)北部はほぼG県である。長瀞も北部なので、ほぼG県と言って間違いないであろう。距離的にも我が家から車で1時間半弱くらいで到着する。近い。

…催玉県(仮)民は「ほぼG県」であることに、どのような感情を抱いているのか知らないが、ホンモノのG県に住まう我々は催玉県(仮)北部を快く受け入れる用意がある!

学校の校歌に赤城山を歌う地域として、共に手を携えて世間の荒波に立ち向かって行こうではないか!

(長瀞秩父だから、校歌に赤城は出てこないな…)

 

近いので、当日朝は8時出発。今回の同行は山の相棒ノムさんだ。

ただ宝登山に登るだけではつまらないので、長瀞アルプスから宝登山山頂を目指すルートを歩くことにする。

「…そのルートだと、ロープウェイ使わないのでは…?」とノムさんが気づく。

「…うむ。下りだけ使うってのはどうかな?券は往復券だけどね…。贅沢をしてみようよ」

とりあえず、行きは自分の足で歩く。

この山はロープウェイを使うと、ほぼ登らない、歩かないで山頂に到着できてしまう。

普段、ロープウェイは大好きなのだが、この山ではさすがにパスしてみた。

 

9:30過ぎに秩父鉄道長瀞駅に到着。

がらーんとした駐車場に車を駐める。料金は1日300円。安い。

駐車場のおじさんは私たちの服装を見て「神社だけなら、もっと安くするんだけど、山の人は長いから300円ね」と告げた。…ディスカウントできるくらい、閑古鳥が鳴いているのか、冬の長瀞駅前!

夏場はライン下りやら何やらで、かなりの賑わいぶりなのだろうが、寒い冬に来る人は少ないのか…。こたつ船でライン下り実施しているみたいだけど。

 

何かもの悲しい気持ちで駅へ向かう。

すると、意外や意外、駅前はたくさんの人であふれており観光協会の人(?)が次々訪れるハイカー達を宝登山へと案内している。

そうか!大都会の人は車じゃなくて、電車で来るのか!

ほぼG県といえど、さすが催玉県(仮)。大都会に近いので、訪れる人も多いらしい。

 

観光協会の人(?)が田舎から訪れた私たちにも「宝登山ですか?」と優しく声を掛けてくれた。

ありがとうございます!

でも、私たちはここから一駅だけ電車に乗り、そこから宝登山を目指すので、今、案内はいらないのだ。

田舎者への優しさに対する感謝を胸に駅の改札をくぐる。

当然、自動改札なんてものはない。秩父鉄道はどローカル線。Suicaも使えないのだ。

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長瀞駅ホーム

10:00 野上駅到着。

ここも人で大賑わい。私たちと同じく長瀞アルプス経由で宝登山を目指す人はたくさんいるらしい。

しかし、こちらの駅は観光協会の人(?)はおらず、自らの力で目指す登山口までのルートを歩くことになる。

正直、人がたくさんいてくれてよかった…!

野上駅から登山口までは徒歩およそ20分程度だが、住宅地(いや、田舎道といった方が正しいか?)の一般道路を歩いて行くので、先を行く人々がいなかったら迷っていた可能性が高い。

長瀞駅前で地図貰ったけど、私もノムさん地図は苦手だ。…登山する上で大切な能力が私たちには欠けている…。

何事にも先達はあらまほしき事なり(by吉田兼好)」とつぶやきながら、迷うこと無く長瀞アルプス登山口である万福時に到着した。9:20。ありがとう、先達!

 

長瀞アルプスは、穏やかな樹林帯の道がほとんどで、眺望はあまりない。冬なので、木々の合間から少し景色が望める。

「アルプス」いうよりは里山という雰囲気だ。

道を行く人も多く、なんとなく、先日登った太田金山を思い出した。ただ、太田金山は地元民がほぼすべてなのに対し、長瀞アルプスは大都会民が大勢を占めている点が大きく異なる。うーむ、さすが催玉(仮)。

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里山の雰囲気

 「神まわり分岐」「天狗山分岐」「氷池分岐」をてくてくと超える。

四角友里「山登り12ヶ月」によると、この氷池から秩父名物天然氷が切り出されるそうだ。冬に切り出しておいた氷で、夏にかき氷を食べる。贅沢の極みである。

清少納言枕草子で、甘蔓をかけた削り氷は上品なもの、なんて言っていたらしい。平安の昔は、本当に限られた一部の人だけが食べることができた超高級品だっただろう。それが庶民でも田舎者でも食べられる現代って、すごい時代だなあ。

氷池を見てみたい気持ちになったが、そこはぐっと堪え、引き続き長瀞アルプスコースを行く。長瀞アルプスの「神まわりコース」だと、氷池をとおるらしいので、今度来るときは、そのルートにしてみたい。

 

11:25小鳥峠

名前が可愛いので「ぴよちゃん峠」と呼んで、手を鳥の形にして写真を撮る。

私は鳥が好き。

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手を鳥の形…?

11:40 毒キノコ看板前

長瀞駅で地図貰った地図に、しっかりと書かれている「毒キノコ看板前」という地名(?地名というか、スポット名?)

…他に言い方、無かったのかな…?

「毒キノコ看板って何!?」とキノコ好きなノムさん若干興奮気味。

宝登山頂、もうすぐ、と毒キノコが教えてくれる看板じゃない?ベニテングダケとか!ク●ボーかも!」と私もかなり期待大。

実際に見てみると「毒キノコに注意!」という看板だった。

タマゴダケの絵とか書いてあるけど、「やたらにとって食べないことが最も安全といえます」というあたりまえの結論に至る、いたってまじめな看板だ。

なんか、学校の先生にこんこんと諭されているような文章で、どうも、身が縮むような気持ちになる…。

地名(スポット名?)になるようなキャッチーなインパクトのあるものを想像していたので、この生真面目さに少し拍子抜けした気分になる。

そりゃ、そうだよね…。何に期待していたのだろうか、私たちは。

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毒キノコ看板。

 毒キノコ看板を過ぎると、最後の仕上げ(?)の木の階段地獄が待っていた。

地図には「山頂まで約200段の階段」と書いてある。ここまでアップダウンのあまりない穏やかな道だったが、ついに登りが現れた。

ラスボス、という言葉が私の頭をよぎる。

「階段、キライ!」と涙ながらにノムさんに訴えてみるが「私も嫌いだけど、仕方がないじゃないか」と返されるのみ。淡々と登るしかあるまい。

段になっているべき土が流れてしまっていて、丸太が飛び出しているだけの階段で「丸太、かえって邪魔やねん!」と、私はついつい不満を口に出してしまう。いかん、いかん。楽しく登らなくては。

ノムさんは私の後ろから「ママ~ う~うぅぅ~」となぜか、ボヘミアンラプソディを歌っている、というか呻いている。やはり、進退窮まった時に助けを求めるのはママなのだろうか…。

 

12:10山頂着。497.1m

かなり広く、ベンチなども設置されているが、人が多く、お昼を食べる場所を確保するのもちょっと大変だった。

思い思いにくつろぐ皆さんに混じって、今回も私はカレーメシの良い匂いを周囲にまき散らした。最高においしいから!ソーリー、ごめんあそばせ。

ノムさんからレモンケーキのチョココーティング、といった感じのおやつを分けてもらい、甘いものの補給も万全だ。

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山頂から。秩父名物武甲山

天気が良かったので、山頂からは秩父のシンボル、ピラミッド山武甲山や、百名山両神山が望めた。

いずれは、どちらも山も登るつもりだ。しばし、待ってて!

食後は、宝登山神社奥宮へお参り。13:15。

ここの狛犬三峯神社と同じく、である。この地方はそういう信仰の地らしい。

隣の売店ではたき火があり、焼きミカンを売っている。

焼きミカン、とても、おいしいそう!しかし、さきほどご飯をじっかり食べてしまったので、今回は買わずなかった。甘さが増すんだろうな、きっと。

たき火、いいな~。

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焼きミカンと熱燗。うひょ。

奥宮の先は、今回の目玉である臘梅園。ちょうど見頃。

黄色い花弁に日の光が透けてほんのり輝き、あたりは甘い香りが漂っている。

春が近い。

ついでに福寿草も梅も咲いている。

春って、華やかな季節だな。こんなに一気に花が咲き乱れる景色になれば、そりゃあ、浮かれるってもんだ。

ロープウェイ組も加わり、春の花見の賑わいだ。

みんな、春の訪れを感じているのか、どこか足取りが軽く、笑い声のさざめきが賑やかだ。

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臘梅

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白梅

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福寿草

賑わいにつられて、うらうら歩いていると、すぐにロープウェイの駅に到着。

ノムさんロープウェイ乗る?

「…いや、歩こうか

なんだか、春の気配に心が浮き立っていたせいか、長瀞アルプスが割と穏やかだったせいなのか、気力体力共に余裕があったので、歩いて下山を選択してしまった。

つまり、せっかく貰ったロープウェイ無料券は全く使わず…。

モ●ベルさんに言いたい。

モ●ベルのイベントには、登山が好きな人が行くのであって、宝登山の場合は登山が好きな人はロープウェイは使わない…。

どうしよう、この無料券。一応、次の機会があると信じて、持っておこう。でも、次の機会も足で登っちゃう気がする…。
 

宝登山の登山道は綺麗に砂利で整備された道で、急坂にならないよう勾配に沿って、うねうね曲がって作られており、多分とても歩きやすい。でも、単調なので、ちょっと飽きる気もする。

途中、藪の中を一気に下る獣道のようなショートカットルートがつけられていたので、(おそらく登山者が勝手につけたと思われる)ついつい、ショートカットルートに入ってしまった。そっちの方が楽しかったので…。スミマセン。

 

14:30 麓の宝登山神社着。

下りはショートカットルートを使ったせいか、多分、30分ちょいくらいで下りられてしまった。

今回、長瀞アルプス登り、宝登山下りルートを選んだのは正解だった。

逆コースだと、宝登山の登りが単調で地味にずっと登るだけのルートで、あまり変化が無く面白みに欠けたような気がする。

長瀞アルプスコースは、楽しい山歩きからスタートして、宝登山を楽しんだ後、一気に下ってフィニッシュという、いい配分になっていると思う。

御朱印も2カ所貰えたし、春の花も堪能できて、楽しい一日であった。

 

余談だが、宝登山神社から駅までは土産物屋さんなどが多く並んでいる。

「豚みそ丼」や「こんにゃく」が名物らしい。

…名物が完全にG県なんだけど…

「やっぱり、催玉県(仮)北部はG県で間違いないね」

ノムさんと二人、確かな確信を持って、催玉県(仮)を後にした。

G県はいつでも、催玉県(仮)北部を歓迎する!

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冬だけど、天然氷いただきました!おいしゅうございました!

<コースタイム>

9:45長瀞駅…10:00野上駅…10:20万福寺…11:10氷池分岐…11:25小鳥峠…11:45毒キノコ看板…12:10山頂(お昼50時間)…13:15宝登山神社奥宮…13:45臘梅園…14:30宝登山神社
 

小盆栽講座

ついに、行ってみた。小盆栽講座に。

以前から盆栽には興味があったのだが、まだ手を出してはいけない領域だと自分に言い聞かせていた。せいぜい、盆栽だー!!(大宮市で売っている。サイダー)を飲んで悦に入る程度にとどめていたのだ。

しかし、たまたま行った園芸店で小盆栽講座のチラシを発見してしまい、そのまま勢いで講座を予約してしまった。

多分、冬はあまり山に行かないので、他のことに貪欲になっているのだと思う…。

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大宮盆栽だー!!(さいたまるしぇHPより拝借)

 

盆栽講座といっても、本格的な手入れの仕方とかを教えてくれるわけでは無い。簡単に言うと、寄せ植え講座だ。小盆栽を作って、お家で育てる。

今回のメインは

私、最初の盆栽は梅がいいな、ってずっと思ってた!

何しろ、花が咲くので華やかで可愛い。香りもいいし。

そして、なんだか梅は情に厚い姐さんっぽい気がするのだ。大事に育てれば、しっかり応えてくれると思う。単に、飛び梅の話が好きなだけかもしれないけど。

飛び梅は、太宰府に左遷された菅原道真を追いかけて、梅が京都から飛ぶ、という話です。キテレツ

ついでに梅酒も好き!

 

当日、園芸店の片隅のプレハブに向かう。

参加者は私と友人のノムさんを含めて5人。少数精鋭だ。

こんな片田舎で盆栽を作りたい人が5人もいることにちょっと驚きも感じた。みなさん、どういった素性の方なのだろうか…?

語り合うチャンスは無かったのでよくわからないが、きっと仲良くなれただろうな。ちょっと惜しいことをした気がする…。

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これから盆栽作ります!

目の前には、これから盆栽になる具材(?)が準備されていた。

白梅ちゃんと斑入りのハタザオだそうだ。

これを講師(園芸店の店員さん)の方の指示のもと、鉢にぐいぐい詰めていく。

鉢が小さいので、とにかく、土をガツガツ落とす。そうしないと入らない。

盆栽は小さい鉢で木を大きくしないものなのだろうが、用意された鉢が私には小さすぎる気がする…。根を制する者が盆栽を制する(?)

とりあえず詰め込んだ私の白梅ちゃんは鉢から相当はみ出しているが、講師の方に「よし」とうなずいていただけたので、これでいいと勝手に判断する。

根はある程度はちぎってしまっても大丈夫なのだろうか?びくびくして、これ以上はできない…。

 

続いて、角あたりの隙間に赤玉土ガツガツ詰め込む。割り箸でザクザクつつくと、結構入る。なんだか、寄せ植えって詰め込んでばかりだな…

余談。赤玉土を見て思い出したのだが、園芸でよく使われる土に「鹿沼土」がある。土地木県(仮)鹿沼市で採れる土なのだが、元をたどるとこの土は我がG県の赤城山の噴火による軽石なのだ。

友人のでんさんは「土地木(仮)が、G県のもので潤ってる!」と悔しがっていた…。G県民、心狭い…。

 

さて、植物を鉢に詰め込んだら、最後の仕上げとして、土にコケを張る。

コケについては、私も多少は知識がある。が、今までコケを育てられた事が無い。すぐに枯れちゃうのよ、コケ…。私のお世話にご満足いただけないのだ…。気むずかしいご主人様。

きっと、このコケもすぐに枯れちゃって、土むき出しの盆栽になるんだわ…と最初から諦めモードで割と手荒にコケを貼り付ける。

講師の方によると、コケと土がよく混じるように上からぎゅっと押さえつけると根付きやすい、とのこと(コケに根は無いが…)

でも、きっとすぐに枯れちゃうんだ…。コケに関しては最初から期待しないの。そのほうが、後で傷つかないもん…。

 

ジョウロで水をやり、アクセントに灯籠をのっけて完成!

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完成!隣はノムさんの作品。

所要時間は1時間くらい。

結構、よくできた気がする。(自画自賛

鉢のビビットな赤とコケの緑が良い感じ。これに、白い花が咲けばすごく映えるに違いない。

花が咲くのが楽しみだ。

「すぐにでも咲くと思いますよ」と講師の方は言っていた。

いつかな~?待ち遠しいな~。

コケが枯れるのと、花が咲くのと、どちらが早いだろう…?

 

「おさんぽきのこ」石塚倉譆

今年の人間ドッグのお供本に選んだ本は「おさんぽきのこ」である。

区切りがつけやすくて、写真とかが多い本、という人間ドッグお供本の条件にぴったり。

 

私はきのこが好きで、山に行って、きのこを見つけると「らぶりー!」とわーわー騒ぐけれど、実は知識は皆無。山に生えているきのこで名前がわかるものは1つもない。(ベニテングダケならわかるかも。生えているの見たことないけど。)

ここらで少し、きのこの知識を仕入れておこう!と意気込んで、この本を購入した。

 

人間ドッグの検査の合間に読みふける。

本の冒頭に書かれているが、この本は図鑑ではない。山の楽しさと、きのこの世界の多様さ」を伝えることを主眼としているそうな。

ただ、きのこの名前を知りたいだけなら、きのこ図鑑でいい。この本は、そこから一歩踏み込んでいる。(ちなみにヤマケイポケット図鑑「きのこ」も持ってる)

一応、体裁は図鑑のものであり、きのこの種類ごとに写真や解説がある。その解説が面白い!きのこ狩りの世界にどっぷりひたった作者しもじ氏(石塚氏)が、実際に山で発見、採取、料理(中には毒きのこもあり)した体験記になっているのだ。

シャカシメジのところの解説はこんな感じ。

しもじ氏は初心者だった時に、このきのこを発見。しかし、当時はそれが何なのか、食べられるのかわからず、知人の仲介できのこに詳しい大学教授にあずけてみた。「一体、なんていうきのこなんだろう」とわくわくして返事を待っていたところ、ようやく来た返事が「おいしいきのこ ありがとう」だった…

教授、イイね!人間ドックの検査の合間だけど、声に出して笑う私。

表紙にきのこがどーんと大写しの本で笑う私は、さぞ奇妙だったろう…。周りの検査待ちのみなさん、迷惑掛けてすみません。

 

改めて気づいたけど、きのこに詳しい人って、きのこ狩りに行く人なんだね…。

…そりゃ、そうだよね…。

なぜ、きのこに詳しいのか。それは、きのこ狩りをするから。なぜ、きのこ狩りをするのか。それは、きのこを食べたいから

私は山に生えているきのこの名前がわかるようになりたい!という軽い気持ち程度で、その先の「採って食べる」意識がなかったので、「ほー、そういう世界もあったか!」と認識を新たにさせてもらった。

この本の内容は、きのこの世界を紹介する、というよりは、きのこ狩りの世界を紹介する、と言った方が正しいと思う。

 

きのこ狩りの世界、って全く知らない世界だったから、驚くことが多かった。

きのこは毎年同じ場所に生えることが多く、たくさん生える場所(シロと言うらしいです)を探し当てると、絶対に他人には教えないそうな。教えると、先に収穫されちゃうかもしれないから。

クリフンセンタケの解説文には、ショッキングなエピソードが!

作者のしもじ氏がクリフウセンタケの大株を発見。「うわ~これは見事な株だ!」と声をあげて、写真を撮るべく、ザックからカメラを取り出していると、一緒にきのこ狩りをしていた仲間が「おーこれは凄いな~」と言いながら、自分のカゴに放り込んでしまったというのだ。

なんて厳しい世界なんだ!仁義なき戦いみたい。

スキを見せた方が負けなのね…。

「信頼関係…?何それ?」(by カイジ

 

また、しもじ氏は、山で食べられるきのこを見つけると、全部採りたいのだそうだ時にはトラックの荷台埋まるくらい収穫する時もあるとか!すごいな。

…食べる分だけ採る、という考えではないらしい。割と貪欲。

時には、いろんな事情で、全部持ち帰れず、途中で泣く泣く捨てることもあるとか。

うーん…登山のマナー「山で植物は絶対に採取しない」というのが、私の頭をよぎり、どうも、気持ちがついていかない…。

(ちなみに、本にはちゃんと保存方法とかも書かれている)

 

…他にも雪山きのこ狩りエピソードとかもあって、とにかくきのこ狩りにかける情熱に圧倒される。

そこまでして、きのこが採りたいのね!

こういう人たちがたくさんいるって、知らなかったよ!

 

きのこ狩りか…。興味が無くは無いけれど、多分、私は足を踏み入れられないな…。まだ、情熱が足りない。

一番はじめに「私はきのこが好き」と書いたけど、形やその不思議な生態が好きなだけであって、この本を読むまでは、食べる方のことは全然考えていなかった。これで「きのこ好き」を名乗るなんて、片腹痛かった…!反省。

ちなみに、私は子どもの頃、バーベキューでシイタケの串焼きを「お肉だよ、おいしいから食べなさい」と母にだまされて以来、ずっとシイタケが大嫌いだった…。社会人になってから、ようやくなんとか食べられるようになったけど。(乾燥シイタケは今も苦手)

子どもの頃の出来事って、影響大きいよな~。

私がきのこを食べる方に興味が出てきたら、狩りに挑戦してみよう。割と、近い将来かもしれない。

 

ちなみに、本の冒頭に「この本は図鑑ではありません」と明記されているけれど、十分、図鑑としても使える。

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きっと、オニイグチ。渭伊神社内の天白磐座遺跡でみつけた。なんと、食べられるらしい。

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たぶん、ルスラ(ドクベニタケ)。毒。四阿山に生えてた。写真イマイチ…。

 

余談だが、人間ドッグの際に、医者に「体重が年々増えています。ここらで止めましょう」と、言われた…。

そうしたい気持ちは山々なれど、そううまくいかないのが、人の世の常ってやつでねえ…。

きのこ、ダイエットにいいんだよね…。きのこ狩りか…。

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黄色は多分カベンタケ。食べられるらしい。これも四阿山で発見。(「おさんぽきのこ」には掲載なし)

 

おさんぽきのこ.

おさんぽきのこ.

 

 

尾瀬 アヤメ平〜天上の楽園〜

夏が来れば思い出す~♪

夏が来たので、尾瀬に行って参りました!

しかも、今回は尾瀬の中でも初アヤメ平。山の相棒ノムさんの職場のおじさんのオススメ。

なんでも、昭和30年代後半の登山ブームの頃には、尾瀬といえばアヤメ平のことだったそうな。ただ、当時は木道も整備されておらず、マナーも確立していなかったため、ハイカーがどんどん湿原を踏み荒らし、激しく荒廃。現在は復元作業も進んでいるが、訪れる人はまばらになっているらしい。

でも、かつて「天上の楽園」と呼ばれた場所。おじさん情報によると、今でもけっこうイイらしい。それに、尾瀬ヶ原尾瀬沼は何度か行っているので、ここらでちょっと違うところに行ってみるか~と割と安易にアヤメ平行きを決定。人が少ない、というのもイイな~と。

 

今回はいつものノムさんに加えて、学生時代の同級生ゴマちゃんも同行。ゴマちゃんは登山はせいぜい高尾山の経験があるくらい。

尾瀬は平らだから大丈夫だよ~」と、とりあえず言っておく。アヤメ平は若干(?)登るらしいのだが、それは言わない…。

 

前日は老神温泉泊。ちょっと贅沢。 

旅館の方に無理を言って、当日朝食をおにぎりに変更してもらい(ありがとうございました!ごはん、おいしかったです!)、当日は朝7時発。

8時には戸倉第一駐車場からバスに乗って、鳩待峠へ。

天気は晴れ!多分、下界は相変わらず40度に迫る猛暑。でも、鳩待峠まで来ると、さわやかな風が吹いている。さわやか尾瀬サイコー!

今日も楽しい一日になりそうだ~。るんるん尾瀬の看板前で写真を撮る。

そして、最重要事項、バスの最終発車時間17:20を心に刻みこみ、目標は16:00着にしとこう!」と誓い合う。やっぱり、目標は高く持たないとね!多分無理だけど←歩き出す前から、こう思っているあたり…

 

ここでプチ情報。

尾瀬の看板の横にルートマップ(ポケットサイズに折りたためる)が置かれていて、無料でもらえる。便利なので、貰っておくと非常にありがたい存在になる。しかーし、人が多いこの時期はだいたいナッシング!売り切れ!

(私は以前もらったものを何回も持って行ってるので無問題)

 

準備体操をして、8:50頃、アヤメ平に向けて出発。

のっけから階段が登場する樹林帯の登り道。それほど急ではないので、「昨日の宿のお風呂にラックスのヘアパックがあって、感動したね〜」などと、くだらない話をしながら、だらだら登る。すれ違う人はほとんどいない。

 

1時間くらい林の中を歩くと、急に視界がひらけて横田代到着。9:50くらい。

ワタスゲさんがかわいく揺れてる!

そして黄色い花が咲き乱れてる!

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ワタスゲさん。ぽやんぽやん。

 

「この黄色い花はなんだ!」

「めっちゃ綺麗じゃないか〜」と興奮する私たち。

写真を撮る合間に、ガイドブック「大人の遠足BOOK  尾瀬と周辺の山を歩く」で花を調べる。

載ってた!

この黄色い花はキンコウカ!ナイスだ、大人の遠足BOOK!

なんでも、この花は8月上旬くらいのアヤメ平を黄色に染め上げるらしい。(実際に行ったのは7月下旬だが、今年は花が全体的に早いみたい)

わぁ!全然知らなかったけど、アヤメ平の最高の時期に来たみたい!ツイてる!ラッキーの神様にお礼を言わなくては!

 

横田代を抜け、また林の中をゆるーく登る。

トンボが飛びまくっていたり、出来立てほやほやの松ぼっくりが間近で見られたりで、登りは全く苦にならない。

横田代でテンションが上がっているので、何を見ても楽しいのだ。アドレナリン、ありがとう。

最高地点中原山(標識だけ。特に景色がいいわけでも何でも無い)を過ぎてほどなくアヤメ平到着~!1959m。結構、高い!時間は11:00くらい。

一面のキンコウカの黄色の海に池塘がきらきらと光を反射させ、背景には燧ヶ岳がどーんとその雄姿を現す。

なに、ここ、天国!?さすが、天上の楽園!

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 写真の腕が足りない…。少し加工してみたけど…。

 

この景色で思い出すのは、ナ●シカ!

その者蒼き衣を纏いて 金の野に降り立つべし…

私の耳には「らんらんらららんらんらん…」の音楽がどこからか聞こえてくる…

金の野だよ、ここ!

青い服着てくれば良かった!残念ながら、私の服はよしこちゃん(ガンバレルーヤ)と同じどピンク!(の上に、白いTシャツ。)

ふがいない自分に腹が立つ!バカヤロウ、自分。次は青い服だ!

 

やや青い服を着ているゴマちゃんは、初めての尾瀬でこの景色に感動ひとしきり。

天国のようだよ

こんな綺麗な場所に連れてきてくれて、ありがとう…

とつぶやいた後、

「しまった、今の発言で、天に召される感が増してしまった!あたし、まだ召されない!」と我に返る。

 

極めつけの発言をかましたのは、やはりノムさんであった。

「私、今まで生まれ変わったら、家猫になりたいと思ってたんだけどさ~、今日、考えを改めたよ。アヤメ平で飛んでるハエになりたい!

ハエ!

ノムさん、ハエでいいの!?

確かに、この花畑で気ままにぶんぶん飛んでるのは気持ちいいかも…。でも、ハエだよ、ノムさん!考え直して!

その後、ノムさんが考えを改めてくれたかどうかは定かではない…。

 

天国湿原を抜けると、片側が切れ落ちた尾根の様な道。

右手に遠く、山並みが一望できる。先日登った日光白根とか、G県ソウルマウンテン赤城山(多分…確信はない)とか。

尾瀬でこんな景色が見られるところがあると思わなかった。1900m超えてるんだもんね~。

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絶景なり!石川五右衛門どころではない。

 

尾根ゾーンを抜け、富士見峠手前の大きな池塘の前のベンチでお昼休憩。だいたい11:30。

尾瀬はあちこちにベンチがあって良いよね~。

カップラーメンの塩気が染みる…。

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3種類そろい踏み。景色にベストマッチ!3分待ってる最中です。

 

お昼休憩後は、欲張って尾瀬ヶ原へ。だいたい12:10頃、竜宮に向かって、樹林帯をどんどん下る。

地図には「急坂」と書かれていたので、どれだけの坂なんだ!?とちょっとびくびくしたけど、それほど急坂じゃなかったと私は思う。

しかし、登山経験がゼロに近いゴマちゃんは「岩が怖い…」とちょっと辛かったらしく、「尾瀬は平らって言ったよね!?平らじゃないじゃん!」と憤慨。

いやあ、大半は平らだよ。ちょっとだけ坂があるのよ。

ノムさんも「この先は平ら~。大丈夫、すぐよ~」などどテキトーな事を言い、「その「大丈夫」に根拠はあるのか~!」と怒られてた…。

ふふ、多分、根拠は無いね。

 

およそ14:00少し前に、坂を下りきり、尾瀬ヶ原へ。

ばーっと開ける視界。湿原の少し丈の長い草が風に揺れてる。

わあー、尾瀬だ~!

私の口からは「これが尾瀬 あれも尾瀬 たぶん尾瀬 きっと尾瀬」(by愛の水中歌)のフレーズが自然とこぼれ出る。我ながら、古い曲のチョイスだな…。

一面の湿原!どこまでも続く木道!

これが尾瀬!アヤメ平も良かったけど、やっぱり尾瀬ヶ原も好き!

山中ヒコ「500年の営み」というマンガ(一般向けマンガではない)で「尾瀬は世界で一番綺麗な場所」って言ってたな~。そのラストシーンは、この尾瀬ヶ原だったな~なんてことも思い出す。

 

本当に綺麗な場所。

東を見れば燧ヶ岳、西を見れば至仏山

どこにカメラを向けても 綺麗。フォトジェニック!今風に言うならインスタ映え

午後に入っての強い日差しが、陰影をはっきりさせて、それがまた夏らしくてイイ。夏が来れば思い出すのは尾瀬だもんね!

「こっちにもこれて良かったよ~」とゴマちゃんのご機嫌も急上昇。

3人で写真を撮り合い「木道を至仏山に向かっていく後ろ姿、召される感がスゴイ!」などとはしゃぐ。

 

しかし、この時期咲いているだろうと思っていたニッコウキスゲはほとんど姿を見ず。

時期がもう遅かったかな~?鹿の食害でだいぶ減っていると聞いているけど、尾瀬沼の方に行かないと、あまり見られないのかしら?

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咲いてた!レアキスゲ

 

その他にも結構いろんな花が咲いていて、大人の遠足BOOKのおかげで、お名前も判明。

大人の遠足BOOK、スバラシイ!ヤマケイポケットガイドとは大違いだよ。場所を限定するがどうかって、すごく大事なんだね…。

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ヒツジグサの群れ。

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コバギボウシ

 

牛首分岐で少し休憩。時間はおよそ15:00。

ここでゴマちゃんが気づいてしまう。

「ここで15:00だとさ。16:00にバスに乗るのは不可能なんじゃないの?

…そうっすね。

朝、そんな事、言ってましたね…。

でも、「ま、16:00は無理だろうな」と思いながら目標設定してたからね…。

「大丈夫よ。17:20には間に合うから」

と、のんきなノムさん

私とノムさんは毎度このテキトーな感じで時間設定をするので「最終に乗れなかったらどうなるの!?」「ヘッデンの登場なの!?」という切羽詰まった会話をすることになるのね…。

ゴマちゃん、ごめん。

でも、ここからなら本当に17:20には間に合うから大丈夫だ!16:00は間に合わないけどね!

 

牛首から山ノ鼻ビジターセンターまでは約40分。

山ノ鼻に着いたら、もう尾瀬ヶ原は終わり。

ああ~尾瀬が終わっちゃう~」とさみしい気持ちになる私。もうちょっと、この場所のさわやかな空気で遊んでいたいな~。

しかし、そんな訳にもいかず、15:40山ノ鼻ビジターセンター着。

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至仏山池塘に空が映ってステキ。

 

山ノ鼻からは樹林帯をおよそ1時間の登り。

ここの登りが疲れた体にダメ押しのように効く…。

しかし、割と段差の少ない木道だったり、石畳の段だったりするので、比較的登りやすいかも。尾瀬は整備が行き届いているからいいねえ。

ゴマちゃんも「これなら大丈夫」と言って、どんどん登っていった。…むしろ、多少登山経験がある私とノムさんの方がダメだった…。

車ばっかり乗らないで、これから鍛えよう…。

 

鳩待峠着は16:40くらい。

当初の予定からは40分遅れかな?いや、ある意味予定通りの到着時間。

ふふふ、ゴマちゃん、ちゃんと間に合ったぞ!(全然反省してない)

3人で健闘をたたえ合い、朝写真を撮った尾瀬の看板の前で再び写真を撮る。

わーい、楽しかったね~。

とりあえず、コーラで乾杯!は~炭酸、染みる!

 

今回の尾瀬本当に良かったな~

バス内で写真を眺めながら、感想を言い合う私たちなのであった。

秋の草紅葉も見たいな~。尾瀬沼の方も行きたいな~。

でも、次は至仏登山!

近いうちにまた来るぞ~と心に誓い、尾瀬を後にしたのだった。

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鳩待峠で出会った。…待っててくれたの?

 

<コースタイム>

7:00老神温泉発…7:50戸倉第一駐車場…(バス)…8:30鳩待峠(準備20分)…8:50鳩待峠発…10:00横田代(休憩15分)…11:00アヤメ平…11:30富士見峠前分岐(昼40分)…13:50竜宮小屋(休憩・お買い物15分)…15:00牛首…15:40山ノ鼻ビジターセンター…16:40鳩待峠…17:30戸倉第一駐車場

尾瀬と周辺の山をあるく (大人の遠足BOOK)

尾瀬と周辺の山をあるく (大人の遠足BOOK)

 

 あると便利な本。敢闘賞!