睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「模倣犯」 宮部みゆき

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かつて、私の中でSM○P(社会情勢を鑑みて伏せ字)が出る映画は面白くない、という固定観念があった。  

K村さんの「2046」(ちょい役だけど)、Kサナギさんの「ホテルヴィーナス」の2作品は私にはかなり厳しかった。(その後、I垣さん&K取さんの三谷作品を見て、考えを改めました。念のため)  

でも、N居さんの「模倣犯」はぶっちぎりだ。  

ぶっちぎりで面白いのではない、ぶっちぎりでつまらないのだ。いや、別の意味ではつまらなくないけど、意味不明なのだ。  

ラストで、何故かN居さんの首から上が、唐突にちょん切れて空中に浮かび、爆発して散るのだ……。  

何故!?何故、頭が爆発……!!  

見ている人の99%が頭の中を「?」で一杯にしただろう。  

しかも、その後のラストで、山崎努が自分の孫娘と中居君の(あ、字を変えるの忘れたけど、もういいや)間に出来た赤ん坊を抱き上げ、そこで突然壮大な音楽が鳴り響き、ものすごく強引に感動的(?)に終わるのだ。  

ここは、感動するところなのか?というか、いきなりなんで赤ん坊が出てくるのだ……?とさらに私の頭の中は「?」で満員御礼。  

さらに悪いことに、その日、映画館は超満員で、私は最前列で見たのだった。最前列って、ものすごく首が疲れる……。(というより、今ではあの映画でどうして超満員だったのかが分からない……)  

おかげで、以来、私の中での映画ランキング不動のワーストワンはこの作品だ。  

 

そんな想い出のある作品が文庫になった。  

映画公開当時、宮部ファンが「小説を読んでいると、あの映画も納得がいくかも」と言っていたのを思い出し、5冊一気買い。  

あの頭爆発シーンは原作ではどうなっているのか?というのが、私の最大の関心事だった。  

ああっ!  頭爆発シーンも、赤ん坊抱き上げ感動(?)のラストシーンも、みんな原作にはないじゃないか~! 

どうして、映画にはあんなシーンを入れたのだ!  

何故何故?ホワ~ィ?  

もしかすると、最近よくある「CGを使ってみたかったから」というだけの理由じゃないだろうな~!!(頭爆発シーンはCGだった)  

「映画は少し貧乏なくらいでちょうど良い」という、最近の私の映画観を裏打ちするような感じだ……。  

中居くん、悪かった。あなたやSM○Pが悪いんじゃない。監督や制作が悪いんだ。  

ここで言い切るのは時期尚早かもしれないが、言ってしまおう。  

「宮部作品の映画化反対!」  

今回、原作読んで、あまりの面白さに愕然としたよ……。  

一見、映像化しやすそうに見えるけれど、宮部作品の良さは、ストーリーだけじゃない。丹念に書かれた登場人物の心理描写や情景描写が良いのだ。  

だから、長い原作の筋だけなぞるような映画を作るとつまらないのだと思う。 (それに監督さんたちも気づくから、頭爆発シーンとかの視覚的なモノを入れちゃうのかもしれない)  

それなので、今、公開中の「ブレイブ・ストーリー」にも、何か恐怖心があって、見られないのだった……。評判を聞くと、どうやら「CGを見る映画」らしいし……。  

松たか子の声は聞きたいのだが……。