睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「銀河鉄道999」松本零士

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冥王星が惑星の地位を追われてしまった。  

残念だが、仕方がない。冥王星が惑星でいると、どんどん惑星が増えていってしまって、収集がつかなくなるらしいから。  

まだ、アメリカは抵抗しているらしいけれど、自国の人間が発見したから、というだけの理由で抵抗するなんて、あまりにも手前勝手で恥ずかしくないだろうか……と恥の文化をもつ日本人の私は思ってみたりしている。  

(ちなみにミッ○ーマウスの飼い犬がプ○ートで友達がグー○ィーということに、どうしてみんな疑問を抱かないんだ!?同じ犬なのに、その扱いの差はなんだ!?)  

という話を、先日、職場の人としていた。  

すると「……冥王星には、メーテルの本当の体が眠っているんですよ……」と私の向かいに座っている兄さんが、残念そうに言った。  

ああ!そういえば、メーテルは氷漬けのその体を見て、涙しているシーンがあったような気がする。あれは冥王星だったのか!(ちなみに単行本1巻に収録)  

それを考えると、冥王星降格、残念なり!  

冥王星」という名前は「冥土ほど遠い」という意味で付けられたそうだ。その「冥土」の「冥」の字を使っているところからも、氷漬けの体の墓場という点でふさわしかったのに……。 松本零士さんはどう思っているんだろう……?(どこかのテレビ番組で、彼にコメントを求めていたらしいけれど)  

まあ、「メーテルの体が眠っているから、冥王星は惑星でいてくれないと困る!」というは日本人の手前勝手を通り越して、賛同者すらほとんど得られない阿呆な意見であるのは承知しているので、主張はしないけれど……。  

そこから、私と向かいの兄さんの999話は続く。  

「昔から、ものすごくあこがれているものがあるんですよ」と兄さんは切り出した。  ほう、何ですか?と聞いてみると  

「宇宙合成ラーメンです!」  

おお!あの鉄郎がいつも「まずい」といいつつも食している、あのラーメンか!  

「確か、まずいんですよね?」と聞いてみると「いや、どんな味なのか、もう、とにかく食べてみたくて仕方がなかったんです、小学生当時の私は!」と兄さん、熱く語る。  

確かに……。どんな味なのか、興味はある。  

さっき、単行本をちょろっと読み返してみたところ、本物のラーメンを食べることになった鉄郎が、感動して「地球ではもう、原料が手に入らないので、まぼろしの貴重品と言われた……あ、あの偉大な食べ物 ラ・ラ・ラ ラーメンをたべられるのかい……!?」と口走り、一口食べた後、「これが……人類の口の永遠の友とうたわれたラーメンの味!!」と感涙にむせんでいるシーンがあった。  

このラーメンにかける熱さ!鉄郎の熱さに比べたら、向かいの兄さんの熱さなんて、全然お話になりませんな。  

そうか、鉄郎の時代になると、小麦粉さえも手に入らなくなるのか……。そうすると、うどんもパンもケーキもお好み焼きもたこ焼きも、まぼろしの貴重品なんだろうなあ……。そんな時代に生きるのは嫌だな。その時代には米も取れないだろうし……。  

合成って言うのは、きっと、前に手塚治虫のマンガ(火の鳥だったかな?)にあった「窒素から食物を合成します」というあれだろう。  

確か、手塚マンガでも「まずい……」とされていた。  

本物を食べた鉄郎があそこまで感動するということは、やっぱりまずいんだろうなあ……。  

うーん、どんな味なんだろう……。私まで気になってきた。  

宇宙合成ラーメン……一度だけ食べてみたい。横浜ラーメン博物館あたりで発売してくれないだろうか?でも、まずいんじゃ、売れないか……。  

でも、そのラーメンは未来の味がするに違いない。  

宇宙旅行が当たり前に出来る時代になって、「かつての惑星、冥王星を見に行こう!」なんてツアーができたりする時代になれば、宇宙合成ラーメンが当たり前になってしまっているのかもしれない。そして、本物のラーメンに、鉄郎のように感激するのかなあ……?  

そんな未来はあまり歓迎したくないな