「ことわざ絵本」五味太郎
さらに、岡山旅行の話である。(多分、これで最後です)
岡山名物といえば、きびだんご。
桃太郎がこのだんごを餌につり(間違い)猿とキジと犬をお供にした由緒正しい岡山名物である。
私は「きび」だんごというくらいなんだから、黍から出来ているんだと思っていた。
ところがである。
「きびだんごは、もち米に水飴・米飴・砂糖を加えて練り上げ、最後に風味をつけるため、国内産の黍を加えて仕上げます。」(廣榮堂HPより)
嘘つき~!!
もち米から作っているって事は、ただの普通のだんごじゃないか!
もち米の粉は普通、白玉粉という。(ちなみにうるち米の粉が上新粉)
ということは、白玉だんごに黍粉かけたものってことなのか!?そうなのか……。
なんだか、ちょっとがっかりだよ……。
確かに、漢字で書くと「吉備団子」で「黍団子」ではないのよね……。
桃太郎の時代は(平安時代末期から鎌倉期か?)黍100%のものだったらしいけど……。(それに汁なんかをかけて食べたそうだ)
でも、携帯用の食糧として普及したのは、現在の米粉使用になってかららしい。(おそらく江戸後期から)
桃太郎、あんたはどっちで、いたいけな猿・キジ・犬をお供にしたんだ!?
時代的には「黍だんご」だろうな。
真面目な話、黍100%団子はあまりおいしくないと思う……。
そんなもので、命がけの戦いに連れて行かれちゃったのかしら?目頭が熱くなるわ……。
まあ、それはともかく、きびだんごの老舗は、先ほどHPを引用した「廣榮堂」さんだ。
安政3年創業らしい。ちなみに、ペリーの来航は嘉永4年で=安政元年。
どうも、日本史を勉強していたせいか(私の専門は明治なもので……)、幕末=最近、と思ってしまうのだが、普通に考えれば、けっこうな歴史のあるお店だ。
きびだんこを現在のものに改良したのは、このお店の先祖らしい。
ほほう。やはり、どうせ買うなら老舗のものがいいだろう、とお店に入ってみると、かわいらしいパッケージのきびだんごが並んでいる。
こ……この絵は……!五味太郎さんじゃないか~!
五味太郎さんといえば、私にとっては「ことわざ絵本」の作者である。
子どものころ、いつも手元に置いていて、暇なときに、ぱらぱらと拾い読みをしていた記憶がある。
あの本のおかげで覚えたことわざは数え切れないほどだ。
私が好きだったのは何故か「二階から目薬」。
2階から下にいる人目がけて目薬をさそうとしている絵は、妙に鮮明に覚えている。 確かその説明に「やろうとしても できないってこと。ああ、もどかしい、って感じ」とか書いてあった気がする。
そしてさらに、五味流ことわざ「金網越しの大乱闘」の絵が描いてあった。
上手い!そして、シンプル!
子どもの頃は「……なんかよくわかんないけど、そういう意味なのか……」と思っていたが、今、思い返すと、これ以上ないくらいに、上手く説明しているよな~。
その他、「火のないところに煙はたたぬ」を「屁のないところにあぶくはたたぬ」(だったかな?)と言い換えたり、「ちりも積もれば山となる」を「山が積もればもうおしまい」(これ、好きだった!)と言い換えていたな~。
子どものころ、これが気に入って、年中言っていた気がする。
そんな想い出を振り返りつつ、お土産に五味イラスト付ききびだんごを購入。
かわいいぞ~!
食べてみると、シンプルで品のある味。最後にほんのり黍の香りがする。
おいしかった。牛皮みたいな感じで、私は好きだ。
やっぱり、黍製ではなく米粉製黍風味にしたのは正解みたい。文字通り「餅は餅屋」ってことかな~?
そして、「名物にうまいものなし」というのは嘘ですな~。
是非、五味太郎さんに「名物にうまいものはなし きびだんごバージョン」を書いて欲しい。
「名物に(きびだんごより)うまいものなし」とかね。(何のひねりもないな……。つくづく自分の発想力の乏しさに嫌気がさすわ……)
そして、店頭に飾ったらどうかな~?
(本来「名物にうまいものなし」は「すごくおいしいらしいぜ」と期待して、実際食べると「それほどでもないか……」と思うことを言うらしいが)
それにしても、どうして五味太郎さんがイラストを描くことになったんだろう?岡山出身なのかな?
蛇足ながら、友人は「あ、この人の話、教科書に載っていたよね。懐かしいな~」と言っていた。
……記憶喪失、記憶喪失……。
教科書の方はまったく覚えていない……。
まあ、彼女と私は同じ学校に通っていた訳じゃないので、私の教科書には載ってなかったのかもしれないけど……。
何が載っていたのかしら?「ことわざ絵本」ではないだろうな……。