睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「クローディアの秘密」E・L・カニグズバーグ

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 日本人はどうして水があると、お金を投げ込んでしまうのだろう……?  

という疑問はみんな抱いたことがあるんじゃないだろうか?     

私の県の県庁の玄関には「けんのかたち」というモニュメントがある。(県の形の黒御影石の中央から水がこぽこぽとわき出ている)  

来庁者がそこにぽんぽんお金を投げ入れるので、「どうしたもんか……」と常に管財課を悩ませているらしい。結局は●●交響楽団に寄付しているらしいが。  

さらに、温泉地の源泉なんかにもみんなお金を投げ入れる。  

草津温泉の源泉なんか、硫黄が強いからか、お金溶けてて、原形をとどめてないのもあったよ……。  

こっちは、放っておけば溶けて無になるから、それはそれでいいのかも……。  

水=浄化=浄財 という考え方なんだろうな~とは、思う。  

でも、投げ入れているところは、神社の賽銭箱でもなんでもない、ただの水たまりなのよう!  

それに、神社の「浄財」と書かれている賽銭箱には水なんか入ってないぞ!  

同じ投げ込むなら、コンビニのレジの脇にある募金箱の方がいいんじゃないだろうか?  水は浄いものだ、という考え方からすると、この行動は日本人特有なんだと思いがちだ。  

が、どうやらそうではないらしい。アメリカ人もコインを投げ込む習慣があるらしいのだ。  

「クローディアの秘密」を読むと、それがわかる。  

「クローディアの秘密」は、主人公クローディアとその弟が、家を抜け出し、メトロポリタン美術館に忍び込んで生活する、という話だ。  

美術館での生活資金をクローディアがどうするのか?  

なんと、庭の噴水に投げ込まれたコインを拾い集めるのだ!  

おお……!  

アメリカ人も噴水にコイン投げ込むんだ!  

しかも、1枚や2枚じゃなく、大量に投げ込まれていたらしい。  

キリスト教圏のアメリカでも水=浄化の考え方があるのかしら?  

いや、もしかしたら、ニューヨークに観光に行った日本人がどんどこ投げ込んじゃったのか……?農協のツアー客とかだとやりかねない気はするが、それにしては、大量みたいだけど……。  

どうなんだろう?  

もしかしたら、水を見たらお金を投げ込みたくなる、という習性は全人類共通なのかなあ……?  

本能なのかも。  

「どういうことだろう……。あの噴水を見ていると、右手が勝手に財布を開け、小銭をつかみだし……おおお!やめろ!この小銭は給食費の足しにするものなのに……くっ駄目だ……」  

大きく振りかぶって、スローイン  

ぽちゃん。  

……これは、本能じゃなくて、操られてるか(笑)  

何にせよ、日本人以外もコインを投げ込む習慣があるのかどうかがとても気になる……。  

以前、南紀白浜アドベンチャーワールドで、コインをガラスの机の上に投げられたらぬいぐるみがもらえる、というアーケードゲームに熱中する中国人集団を見たことがあるけど……。中国には、あるな、この習慣(確信)  

ちなみに、美術館に忍び込んで何日も生活するって、楽しそうだけれど、多分無理だと思うなあ……。  

メトロポリタンくらいの大規模館になれば、隠れるところとか結構あるのかなあ……?   

※この本は現在、絶版だそうです。  

ああ、天下の岩波書店なのに……。