睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「笑うカイチュウ」藤田紘一郎

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 最近、とても尊敬している人がいる。  

それは、さかなくんだ。  

今までは「変な人だな~」と思うだけで、特別にどう、という気持ちは無かった。  

けれど、先日、朝日新聞で連載されている「いじめられている君へ」という特集にさかなくんが執筆した。  

内容もとてもよかったのだが、それよりも、中の一言に「この人はすごい!」と感動してしまったのだ。  

よかったらココをクリックして読んでみて下さい。いい文章です。  

「ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます」  

これが、私の感動した文章。  

どこに感動したのかというと「ぼくは変わりものですが」と、何でもないことのようにさらっと書いていることだ。  

そう。確かに、この人は変わりものだ。どこからどうみても、一分の余すところのない完璧な変わりものだ。  

自分は変わりものだ、とはっきり言い切り、なお、そんな自分でいい、としっかり肯定できるってスバラシイ。そういう風に夢中になれるものがあるっていうのが、うらやましい。  

ブラボー、さかなくん!  

私は彼の文章に力をもらったよ。ここのところ、自分の生き方に自信をなくし気味だったのよ……。いい年して、本とマンガばっかり読んでいる生活だもんで……。  

 

思い返してみるに、私は「変わりもの」が好きだ。  

さかなくんとは違うジャンルだが、私が尊敬している変わりものがもう一人いる。  

それは、藤田紘一郎だ。  

寄生虫学の権威。ひたすらカイチュウの研究をしていて、医者のくせに臨床を全然やっていないので患者を診られない、まさに研究医!  

でも、藤田先生は「私なんてまだまだ……目黒寄生虫館の館長には遠く及びません」なんて言っている……。  

どんな変わりものなんだろう、目黒寄生虫館館長。興味ありあり。  

(関係ないけれど、私は過去3人に「目黒寄生虫館に行くといいよ。きっと気に入るよ」と勧められている。なんでや……?)  

この「笑うカイチュウ」はその研究の日々を綴ったエッセイ風の作品だが、寄生虫に関する注意喚起もふんだんに含まれていて、非常にいい本だ。さすが、何かの賞を受賞しただけのことはある。(すみません。何の賞だか覚えてません)  

しかし、とにかく驚く、その研究の日々。  

お腹の中に寄生虫を飼っていると、アレルギーが抑えられる」という自説を証明するため、自らサナダムシくんを飼ってみる藤田先生!(ついでに、奥様も飲んでいた)  

どうして、そういうことしちゃうんですか!?  しかも、離婚前の真田広之ご夫妻にちなんで「サトミちゃん」などと名前をつけてかわいがる日々。  

妊娠中の女性ってこんな気持ちなのかな~?」などどいう、世間の女性を敵に回すような発言もさらっとなさっている!  

うーん、すごい。  

これを変わりものと言わずとしてなんとする!?  リスペクト!とにかくリスペクトだ!

「尊敬」なんていう昔からある日本語では、とてもこの私の気持ちを言い表せない。  

他にも「コンビニトイレ流産事件」「早朝糞取り職質事件」等  (詳しい内容を知りたい方は是非、この本を読んで下さい。「空飛ぶカイチュウ」「獅子身中のサナダムシ(←サナダムシを飼う様子はこの本)」も合わせて是非!) とにかく、余人の追求を許さない変わりものぶり。  

こういう生き方って、カッコイイなあ……。  

好きなものについては徹底的に追求する。たとえ、まわりから「変わりもの」という目で見られようと、好きなものの世界に浸っているときは、最高に楽しい。  

イイ!  

カッコイイ!  

本年はこういった人たちのように、自分の楽しみを追求した一年にしたいと思います。  

年頭一発目にふさわしい、いい決意表明が出来る一冊でした。  

よし。こいつは春から縁起がいいね!  

 

蛇足ながら、寄生虫がいるとアレルギーを抑制できるのは本当らしいです。  

花粉症・アトピーなどでお悩みの方は、一度、トライしてみては?  

ついでに、ダイエットにも効果覿面です。マリア・カラス寄生虫ダイエットをしたのは有名ですね。でも、私は決してやらないけどね。