睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「パピヨン」清水玲子

f:id:suishian:20170729171435j:plain

 私はとにかくヒルが嫌いだ。  

いや、好きな人はあんまりいないと思うけど、カエル・バッタなどの昆虫小動物系は割と好きな私が、どうもヒルは駄目なのだ。  

(昔、発掘していた頃、仕事もせずにカエルばかり追いかけていたので、おじさんたちが「ほらカエルいたよ」と親切に教えてくれたもんだったよ。ありがとう。おじさん!)    

振り返ってみると、少女時代にローラ・インガルス・ワイルダーの「プラムクリークの土手で」だったかで、初めてヒルの存在を知った。

ローラ!女の子なのに、ヒルをひっぱってはがしてはいかん!  

ヒルを無理矢理はがすと、口(歯?)の部分がちぎれて残っちゃうのよ!煙でいぶして自然に落ちるのを待つんだ!  

嫌いなものに関しての知識は異様にある私。(もちろん、当時ではなく後から知った知識だが)  

嫌だ~。もし、自分にヒルが吸い付いたりしたら……想像するだにオソロシイ。  

でも、これはアメリカの西部開拓時代の話だ。日本にはいなかろう。  

と、思っていたら、泉鏡花の「高野聖」で……!!  

うぉぉ!詳しい記述は私にはできん!とにかくおそろしいヒルの森」が出てくるのだ。  

ほとんど半泣きになって読んだぞ。  

日本にもいるじゃないか~!  

うう……この世に安住の地はないのか!? さらに長じてから「スタンドバイミー」の映画を見る……。  

嫌だよう。パンツのなかにまで、奴らは入り込んでくるんだよう……。  

映画の撮影とはいえ、子どもになんて無体なことを強いるんだ!  

(いや、いくらなんでも実際にパンツのなかにヒルを入れて撮影したわけではなかろうが。そんなことをしていたら、本当の変態だ。いやあ、映画監督なんかには変態が多いからねぇ。ほほう。そうですか。……ということはあるまい)    

そして、そんな私にとって、最終兵器とも思える作品と出会った。  

清水玲子パピヨン」である。  

これはヒルじゃなくて、プラナリアなんだが、私が好きだったあのかわいい外見のプラナリアじゃない。どっちかというとアメフラシ。不定形だ。  

……すごく、ヒルを連想させるのよ……。  

そして、奴らは肉食なんだよう!  

なんてこと、考えるんだ!清水さん!  

怖いよう。  

そんな……触られただけで、多分私は失神なんで、そのまま無抵抗で喰われちゃうよ。  

うぉぉ~!いーやーだー!  私は大の清水玲子ファンで、ヒマさえあれば作品を読み返しているが、「パピヨン」はちょっと厳しい。だって、生理的に怖いんだもん!  

私の愛を試しているんですか!?  

ヒル嫌い」と「清水作品への愛」を天秤にかけると、読み返せない方に傾いてしまうのか、私!?  いや、そんなことはないはずだ!    

作品の内容はすごくいい話だったと思う。(しばらく読み返していないから、ちょっと記憶がおぼろ)  

王子のお目付役のお兄さんが、格好良かった記憶がある。←それだけかい。  

よし。  

この後、読み返します。  

清水玲子作品への愛が勝った!    

ちなみに、私の好き嫌いの基準は、「」(あるいはそれっぽいもの)があるかどうかのような気がする。  

顔がない生き物はどうも駄目なのよ……。ミミちゃんとかね……。(フルネームで言うのも嫌なので、こう呼んでいる。砂漠の放浪者がつぶやく言葉みたいなあの名前だ。「み……みず……」)