睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「サザエさんをさがして」朝日新聞be編集部編

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先日、友人宅を訪問していたところ、テレビで「サザエさん」をやっていた。  

見るともなしに、ぼんやり友人と喋ったりしていたところ、私の耳にカツオのとんでもないセリフが飛び込んできた。  

「マスオ兄さん!専務さんにお弁当をあげて、出世に結びつけなよ!」(細かいセリフは違うと思うが、そんな内容)  

ええっ!待て、カツオ!  

マスオさんが専務に毎日お弁当を手渡しするというのか!!  

しかもそれにサザエが「マスオさん!専務さんのお弁当も作りましたからね!」といった感じでノリノリ。  

ということは、マスオが会社で専務に手渡すお弁当は、手作り弁当……!  

画面はよく見ていなかったが、所詮「サザエさん」の世界。お弁当は必ず、赤の水玉模様の大判ハンカチかなんかで包んでしばってあるに違いない!

それを毎日、そっと専務に渡すマスオ……!  

誰がどう見ても、二人はデキてるとしか思えないじゃないか!  

会社に三浦しをん大先生がいたらどうするの!妄想大爆発ですぜ!(しをんさん、すみません)  

手作り弁当を渡すという行為は、昔っから恋の告白なのよう!  

古くは川原由美子「前略ミルクハウス」で藤くんが結ちゃんのお弁当攻撃にころっといっちゃったし(多少簡略化して説明しております)最近でも菅野文「オトメン(乙男)」であすかちゃんがりょうちゃんに「喜ぶカオが見たい もっと 笑顔を見せて欲しい」なんてハズカシイ吹き出し付きで、お弁当をつくっていたぞ。  

そんな少女マンガでは使い古された、こっぱずかしい典型的な真似を、自分の夫にさせようというのか!サザエ!  

自分の地位(妻)が危うくなると気づいているのか!?  

友人も「……マスオは単に出世をねだるコビのつもりだけかもしれないけどさ、専務はそれだけだと思わない可能性が高いわよね」と推理。  

「ええっ専務、その気になっちゃうのかしら?「駄目だよ、マスオくん、ぼくには妻と子どもが……だが、君の気持ちに答えないぼくではない」ってことかしら?」  

「さすが、専務。伊達に出世してないね!太っ腹!」  

「カツオはこの後、家庭崩壊が訪れるとも知らないで……。でも、それを気に病んで暗い影を背負った青年になるってのもいいなあ」  

「磯野……子どもの時は、本当に明るいイイ奴だったんだぜ(中島のセリフ)」  

だんだん違う方向に来てしまったな。ふふ。

でも、この後、全寮制男子校に入ったカツオをどっちが振り向かせられるか、という賭けが行われたりして……。「トーマの心臓」の展開をのぞむってのはどう?って誰に提起しているんだ、私は……。  

 

それにしても、サザエさんの世界は奥が深いぜ。  

現在、朝日新聞日曜版で、当時(高度経済成長期あたり)連載された4コママンガの「サザエさん」から世相を読むという連載がされている。  

それが「サザエさんをさがして」というタイトルで単行本としてまとまったのが、この本だ。(現在2巻まで出てます)  

初めてテレビがやって来た!とか、当時は外出時、みんな帽子をかぶっていた、サザエの髪型は一時本当に流行っていた、とか、たったの4コマから、上手に話を広げていて、なかなか面白い。  

まあ、私もカツオの一言から、こんなに長い文章書いちゃったけどね……。    

あ、二人のアヤシイ関係に気を取られて気づかなかったけど、お弁当とはいえワイロを渡して出世をもくろむなんて、マスオ、人間として小さいな……。  

そして、そんなことがまかり通る海山商事(これは波平の会社か?)は会社として不健全だね!  

そんな内容を家庭向けのアニメとして作っていいんですか、フ●テレビ!  

ちなみに、その後の展開は見ていません。(これだけ騒いだのなら、見ろよ私……)  

おそらく、お弁当ワイロ作戦は失敗したと思われます。