睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「HEAVEN?」佐々木倫子

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牡丹の美しい季節になった。  

我が職場では連日、自宅の庭に咲いた牡丹を持参するおじさまたちで、会議用テーブルが華やかに彩られている。  

最初の花が持ち込まれたとき「うわー綺麗ですね~」と女性職員がみんなで喜んだので、おじさまたちが競って持ち込みだしたのだ。そういうところ、かわいいもんだな、おじさまって。

(普段「おじさん」「おっさん」と書いている私だが、花持ち込みは大歓迎なので「おじさま」と書いてみた。現金なの、女はね。ふふふ←魔性)  

うーん、牡丹のはなって大輪。色も紅、白、ピンク、黄色といろいろあって華やかだ。  さすがは花の王様。綺麗よのう。  

これなら「HEAVEN?」で黒須オーナーがレストランの場所を決めてしまったのもうなずける。  

 

HEAVEN?」はフランス料理店「ロワン・ディシー」の開店から閉店までの珍騒動を描いた作品だ。  

その立地は「どの駅からも15分」「道も暗い 街灯がない」「繁華街も遠い ビジネス街も 住宅街も遠い」「なによりお墓のど真ん中にあり 窓からお墓が見える」という最低最悪なモノ。  

だけれど、オーナーは「牡丹が美しかったから」というだけの理由で、この場所にフランス料理店を開店することを決めちゃったのだ。  

牡丹って保たないから、せいぜい一ヶ月くらいだけなんだよね……。  

この物語の牽引力は、このオーナーの傍若無人によるところが大きいのだが、最初から飛ばしまくり。

うーん、グレイト!大物だぜ。  

だけれど、牡丹を眺めていると、確かに綺麗だよな~。この花が一面に咲き乱れていたら、さぞ壮観だろうと思う。  

一度、牡丹の時期に、お墓を眺めながらフランス料理をいただいてみたいものだ。意外とオツなのではないだろうか?……どうだろう……。お墓がな……。  

 

ところで、「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と美人の形容詞に使われる芍薬と牡丹だが、その見分けは非常に難しい。  

いや、地面に生えているところを見れば、簡単に見分けられるらしいんだけど、花だけ見ると、どっちがどっちなんだか全然分からないのだ。  

我が職場でも大論争が勃発。  

持ち込まれた花を前に「これは……芍薬に違いない!」「いや、牡丹である!」という二派に別れてにらみ合い。(私は牡丹派)  

インターネットを駆使しての捜査の結果「……わからん!」との結論が……。  

だって、「牡丹は木で芍薬は草」という、一見分かりやすいが、花を見ただけじゃわからん見分け方を皆さんご指南してくれるんですもの!  

花の形とか葉の形とか、そういうところでは見分けられないのか?  

その後、切り花を持ってきたおじさまが「牡丹である!」と宣言してくれたので、結論は出たんだけどね。  

こんなことで大論争しているうちの職場って……ヒマみたい。実は忙しいのよ。本当よ!(おじさまたちはおヒマの様子だけどね)

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 花瓶がなくて、インスタントコーヒーの空き瓶です。わびしい。