「そういうふうにできている」さくらももこ
先日、テレビを見ていたら「T●T●」の社長が出ていた。
ウォシュレットの成功譚を語る、という最近流行のプロジェクトX的な番組なのだが、彼がすごく興味深い発言をしていた。
「中国ではT●T●=高級ブランドで、ウォシュレットのある家庭は上流である、という認識ができているんですが、欧米、特にアメリカでは……ウォシュレット=痔=ホ●という認識になっちゃって、売りにくいんですよね……。使っている人は結構いるんですが、それをおおっぴらに言えない風潮なんです」
……なんですと!
アメリカ人、短絡的すぎるんじゃないのか!?
さすがかデブ=自己管理の出来ない人、という認識がまかり通るお国柄だよ。
T●T●さん、頑張ってそんな偏見を打ち壊して、ウォシュレットをどんどん売って下さい!
テレビの前で、私は拳を握りしめて、応援することを誓ったよ。
我が家ももちろんウォシュレットである。
最初に彼(ウォシュレット)がやってきたのは、もう何年前になるだろう……?
そのころの私はひどく保守的な人見知りで、いきなりの最新鋭の彼に「ええっ!?必要ないでしょ。紙で十分」と相手にしていなかった。
でも、父も母もあっという間に虜になってしまったので、私も「ちょっと使ってみようかな……?」とおそるおそるボタンをプッシュ。
びょ~ん、という妙な音がしばらく鳴った後に、いきなりの噴射を受け「うぉぉっ!」と思わず立ち上がってしまった……。当然、まわりは水浸しさ……。トホホ。
そんな手痛い出会いから始まった、私とウォシュレットくんだが、今は蜜月の時間を過ごしている。
ここからちょっと尾籠な話になるのだが、多くの女性がそうであるように、私も便秘気味でだからである。女性は腸が長いかららしい。
いや、気味なんてかわいいもんじゃないかもしれない。時には1時間以上、個室の中で孤軍奮闘する。
「奮闘努力の甲斐もなく、今日も涙を~♪」(寅さん)という日だってある。
なので、「よっし、これから出すぞ!」という気合いを込めて個室の扉を開ける際は、必ず読む本を持参。
読みつつ、奮闘、読みつつ、踏ん張る、読みつつ、気合い、読みつつ、気張る、を繰り返すのだ。
かなりの消耗戦。疲れる……。
そんな私がトイレで闘いつつ「おお!」という共感を持って読んだのが、さくらももこの「そういうふうにできている」である。
さくらさんが妊娠した際に、たぐいまれなる便秘に襲われ、どうにかこうにか出そうと奮闘する話だ。(妊娠すると、便秘が激しくなるそうです)
すごいリアリティで、本人大まじめに一進一退の攻防を書いているので、それがかえって非常におかしい。
「頑張れ、我よ。便などに負けてたまるか。相手は”便”だ。私は人間だ。人間が便に負けるわけがない」
などど大まじめに書いている。はははは。そんな人間としてのアイデンティティをかけるほどの大問題なのか?
でも、そうなのだ!私もこうやって、ひねもす戦っているのだ!
「ここで、もういいや、と思ったら負けだ。今休んだら、間際までやってきた甲斐が、すべてふいになってしまうんだぞ!頑張れ、私!」と自分に言い聞かせ、息継ぎにも細心の注意を払って戦い続けているのだ!
そして、最終的に勝利を収めたときの開放感!やったぜ!
ちなみにさくらさんは「(前略)信じ難い軽快さが広がった。もう私は自由なのだ。体の中には一つの汚れも残っていない。毒素はたった今、便の安住の地である便所へ全て還してやった」とその勝利を高らかに歌い上げている!
そう。そんな感じ!達成感、充実感ともに満了だ。
そんでもって、私は最後の仕上げにウォシュレットくんの暖かい祝福のシャワーを浴びているのだ!
じんわり暖かい……。グーです、ウオシュレット。
今日も良い仕事してますね。
このすばらしさを味わえないとは……。アメリカ人のノーマルの方、かわいそうだな。
普通に生活していて、うっかり痔持ちになっちゃった人はどうするのかなあ……?堪え忍ぶのかしら?それとも、こっそり買うのかしら?通販とかで。(社長は使っている人はけっこういる、と言っていたけど)
なんだか、いろいろアメリカ人って大変そうだなあ……。
でも、アメリカ人でも、あの優しさを知ったら、みんな買うようになると思うわ。
T●T●さん、頑張れ!
大変、尾籠な話で恐縮です。申し訳ありませんでした。
誤解の無いように言い添えますが、今のところ痔持ちにはなっておりません。近い将来、危険は十分にありますがね……。なったら嫌だなあ……。