睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

2007年読書のまとめ

早いもので2007年ももうわずか。1年なんてあっという間ですなあ。光陰如矢。

この1年で読んだ本は今のところ108冊(マンガ除く)。  

ああ、丁度煩悩の数じゃないか……。  

そうなの。煩悩から離れられないの、私。解脱は一生無理だわ。  

 

読んだ量が多い小説の中で一番印象に残っているのは三島の「豊壌の海」4部作。  

今年1発目に「暁の寺」を読んだからなのか、強烈な印象だ。あの美に対する執拗なまでのこだわりがスゴイ。  

ちょっと「夢日記」をつけてみようかな~?という気持ちになった。  

その他の小説では、ミーハーなのでベストセラーをがんがん読む。  

やっぱり、売れるからには売れるだけの理由があるのよね~、というのが私の持論だ。あまり賛同は得られてないけれども。いいじゃん。  

東野圭吾幻夜は「白夜行」の続編。ぞくっとする面白さ。でも、その底辺に流れる徹底した暗さが私好み。さすが直木賞作家。  

芥川賞受賞作の綿屋りさ「蹴りたい背中も非常に良かった。上手い。この世代の何とも言えない心情の描写が上手い。  

彼女が年をとって行くにつれて、作風の幅が広がっていくような気がする。期待大だ。  

以前から好きだった皆川博子「総統の子ら」も良かった。大戦中のドイツについて、ちょっと分かったような気がした。  

この本につられて、つい手塚治虫の「アドルフに告ぐ」を読み返してしまった。「死の泉」も読み返そうかな~?  

 

その他、今年も映画化作品がよく印象に残っている。  

桐野夏生魂萌え!も面白かった。主婦の心情をよくもこう上手いこと描くもんだ。

佐藤多佳子しゃべれどもしゃべれどもは私の好きな落語の話で好感。  

恩田陸夜のピクニックはさすが本屋大賞受賞作。ぐいぐい読ませる。  

特に意識した訳ではないのだが、やっぱり面白い作品は映画化されやすいのかしら?しかし、私はこれらの映画を一本も見ていない……。  

 

昨年から引き続き、新書のノンフィクションもかなり読んでいる。  

クラシック音楽好きなので中川右介カラヤンフルトヴェングラーは大変面白く読んだ。  

また、私は洋館も大好きなので増田彰久「西洋館を楽しむ」も楽しく読んだ。私とツボが似てるな~と一人悦に入ったりして。  

太田直子「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」タイトルは最低だと思うが、内容は非常に面白かった。そうか、字幕の世界ってそうなのか。だから、ああいう字幕なんだ、という納得が得られた。  

今までさんざんけなしてきてすみませんでした!誰とは言わないけど、字幕の大物さん!  

変わり種としては小宮正安「愉悦の蒐集ヴンダーカンマーの謎」も興味深い。荒俣宏的な博物学?の世界。変なモノ好きの私としては、こういう蒐集をしてみたいものだ。  

同じ系統?で木下杢太郎「百花譜百選」は植物の絵が美しく、高い金出した甲斐があった!と感動。(文庫なのに1500円!)  

それから、これは来年もコツコツ読んでいくつもりだが「桂米朝コレクション」を読み出した。  

落語を字で読むのは邪道かもしれないけれど、これはこれで面白い。  

日本史ものでは吉田裕「昭和天皇終戦史」が非常に面白かった。さすが名著!  

終戦天皇制の存続問題がクリアーに説明されていた。グーです。  

今年の「一番感動したで賞」をあげてもいいなあ。いらないか。

 また斉藤秀喜「読み替えられた日本神話」も面白かった。  

日本神話って、何でも吸収できる大きさが特徴なのかもしれないな~。  

ついでに岩波文庫で「古事記」も読んでみる。(読み下し部分だけ)けっこう面白いが、系譜が複雑。皇位継承の基準は何なんだろう?    

 

そして、今年は何故か猫本をたくさん読んだ。私が単に猫好きなだけなのだが。  

猫好きのくせに今まで一度も猫を飼ったことのない私……。そのうちきっと……!  

アラーキー「愛しのチロ」は写真集。あのアラーキー「どこいっちゃったのかにゃ?」などど、キャプションをつけている様はとても微笑ましい?  

ムックの「作家の猫」は様々な作家と猫の写真&エピソード。稲垣足穂の写真(ふんどし一丁で原稿を書いてる)とか、けっこう衝撃的だったなあ。  

大好きな岩合光昭「猫を撮る」ももちろん読了。これで私もいい猫写真が撮れるでしょうか……?暖かくなったら挑戦するぞ!  

 

以上。今年、印象に残った本を書いてみました。  

明日はマンガ編を書きます。頑張ります!