「モモ」ミヒャエル・エンデ
気づくと一日が終わっている……。
平日は仕方がない、と思う。
朝起きて、仕事に行って、帰ってきて、ご飯食べてお風呂入って、ちょっと本を読んで寝る。
このパターンだ。これは納得がいく。いかないかもしれないが、いくこととする。
問題は休みの日だ。
平日と同じように起きて、ちょっとだらだらしつつ本を読むと、もうお昼。
でも、まだ午後があるかんね、などと思いつつ、昼食を食べる。その後、だらっと本を読んだり、ちょろっとピアノを弾いたりすると、おかしい……。
もう、日が傾いているのだ。
ええっ!さっき、午後になったばかりだったはずなのに!
でも、心なしか、お腹がすいている。お昼食べたばかりのような気がするのに……。胃腸は頑張って働いていたらしい。勤勉だなあ、私の胃腸。
不審に思いつつ、夕食を食し、お風呂に入ったりすると、あらあら不思議。もう、なんだか眠いのだ。時計をみると、なるほど、寝る時間である。
もう一日が終わってしまったのか!?本当か!?
今日一日、何一つしていないのに……!
どうして、こんなにあっというまに一日が終わってしまうの!?
これの現象はどうやら、私だけではないらしい。友人モツさんも同じようなことをよく言っている。きっと地球的規模でおこっている現象に違いない。
ここではたと気がついた。
これは……間違いなく奴らの仕業だ。
そう、時間どろぼうの仕業に違いないのだ!!
くそう、物語の中だけの存在だと思っていたのに……!このピンチを脱するにはどうしたらいいんだ!?モモだ。モモが必要だ!
時間どろぼうは、「この仕事を早く片づけたら、時間が浮きますな。その浮いた時間を貯めておいて、後で有意義に使ったらどうでっか?時間の管理は私ら「時間貯蓄銀行」が責任持ちますがな。しかも、利子まで払いまっせ。でへへへへ」と人に勧め、その時間を横取りする詐欺師みたいな連中だ。
人間は「そりゃあ、いいねえ」ところっとだまされ、せっせと時間を貯め、そのうちに時間を何のために貯めているのかを忘れてしまうのだ。だから、いつも時間はあっという間にたってしまう。
(ちなみに時間は世にもまれなる美しさの「時間の花」であり、時間泥棒はその花を横取りして、金庫に貯蔵している。このあたり、「百鬼夜行抄」にも影響を与えていると思われる)
どう考えても間違いない。
こいつらだ。こいつらがきっと、私の時間をかっさらっているのよう!
くそぅ!一体いつ、時間どろぼうと契約したんだ、私!何故、そう素直にだまされてしまったんだ!?ばかばかばか!私のばか!
返せよ、私の時間の花!今までに相当たまっているはずだ。
民法で詐欺は取り消し出来る、と決まっているぞ!
そのたまった時間が返ってきたら、どう使おうかしら?
いつもやっているようなことじゃなくて、ものすごく贅沢に時間を使いたい!
「日本列島縦断!青春18切符鈍行の旅」
これでどうだろう!?勿論、大垣夜行で宿泊だ!
もっと余裕があったら、鈍行での完乗をめざす、というのもあるぜ!関口知宏に続け! ……嫌だな……。
よく考えたら、私、テツじゃないから、その状況に耐えられないよ。
かつて、青春18切符で京都-地元(北関東)間を往復して、「静岡、長いんだよ~!」とキレた私がそんなこと出来るわけないじゃないですか!これはダメだ!
そうね、せいぜい、読みたいと思っていたけど、長すぎて手が出せなかった「龍馬がいく」を読むくらいが適当かしら……?
それって、年中やっていることだけど。
ということは、だらだら読書をしていて「ああっ、もう夜!」と思わずにすむわけか。 うーん、それいいね!
時間どろぼうども!今すぐ、私の時間を返してくれ~!
「龍馬が行く」と「鬼平」と「宇宙皇子」と「グイン・サーガ」用意してます!
ちなみに、「モモ」は小学生時代の私のナンバーワン愛読書でした。
映画も見に行ったな~。
「はてしない物語」よりも断然私は「モモ」が好きでしたね。また、読み返してみようっと。