睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

妙義山石門めぐり〜ファイト一発!〜

G県民にとって、紅葉の山と言えば、妙義山

「もみじにはえる 妙義山」(by上毛カルタ

今年は秋が長いので、11月下旬でもまだ結構楽しめるらしい。雪が降る前に行ける山に行っておきたい、という欲望をめらめら沸き立たせ、職場の山好きチーム総勢4名で行ってきた。

 

実は、私は初妙義山

妙義山は頂上まで行くと本当に危険らしいので、今回は地元の小学生の定番遠足コースの石門めぐりコースに行くことにした。

愛読書「入門山」では、最も低い登山レベルにランクされていて、所要時間も往復で2時間弱と非常にお手軽らしい。

「小学生が行くコースだから、楽々だ!」

「あっという間に終わっちゃうね。右向いているうちに終了だね(←発言の真意はよくわからん…)」

などど、妙義山経験のあるメンバーからは余裕の発言が次々に出てくる。

いいね~楽々登山。楽しみだな~。

日本人の常として、登山と言えば、頂上を目指す!という感覚が染みついているけれども、たまには山を歩くことそのものが目的の登山もいいな。

でも、いつかは危険地帯を乗り越えて、頂上に立ってみたいな、とも思うのである。やっぱり、頂上が好き。

 

登山口のある中之岳駐車場の集合時間は9:00。簡単コースということで、のんびり出発。この集合時間でも、午前中には終了する予定。

天気は上々

今年の登山はずっと晴天続き!スバラシイ。私、いつの間にか晴れ女になっているのかも。日頃の行いを正している…わけではないけど…。

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駐車場から。ギザギザ。あの頂上には行きません。

 

登山口からほんの少し登ったところで、最初の鎖場「カニのこてしらべ」が登場。

いきなり!

もうちょっとウェイティングゾーンがあるかと思ったけど、本当にすぐ登場。

「うむ。さすが妙義。とにかく鎖場がありまっせ!という表明だな」

「名前も「こてしらべ」か。最初の洗礼を受けてみよ!という挑戦状だな!受けてやろうでは無いか!」

本当はいきなりの鎖場に少々びびっていたが、カラ元気で自らをふるいたたせ、岩をよじ登る。

 

すぐに第1石門。

どーん!!すごいな、これ。なんで岩がこんな形になっちゃうのかしら?

ぼーっと見あげていたら、通りかかった登山者の方がいろいろ教えてくれた。

なんでも、岩のくぼみとかに雨がたまると、そこから岩が溶けていくのだそうだ。石灰岩質なのかな?

「いずれはこの石門も溶けてなくなっちゃうよ。そのころには、別のところが石門になってるだろうけどね」とのこと。

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もみじにはえる第一石門。

 

第一石門をすぎると間髪入れず、すぐに「カニの横ばい」。

次から次へと鎖場の連続攻撃!

上下の移動ではなく、岩の横を鎖をたどってトラバースする。

小学生の時に遠足で来た、というハナちゃんによると、学校ではカニの横ばいをクリアするために、練習が行われるのだそうだ。

教壇のところに一列に並んで横歩きの練習をするんです!」

それで、練習になるのか…?

それにしても、小学生にこの道を行かせるのか…。すごいな、G県の学校。

さらに、ハナちゃんによると「鎖場を行くコースか、避けるコースかを事前に希望して、チーム分けが行われるんです。でも、恐がりなのに、友達と行きたいから鎖場コースを選ぶ子もいて、当日、いろいろ問題が…」とのこと。先生、引率大変だろうなあ…。

 

そして、即座に「たてばり」登場。鎖場を登って下る。ここが第2石門。

「うひゃー!キター!!←今風の表現」

「これ、小学生が行くの!?本当に!?」

ビビる私とタケさん。

ハナちゃんは「子どもは身が軽いから大丈夫なんです!今は…」と言葉を濁す。

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下ってます。

 

慎重に鎖をたどって、なんとかクリア。

ふぅ。身体が重いおばちゃんには、なかなかハードな鎖場だったぜ。ここで、飲むものは、あれしかあるまい。

肉体疲労と栄養補給に必要なあれだ。

ファイト、一発!

リ●D!ここで一発飲みたい!」

ああ、あのCMごっこがしたい!

坂下の人が、手を差し出して「ファイト〜」坂上の人が、その手を掴み「いっぱ〜つ!」

そういうふざけたことすると、本当に怪我するから、やっちゃダメ、絶対。もっとも、そんな余裕なかったけど。鎖たどるので精一杯。

 

続く「つるべ下がり」と「片手下がり」は鎖場に慣れてきたのか、わりと簡単にクリア。

その後、だいたい9:30すぎに、前方に建物が見えてきた。

「あれはなんですか?」と梅やん先生に聞いてみたところ、「第4石門だね」とのこと。

もう!?早い!!

確かに第3石門と第4石門の分岐を示す標識がある。

なるほど、右向いているうちに終了というのは、あながち嘘では無いらしい。

とりあえず、第3石門を見学。

特に鎖場があるわけではなく、ただの石の穴。通行止めで反対側には出られないようになっている。

上を見上げると、ぼろぼろと崩れそうな箇所がいくつもあって、これは、確かに雨でくずれるな、ということがよくわかる。

「もし、今、地震が発生したら危ないじゃないか!?」とタケさんはあまり近づいてこなかった…。ビビりを自称。

 

第4石門へと戻ると、だいたい9:45。

第4石門前は四阿やベンチが設置されていて、立派な休憩場所になっている。さっき見えた建物はこの四阿だったらしい。

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第4石門。どおーん!!間に見えるのが大砲岩。

 

内容は濃かったけど、わずか45分しか歩いていないので、若干物足りなさがあり、「大砲岩の下まで行ってみよう」という梅やん先生のお誘いに一も二も無く賛成する。

第4石門をくぐった先にある崖を鎖でよじ登ると、「天狗の評定」が目の前に現れる。

確かにあそこは天狗が行く場所だ!

手前の岩で呆然と眺める。

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天狗の評定。高度感あり!写真ではイマイチ表現できない!

 

うひゃー、あそこには行けないな〜

とりあえず、周りの最高の景色を眺めて「あれが鹿岳。あれが物語山」などと、梅やん先生のレクチャーを受けていると、視界を人影が過ぎる。

なんと、ハナちゃんが天狗の評定の鎖場を登っている。ちょっと目を離した隙に!

「おお〜頑張れハナちゃん!」

さすが、カニの横ばいを教壇で練習しただけのことはある!冒険心が旺盛だ!

ハナちゃんは天狗の評定、楽々クリア。余裕のポージングを決めている。

うーん、私も続こうかとちょっとだけ考えたが、取り敢えず安全策を取った。ふっ、今日のところは勘弁してやらぁ。

 

無事、下りてきたハナちゃんの名言。

「一度、怖いと思うと、足がすくみますね。敵は己の恐怖心のみです!」

おお!ハナちゃんは己に勝利したのだね!カッコいいぞ!

ちなみに、手前の岩まで登った後、岩にへばりついていたタケさんは、ハナちゃんが天狗の評定をよじ登っている間に、静かに崖下へ下っていた…。景色を見る余裕はあまりなかったらしい。やはり、ビビりを自称する男、タケさん。

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良い景色!下界も一望。晴れた空~白い雲~♪

 

第4石門に戻り、リンゴ(ぐんま名月)をシャリシャリ食べて、しばし休憩。

私はリンゴハンターを自称しているので、最近、山でリンゴを食べることが大ブーム。今日の荷物の半分はリンゴだった。リンゴ入れなければ相当軽くなっただろうけど、この美味しさは何にも変えられない。甘さが染みる。おいしいなあ。

リンゴを食べながら、大砲岩を眺めていると、上に人影がちらほら。本当に大砲の上に人が乗っかってるみたい。すごい光景だなあ。

 

10:45 休憩終了。下山開始。

ぐるっと回り込み、中之嶽神社へと下る。もう、石門はなし。

さくさく歩いて行くと、見晴に到着。

さっきうろうろした天狗の評定や大砲岩がよく見える。なんか、すごいところに行った感じがするな~。

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大砲岩はわかりやすい。中央左手。

 

山側に目を転じると、木々の合間に、さらに上へと登って行く人影がちらほら。

「あの人たち、危険ゾーンへ踏み込みますね!」

「すごいな、あの崖のどこを登るんだ!?」

みんな目が釘付け。尊敬のまなざしだ。

何だかんだ言って、やはり頂上へ登ってみたくなっているのだ、みんな。山を見ると、険しい道を踏み分けて、その頂上に立ってみたくなる、この感覚はなんだろう?野生とか本能という類いに近いものがあるのではないか。

やっぱり、私もいつかは頂上を目指してみたいよ。ヘルメット買おうかなあ。

 

11:10くらいに中之嶽神社に到着。早い。

とりあえずお参りをすると、社殿の横に「轟岩 200m」と書かれた看板を発見。

ちょっと物足りなかった私たちの足は自然と、そちらの方面へ。

「まさか、この200mは上へ200mじゃないですよね~」

とつぶやいたときに、目の前にそびえ立つ岩がどーん!

そのまさかだったかもしれない…。 

なぜか、登山道?の入口には倒木が横たわり「この先、進入禁止」の雰囲気を醸し出しているが「轟岩 登山道」と書かれた看板?も一応設置されていた。

ちょっとだけ躊躇したが、とりあえず、ずんずん進む。

鎖の無い岩場を登ると、目の前に(多分)轟岩の頂上が姿を現す。

「あの上、行けるんだろうけど…行きたくない感じだよ~!

私とタケさんはその手前で、またもや唖然と岩を見上げる。

行ってまいります!」とまたもや果敢にチャレンジしたのはハナちゃんのみであった。(梅やん先生は途中まで行った)

ハナちゃん、すごいよ!!リスペクト!

 

轟岩堪能後、神社へ戻って、フィニッシュ!11:30。

短い山歩きだったけど、内容は充実して楽しかった。

妙義山のほんの苫口に入っただけだったけど、そのすごさと素晴らしさは感じられたように思う。もう、妙義の虜になった気分だ。

上毛三山の中では、最も地味な山、という印象だったけれど、今日から180度印象が変わった。

この山はすごい!もっとアピールした方がいいんじゃないかな。こういうところ、不器用なのよね、G県…。

 

「ファイト一発のCM、ここで撮影すればいいのに

「一度くらいは撮影したかもよ」

ついでに、中之嶽神社の売店でリ●D売れば、すごく売れるような気がする。(売ってるのかも…。中をのぞかなかったので、わからん)

商売気ありありの神社を眺めながら、そんなことを語りあった私たちであった。

 

最後に補足情報。紅葉はまだ結構綺麗だった。(11月下旬)

岩に夢中で、紅葉に意識があまり行かなかった…。いかん、いかん。

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なんというか…、商売気ありあり…なのかな? 中之嶽神社の大黒様。

 

<コースタイム>

8:80中之岳駐車場…9:10第一石門…9:20カニの横ばい…9:25第2石門(たてばり)…9:40第3石門…9:45第4石門…10:00天狗の評定…10:20第4石門(休憩25分)…10:50見晴…11:05中之嶽神社…11:20轟岩…11:30中之嶽神社(御朱印)…11:45中之岳駐車場