「とりぱん」とりのなん子
先日、道の駅の農産物直売所をうろついていて、「訳あり りんご」(8個くらいで350円)を発見して、私は驚喜した。
すぐさまレジに直行だ。
自分で食べるために購入した訳でない。庭に来る鳥にあげるのだ。
もうずっと以前から、我が家では冬場に時折、庭の木にりんごを差しておく。
すると、すぐさま「ちぃーっ」という鳴き声と共に、ヒヨドリがやってくるのだ。
一体、どこで監視しているのだろう?うち、毎日、りんご出してるわけじゃないのに。
ヒヨちゃんはりんごが大好物。一心不乱に食べ続け、他の鳥がやってきても、決してりんごのベストポジションを譲らない。
時々、ヒヨではない鳥(ムクドリが多い)がりんごを食べていると、「どけやーっ」と激しく威嚇し、りんごをかっさらう、という傍若無人さを発揮する。
地面に撒かれた残りご飯を食べに来ているつぐみん(ツグミ)やらジョウビたん(ジョウビタキ)にも飛びかかって、蹴散らす。
りんご食べない面々にも容赦が無いヒヨちゃん。無人となった我が家の庭で、一羽悠々とりんごを食べ尽くすのだ。
ちなみに、ヒヨちゃん同士だと、たまーにりんごの順番待ちしている光景も見られる。が、待ちきれずに、激しい戦闘に突入することも多い。同士討ちも辞さないのだ。
ヒヨちゃん、最強。けんか上等。
我が家は完全にヒヨちゃんの支配下に置かれている。
まさに「とりぱん」に登場するヤンキーヒヨちゃんと全く同じだ。
私は初めて「とりぱん」を読んだときに、どこのヒヨちゃんも一緒なんだ…とえらく感動した。
最も、「とりぱん」のヒヨちゃんはオナガの集団やら、ゲラさんたちには負けていたけど…。うちにくるオナガは単独が多いし、ゲラさんたちは来ないから、ヒヨちゃんの天下なのであろうか。
「とりぱん」は庭にやってくる野鳥の話をメインとした四コママンガだ。2005年からモーニングで連載されているそうなので、かれこれ14年続いていることになる。かなりの長寿マンガといっていいだろう。
そもそも、「とりぱん」は作者の投稿作品であり、それがそのまま連載作品になって、長寿連載になるというすごい作品だ。まさに代表作。
投稿時、ペットマンガはたくさんあるけれど、野鳥をメインにしたマンガはないだろう、と作品内容を決めたそうだ。(1巻による)
確かに、新しいかも。あちこちに鳥がいることは知っていても、その鳥の名前すら知らないで生活している人がほとんどだろう。ましてや、その鳥たちが、実はいろいろな個性を持っていることも当然知らないのだ。
「とりぱん」では作者の目を通した野鳥たちの姿が、実に生き生きと描かれている。
我が家の庭を牛耳るヒヨちゃんは、ケンカ上等のヤンキーで、小心者で貧乏性のツグミ(つぐみん)をいじめている。でも、大甘党でお花とかを食べたり、オナガ集団には勝てなかったりと、どこか愛嬌のある存在。
オナガはその美しいブルーの羽根の色から「おしゃれ番長」。
日本画に出てきそうな「和風美人」としてはじめは登場したシメはひまわりの種を長時間食べ続ける大食い鳥として描かれる。(うちにはあまり来ない…)
また、本来、水辺の鳥であるハクセキレイは、なぜかアスファルト大好きな「駐車場の鳥」…。
本格的な餌台を作っているとりの家には、他にもさまざなま種類の野鳥が訪れている。
アオゲラ(ポンちゃん)、アカゲラ(ペンちゃん)、コゲラのキツツキさん(ゲラさん)たち。
毛玉のように愛らしいエナガたん。
我が家には、一度もやってきたことがない種類の鳥たちだ。うらやましい。
うちのえさは、りんごと余りご飯くらいなので、牛脂やひまわりの種とかが好きな種類の鳥は来ないのかもしれない。そもそも、頻度が「たまに」なのもダメなのだろう。
(以前、インコのえさの余りを置いたら、春になってよくわからない草がにょろにょろ生えてきて大変だったので、以後、余りご飯になった)
そして、豪快なドラミングを披露して欲しい!そのためならば、うちの壁の一部くらい、喜んで提供する!(家族、未承諾)
ポンちゃんへの憧れと、ヒヨちゃんばかりが幅をきかせている現状に少し変化を呼び込みたいという気持ちで、えさを拡充するべきかどうか、毎年少し迷う。
しかし、生来の怠惰な性格が邪魔をして、どうしよっかなーと思っているうちに、シーズンオフに突入してしまうのだ。今年も、そろそろ春が近い頃合いになってしまったので、まあ、拡充は来年以降考えよう。
メジロくるかもしれないから、ミカンは出してみようかな~、そのうち。
そもそも私は餌付けが好きだ。
観光地に「鯉のえさ」があれば必ず買う。
外国に行った際(台湾)でも買ったし、周りがポ●モンGOに興じる人だらけだった大●氷●神社でも買った。(ついでに氷●神社では「盆栽だー」も買った)
その他、数え切れないくらい「●●のえさ」を購入しているが、最も印象に残っているえさやり体験を記してみたい。
それは、京都六角堂の「鳩のえさ」である。
六角堂は華道の池坊発祥の地として有名なお寺だが、「鳩みくじ」も売っているくらい、とにかく鳩がいるお寺だ。
境内はこじんまりとしていて、ビルの合間にお堂がちょこっとあるだけで、敷地面積は小さい。
その六角堂を訪れ、売店で鳩みくじを買った際に、白い袋に入った「鳩のえさ」を売られている事に気づいた。100円か200円くらいだったと思う。
「鳩にえさあげられるんだ~。外にいっぱいいたもんね」と何も考えずに、いつものようにえさを購入。
えさが売られている横に「鳩のえさは、売店から離れたところであげてください」といった注意書きが書かれていることをよく考えてみるべきだったと後から後悔したが、その時は「ふーん」という感想しか持たなかった。
売店から出て、注意書きに従い、えさを片手に少し離れた場所に移動した。
すると、さっきまで平和に地面をうろついていた鳩たちが、一斉に私めがけて移動を開始する。鳥なので、もちろん低空飛行で飛んでくる。
「どうしたんだ、みんな!(鳩たちのこと)落ち着け!」と小走りに売店から離れるが、爛々と目を輝かせた鳩たちはさらに私に群がる。
肩に、頭に十数羽たかられ、右手に持った「鳩のえさ」を左手でつかみ出すという簡単な行為さえできず(両腕に鳩が乗ってるから)、右手にとまった勇気ある鳩が、えさの入った白い袋に勝手に頭を突っ込んで食べているのを「あわわわわ」と言いながら見ていることしかできない。鳩のなすがまま。
地面に「えーい」とえさを投げると、鳩が寄ってきてそれをついばむ、という正に平和の象徴のような状況を予想していただけなのに…。こんな暴力的な状況を誰が予想した!?
あの売店の張り紙は「近くでえさやりをすると、鳩が集まってきて迷惑」という状況を言っていたのか…!!京都人らしく、遠回しな言い方しやがって!もっと、直接的に「鳩がすごく寄ってきます」って書いとけよ!!
(他の方のブログによると、どうやら現在は「鳩が寄ってきます」的な書き方になっているらしいです)
一番、えさ袋に近いところの勇気ある鳩は一羽で勝手にえさを独占している。
このままでは、この一羽しかえさが食べられない!
鳩にまみれながら、突然その事実に気づき「ほかの鳩にもえさやりたいんじゃー!」と叫び、右手を下に向けて(手首を動かすので精一杯だった)、残ったえさを全部地面にざらーっと落とした。
途端に、落ちたえさに群がる鳩たち。
あっというまにえさは食べ尽くされ、鳩たちは何事も無かったかのように散っていった…。
ぼさぼさの頭で呆然と立ち尽くす私(頭にも鳩が乗っていたので)
なんか、すごい敗北感。鳩たちによってたかって身ぐるみはがされた気分だ。
ひどいわ。えさがなくなったら、私になんて、もう見向きもしないのね…
ちなみに、この一部始終を目撃していた友人には「ごめん、本当に怖くて、何もしてあげられなかった…」と謝られた。
私個人としては、オカメインコ(信頼関係はないが、一応手乗り)を飼っているので、鳥を腕にとまらせること自体は慣れていて全く抵抗がないので、別に怖くは無かった。
しかし、傍目から見ると「数十羽の鳩にたかられていて、完全にホラーだった!」とのことだ。ヒッチコックみたいな感じ?
わずか100円だか200円だかで、滅多にできない体験ができる場所、六角堂。
鳥好きにはオススメの寺だ。とりの氏にも、きっと気に入っていただけるのではないだろうか。
ちなみに私は、この体験が忘れがたく、2回目に行った際も「鳩のえさ」を買ってしまった。中毒。
以前、こんな記事もかきました。
藪内美術館にはその後行って、本とかグッズとか買い込んできました。八ヶ岳のついでに、また行きたい。