睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

大菩薩嶺~富士見道中~

9月下旬に大菩薩嶺に行ってきた。今回は山の相棒、ノムさんと一緒だ。

この時期に設定したのは、私にとって大きな意味がある。

それは、ついでにぶどうを買えるから!である。

今や衆目が一致するところの、最高においしい品種、シャインマスカットを購入するのだ。産地で買えば、●疋屋クラスのぶどうもグラム売りだ。農家さん、太っ腹!いつもありがとう!

 

そう。大菩薩嶺の最寄りの高速ICは勝沼である。

行きの道中、車の窓から眺めるぶどう屋さんは、まだ開店していなかった。でも、たわわに実ったぶどうが、心をかき立てる。

帰りにかならず寄ろうね、とノムさんと固く誓い合う。ノムさんは、このために事前に現金を下ろしてきたそうだ。

「ぶどうは、野菜と違って高級品だって、気づいたの。さすが、私。よく気づいた!」と自画自賛していた。気合いが入っている。

登山だけでも楽しいのに、さらにプラスアルファの楽しみだ。心がトキメク。

 

9:30 登山口の上日川峠到着。

遅い時間になってしまったせいか、かなりの混雑模様。

駐車場案内のおじさまの指示に従って、なんとか第3駐車場?(歩いて数分)に駐めることができたが、私たちがラストだった。この後、来た人が案内される第4駐車場は徒歩だと15分くらいかかるそうだ。ギリギリセーフ。幸運だ。

毎回思うけど、もっと早く出発するべきだった…。登山者の早立ち、という本来あるべき姿を未だに学べない私たち。生来の怠惰な性格が邪魔しているのだろう、きっと。

 

9:45 ロッジ長兵衛脇の登山口から登山開始。

そこそこ急な樹林帯をてくてく登る。天気は良好で、綺麗な青空だ。

だいたい30分後の10:15 福ちゃん荘到着。

囲炉裏で鮎?が焼かれていて良い匂いがする。

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福ちゃん荘。

小屋の名前の謂われは定かでは無いが、多分、小屋のご主人(初代?)の名前からつけられたのだろう。登山関係は「●●ちゃん」というネーミングが多い気がする。「●●ちゃん新道」とか。

何となく、時代を感じる名前だ。

昭和の登山ブームのころは、友人同士はちゃん付けで呼ぶのが流行していたのかと、勝手に推測する。石●浩二さんが「兵ちゃん」と呼ばれているみたいな。(彼の本名は武藤兵吉)

平成にも「●●っち」と呼ぶのが流行した時期があった。でも、「●●っち新道」というのは聞いたことがない…。いや、私が寡聞にして知らないだけで、どこかの山にはあるのかもしれない。

 

福ちゃん荘でしばし休憩して、10:30頃、再び出発する。

ここからは唐松尾根を頂上に向けて登っていく。

唐松といえば、秋には黄色に紅葉するが、9月下旬のこの時期は、さすがに紅葉には少し早かった。

ここからは「振り返れば富士山」ゾーンとなる。

はじめの頃は、木々の合間からその姿を見るのだが、登るにつれて、遮るものも無く、その綺麗な円錐形の姿が目に入る。

しかし、福ちゃん荘くらいまでは晴天で青空が広がっていたが、だんだんと天気は下降気味になり、白い雲が空を覆いだした。

富士山の姿を隠すほどではないが、頂上あたりが少し怪しい感じになってきた。

「いつ、見えなくなるかわからないから、見えるうちに写真を撮っておこう

ノムさんと二人で、貪欲に富士山の写真を撮りまくる。

やっぱり、朝早い時間の方が天気がいい。登山者の皆さんはそれを知っているから朝早くから登るのだ。

もうちょっと早くから登るようにした方がいいよなあ…。毎回、思うだけは思うのだけど…。

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振り返れば富士山。雲多めでもくっきり。


11:30 轟岩

眺望が良く、富士山もしっかり見える。お昼ご飯に最適の場所だ。

しかし、ここは頂上である大菩薩嶺ではない。大菩薩嶺は、ここから10分くらいの場所にあるという。

「頂上を極めて来てからご飯にしよう」と、とりあえずここは通過し、大菩薩嶺を目指すことにした。

11:45 大菩薩嶺到着。2057m。

周りは木々で覆われており、まったく眺望なし。

頂上の看板はあるが、景色が良くないので、何だか暗い感じがして、ちょっとつまらない。

写真だけ撮って、すぐに引き返す。

 

12:00 再び轟岩

やはり、景色が良いところは気持ちいい。

雲は多めだが、富士山はまだまだ見通せる。富士山を眺めながら、お昼ご飯を食べるなんて、最高の贅沢だ。ヤッホーだ。

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轟岩。みなさんご飯中。

ご飯を食べながら、富士山を眺めていると、ノムさんから「富士山はすごいなあ」との感じ入った、発言がある。

さらに「やっぱり、富士山は孤高のトップアイドルだね。グループアイドルとは違うのよ。聖子ちゃんとか、百恵ちゃんとか」

「連峰系、日本アルプスの皆さんはグループアイドルなのよ」と続ける。

「おお!北アルプス48なのね!センター争い激しいね、北は!」と興奮して答える私。

穂高さんと槍さんあたりかね。燕さんあたりは美人キャラで確固たる人気を保ってそう」

中央アルプス48は木曽駒ちゃんが絶対的エースだね。南アルプス48は派手さは無いけど、実力者揃い!鳳凰三山のソロ曲とか、アルバム収録して欲しい!」

食事そっちのけで、異様に盛り上がる。

槍さんはブルーで、剣さまはブラックかな」と、戦隊モノにまで話が発展する。(ちなみに、レッドは穂高さん。あくまで私とノムさんの意見だ。人によって異論はあることは承知している)

 

この日、轟岩付近でお昼ご飯を食べている人はたくさんいたが、焼き肉で酒盛りを繰り広げているグループや、ハンバーグを焼いている人など、この日はフライパン率が高かった。

周りからはじゅーっと肉の焼ける音やいい匂いと共に、笑い声が聞こえてきて、たいそう楽しそう。

いいなあ。山の食事って何倍もおいしくて楽しい。

私も次はフライパン系をやってみたい。是非とも、ハンバーーグ!!(by師匠)

ちなみに、私のごはんはG県民ソウルフードである焼きまんじゅうであった。網にしたら火力が足りなくてイマイチだった…。

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焼きまんじゅう

 13:00 いろんな意味で昼食を満喫し、大菩薩峠に向けて出発する。

この道はずっと富士山を右に眺めながらの稜線歩きで、楽しい道だ。快晴なら、最高だろう、多分。

この日は雲が厚いが、なんとか富士山の姿はキープ。ずっと右手にどーんとそびえていた。

やっぱり、富士山は特別だ。このあたりの人は、年中富士山を間近に眺めていて、「ふるさとの山」が富士山なのか。うらやましい。

少し強くなった風の冷たさに、秋の訪れを感じながら、楽しく歩く。

 

13:45 大菩薩峠手前の親不知の頭

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介山荘を臨む

眺めがいい!

●●と煙は高いところが好き、とはよく言ったもので、私はこういう岩場をついつい登ってしまう。ヤギみたいなものだ。

「よし!ラン●ネ表紙風だ!」「いや、これはP●AKS表紙風も行けるぞ!」と、ノムさんと介山荘をバックに、キメキメ写真を撮り合った。いい写真が撮れてご満悦。

私たちの後にやってきた若い娘さんは、ファッション誌の表紙風の写真を取り合っていたし(映え?)、この場所は写真撮影に最高だ。

 

14:00 大菩薩峠

ここがあの中里介山の「大菩薩峠」の舞台か。

感慨深いが、実は「大菩薩峠」は未読の上、ストーリーもよくわかっていない。剣豪の話でいいんだっけか?巌流島で武蔵が遅刻するのは違う話だよな…。

とりあえず、「南無八幡大菩薩!!」と心の中で唱えながら、写真を撮る。

大菩薩峠の由来は、源義光が峠を越える際に、八幡大菩薩に祈念したことによるらしいので、再現してみたのだ。密かに楽しい。

確か、平家物語那須与一が扇を射るときにも、この台詞を言っていた気がする。

源義家八幡太郎だし、武家と八幡さまは関係が深いのであろう。

ちなみに、私の出身高校では「八幡太郎」というと、学校周辺に出没する変質者のことであった。…すみません、八幡大菩薩…。

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立派な看板有り

 轟岩からの道中、ほとんど人がおらず、ノムさんと「どうしていつも周りに人がいなくなってしまうのだろうか…」と話し合っていたほどだったが、ここには人がたくさんいた。

どこからともなく現れる人たちは、私たちとは違うルートからやって来たのだろうか?謎だ。異空間からやってきたのかもしれない。(ラノベ風)

いや、本当は、ただ単に、休憩ポイントには人が集まる、というだけのことなのだろう。

ちなみに、介山荘自体は営業していなかったが、トイレは借りられた。

 

大菩薩峠からは山を下る。ずっと姿を見せてくれていた富士山とはお別れだ

道はかなり整備されていて歩きやすい。

かつては営業していたのかもしれない山小屋をいくつか過ぎると、行きにも通った福ちゃん荘に到着する。15:00

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福ちゃん荘で咲いていた。トリカブト

ここからは行きと同じルートを戻る。

アスファルト舗装された車道もあるようだが、「いや、土の道を行こう」とのノムさんの言葉により、登山道を下る。こういうところは変にストイックな私たち。

 

15:30 上日川峠到着

私たちとしてはちょうど良い時間に下山でき、今日もいい山旅であった。

そして、今回は大事なプラスアルファがある。山を下り、勝沼ぶどう郷へ直行し、その日収穫したブドウを購入。いいぶどう買わせていただいてありがとう!

シャインマスカットおいしい!甲斐路も美味!幸せだ

ちなみに、勝沼のぶどう屋さんはだいたい5時くらいまでは営業している。

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帰路で発見。メルヘンなきのこ。

<コースタイム>

9:45上日川峠…10:15福ちゃん荘…11:30雷岩…11:45大菩薩嶺…12:00雷岩(昼食1時間)…13:45親不知の頭…14:00大菩薩峠…15:00福ちゃん荘…15:30上日川峠