睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

ワイナリー収穫祭2019

自分が自分だと思える根拠は、昨日も一昨日もそのずっと前も自分だったからだろう。

記憶だ。

自分であった、という記憶があるからこそ、初めましての自己紹介も出来るのだ。

そして、過去の記憶の積み重ねが、自分としての成長の基礎になっている。足し算引き算を覚えて、かけ算割り算へ進み、三角関数やら虚数の計算やらに進めるのも、過去に学んだ記憶があるからだ。

記憶は自らのアイデンティティの基。この記憶をなくすということは、自分であることすら、自分に証明できないという、不安定を超えて、ひどい恐怖を抱かせる事態なのだ。

 

記憶をなくした。ワインを飲み過ぎて。

 

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ワインで乾杯

某ワイナリーの収穫祭に出かけたのだ。

この収穫祭はワイナリーのブドウ棚の下で、その年製造されたワインをみんなで楽しく飲むお祭りだ。

大変楽しい。

しかし、楽しいだけではない、かなりな危険ポイントも内包した祭りなのだ。

 

危険ポイント その1 1人1本ワインが配布される。

入場料を払うと、1人1本ワインとグラスが配布されるのだ。

そもそも、1人1本というのは、普通に考えると、結構な量なのではないだろうか。ファミリー参加の方とかもいるし。みな、大丈夫なのだろうか?

いや、よく考えたら持って帰ってもいいのか…。

当日の私たちの頭には、まったくその選択肢は浮かばなかった。

それどころか「ワイン1本なんて、すぐ無くなっちゃうね。お代わり!」と、お代わりワイン(別料金)まで、頂いてしまった。しかも、一度ではなく、何度も…

 

危険ポイント その2 ブドウ棚の斜面は酔いがまわりやすい。

やはり、人類は野生を忘れてしまっているのだろうか。

地面が平らなところじゃないと、平衡感覚の方の酔いとの相乗効果なのか、どんどん酔う。

他のグループでも泥酔者続出。ブドウ棚の斜面を転がり落ちる人も続出。(足下がおぼつかないから)

今年は、その斜面を転がる泥酔者に私も名を連ねてしまった…。

翌日、お風呂に入っているときに、自分の手足のあちこちにアザやら切り傷やらが発見された。何回か転倒して、斜面を必死でよじ登った記憶がうっすらとある…。

酔った状態で登山しちゃいけないな、と今回学んだ…。

 

危険ポイント その3 朝から飲んでいる。

収穫祭のスタートは午前10:00からだが、受付は8:00からだ。

10:00スタートだからといって、それまでワインを前にじっと我慢しなければいけないわけではない。適宜初めて良し。そのため、実質的なスタートは8:00と言って良いだろう。

8:00というのは、普通に考えると結構朝だ。

友人達は「会社行く時よりも早い時間に起きたけど…」とぶつぶつ言っていたが、それでも遅かった。これは来年度以降への反省点だ。

私たちは駅に着いたのは8:00過ぎ。そこからシャトルバスの長蛇の列に並んだり、場所を確保したりで、実際に飲み出したのはだいたい10:00くらいである。

楽しく飲み続け、気づいたら、周りに人がいなくなっていた。終わりの17:00まで飲み続けてしまったのだ。

冷静にそろばんをはじくと、7時間飲み続けた計算になる。

嘘だろー。そんなに時間が経っていたはずないよー。

時間泥棒(by「モモ」)に時間を盗まれていたとしか思えない…。

 

そう。その飲み続けた7時間のうち、後半の記憶が一部綺麗に抜けているのだ。

「あれ、気づいたら周りに人が全然いないね。おかしいねー?」と陽気に語らい、ワイなりの人に「帰ってくださーい」と言われた記憶はある。

その後、私がトイレから出たら「Youも酔っ払うんだねー」と友人達に声をかけられたところから、唐突にまた私の記憶が始まる。

間に、お片付けをして、ブドウ棚を下りたのだと思われる。

その証拠に、荷物(ザック)は持っているし、手にはシートをしっかり抱えている。しかし、ザックに何が入っているのか、まったく記憶に無い。(なぜシートはザックにしまっていないのかもわからない)

帰宅してザックを開けてみたら、自分の荷物のみならず、食べ残しのチーズとか水とかがちゃんと入っていた。私が入れたのか、友人が持たせてくれたのか全く覚えていない…。

一体、その間、自分はどんな言動をとっていたのだろうか。なんか失礼かつブラックな発言とかしていたらどうしよう!

ここまで綺麗にすっぽり記憶が抜け落ちたことが無かったので、もう、怖くて仕方が無い。

後日、友人に聞いてみたら「割としっかりしてたと思うけど」と言われたが、それでは記憶がよみがえったときの「Youも酔っ払うんだねー」との整合性がとれないでは無いか!気を遣ってくれているのか!?気になるので、心を鬼にして、本当の私の行動を教えてくれー!

記憶喪失になった、マンガの登場人物達は、こういう不安でオソロシイ気持ちになっていたのね。

はいからさんが通る」で記憶喪失になった少尉が謎のロシア美女とイイ関係になって帰ってきた姿をみて、「どないやねん、少尉」と思っていたけれど、今ならわかる。不安な気持ちであふれんばかりになっていたときに、寄り添ってくれる人がいたら、心が動くのは当然のことなのだ。

 

とりあえず、今後はワインの飲み過ぎに注意することにする。記憶がなくなるまでは飲まない。自分でセーブできるのかどうか、非常に心許ないが…。

そして、とても楽しかったので、来年も絶対に参加する。登山の早起き経験を活かして、もっと早い時間から行って、さらに長い時間楽しむのだ。

私の辞書に「反省」という文字はあるが、「懲りる」という文字は無い。

 

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バス待ち列の横にいた猫。日向で毛繕い中。

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ココ・ファーム・ワイナリー – こころみ学園のワイン醸造場