手乗り富士山(やまつみ)をつくる。
ステイホーム期間中に、おうち遊びをしようと思い、「やまつみ」を買った。
しかし、買ったはいいが、全く手をつけていないことを最近思い出した。時間はあったはずなのに、生来の怠惰な性格のせいで、だらだら過ごしてしまっていたのだ。
いっぱい時間はあったはずなのになー。何していたんだろうか、私は。さっぱり思い出せないので、多分時間泥棒に盗まれてしまったのだろう。(byモモ)
このまま放置したら、絶対作らない気がする。思い出したが吉日。
ようやく、重い腰を上げて「やまつみ」制作に取り組むことにした。
「やまつみ」とは紙で作る山の立体模型キットである。やまつみ工房さんの商品。
等高線ごとの形にカットされている紙を根気よくひたすら貼り続け、山の形を作っていく。
必要なものは根気とピンセット!とのことである。
ちなみに、1/50,000シリーズの場合は、20mごとに1枚の紙を積み上げていくとのことだ。今回私が作った手乗り富士山は1/150,000なので、1枚で60m上がる感じらしい。
小学生の頃、まともに長方形が書けないくらい(角を直角に書くのが苦手で…)不器用だった私がこんな緻密な作業を続けることができるのか!?
説明書を読みながらものすごく不安になるが、今はなんとか平行四辺形も書けるくらいに成長した。きっとできる、と自分に言い聞かせる。
とりあえず、最初が肝心と、慎重に一番下のシートを木の台座に貼る。
富士山の頂上が真ん中の穴の部分になるように張らなければならないのであろうが、中心に貼れたかどうかわからない。でも、一度貼ってしまったものはもうはがせない。
このまま突き進むしかあるまい。
やまつみのスバラシイところは、位置決め用の棒があるところだ。
1枚1枚のシートに空いている穴にこの棒を通して貼っていけば、どんなに不器用な人でもちゃんと定められた位置にシートを貼ることができる。
昔、(今でも?)、紙を自分で標高線通りに切って、模型を制作し夏休みの課題として提出した小学生が沢山いたそうだが、その小学生達もこの位置決め棒システムを採用していたのだろうか。小学生の頃の集中力は半端じゃないから、きっと無くてもきっちり仕上がったのだろうけど。
集中力も衰えた元来不器用な私は、この棒無しでは絶対に無理である。
10枚貼ったあたりから、裾野が見えてきて、俄然楽しくなってくる。
だんだん富士山が出来てくる。
棒のおかげで、ちゃんとした位置に貼れているようだ。
「ふーじは にーっぽんいちの やまー」と、ついつい唱歌を口ずさんでしまう。
しかし、作業中のBGMは、なか●まきんにくんのYOU TUBE動画「ザ・きんにくTV」である。友達が勧めてくれたから…。パワー!
位置決め用の棒の位置を変えながら、20枚、30枚、40枚と黙々と貼り続ける。
多分、五合目くらいから、明らかに富士山の傾斜がきつくなってくるのがわかる。
「この傾斜を登ったんだなー。楽しかったなー」と富士登山を思い出したりして楽しい。この模型のサイズでいうと、人間はどのくらいなのか。芥子粒以下であることは間違いない。
棒が一本になると、回転できるので、ガイドで書かれている線に合わせて貼っていくことになるのだが、不器用な自分はその通り貼れた自信がない。
ちなみに私が使っているピンセットは、おなじみのダ●ソー商品(110円)であるため、あまり細かくて繊細な作業には適さないようだ。ちゃんとしたピンセットを買うべきだったか…。
私が心の友として頼りにしまくっていた、位置決め用棒は62枚目から姿を消す。
ここからは己の指先の感覚(?)のみで正しい位置に貼っていかなければならない。
しかも、なんと、No.68からは火口部分を抜いて貼っていくことを求められている。
そんでもって、ラストパーツであるNo.73…!!
肉眼で確認できる大きさなのか、その大きさ!?米粒以下、芥子粒以下だよ!!
多分、ここが剣が峰なのだろう。一番高い場所の3776m。
剣が峰を外すわけにはいかない。日本一の高所なのだ。
No.72ですら、実はちゃんと貼れなかったのだが、一応、貫徹の精神でもって、No.73をピンセットでつまもうと試みる。
…つまめたような気がする。
おそるおそるピンセットを所定の位置に置く。先っちょにくっついていると思われる剣が峰を指先で押さえるようにして、ピンセットを引き抜く。
…どっかに消えたよ、剣が峰。
指についていたカスがきっとそうだ、と思い、再度トライしてみたが、どっちが接着面なのかよくわからないし、固定しようとしても、位置がさだまらない。そもそも、これが本当にNo.73のパーツなのかも自信がない。
諦めた。
完成した私の手乗り富士山には剣が峰が無い。…悔しい…。
所要時間、概ね一時間半。完成した。
剣が峰は無いが、結構、良い感じに出来たのでは無いだろうか。
富士山って本当に綺麗な形だ。地面をにゅうっとつまんで持ち上げたみたい。
国土地理院の日本の主な山岳の3D地図と見比べて、同じ形に出来てるなあ、と感無量である。
また、このあたりが、富士吉田ルート、このあたりが御殿場ルートなんていうこともわかる。楽しい。
立体地図(日本の主な山岳) ←国土地理院のページ
来年は富士山登れるといいなあ。
出来上がった、手乗り富士山を眺めながら、しばらくは妄想登山で過ごすしか無い。
そして、意外や意外、私でもわりと簡単に出来たので、他の山も作ってみたくなっている。
やまつみは様々な山の商品を展開しているのだ。(ちなみに手乗り富士山はミニサイズだが、主流は1/50,000なので、かなり大きいと思われる)
G県民として、赤城山にトライしてみるべきか…!!
いや、大好きな谷川岳にするべきか。はたまた浅間山にするべきか。思い切って全部か。
人生は悩みに溢れている。