睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

やまんば山のモッコたち 富安陽子

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 私ははっきり言って、コレクターだ。  

子どもの頃の切手蒐集から始まり、テレフォンカードや切符、消しゴム。最近では名作少女マンガを脇目もふらず集めたり、しおり蒐集(これが今一番熱い)にうつつを抜かしたりしている。  

ものが段々そろっていくのが好きなのだ。財産が増えていくような気がして。  

だから、餌をため込むハムスターとかリスの気持ちがよく分かるの。ためたものに囲まれていると、心が豊かになるよな~。  

早い話が、貧乏性。ものを捨てられない。  

今必要じゃないものでも、取っておけば、いずれ役に立つに違いないと思い、いろいろとため込んでいる。デパートの包装紙とか、袋とか。

しかも、使うときになると「あっこのブランド、私好きなんだよね~。やっぱり、袋もセンスいいなあ」などど思ってしまい、もったいなくて使えないのだ……。阿呆な私……。  

三つ子の魂百まで、と言うが、そんな「ものをためる」ことに固執する私の少女時代好きだった本が「やまんば山のモッコたち」である。  

中でも「柏林」の章が特に好きで、何度も何度も読み返した。  

「柏林」は、やまんばのお母ちゃんが、柏の洞に様々な冬の間の食料を貯蔵している、という話である。それを娘の「まゆ」が探検する。  

少女だった私は、とにかくうっとりわくわくして、この話を読み返していた。  

だって、柏の洞に栗の甘煮とかヤマモモ酒とかがたっぷり入っているんだよ!  

うーん、おいしそうだ~。しかも、たっぷりとたまっているのだ!  

確か、お母ちゃんが洞に手を入れると、甘い蜜が糸を引いた栗をつかんでいて、それを娘の口に、ぽこんっと押し込んでくれるんだったと思う。  

うー。私も食べてみたい!本当に食べてみたい。いい年になった今でも思い出すと、よだれが出そうだ。おかあちゃん、私の口にも入れて~。糖分高そうだけど。  

しかし、やまんばの娘「まゆ」が食べている場面を読んで、うらやましい思いを抱きつつも、「ああ~無意味に食べたら無くなっちゃう!春までもたなくなったら、どうするの!」なんてはらはらもしていたのだ……。  

分からない人には決して分かってもらえないだろうが、私はためたものが減るのが嫌なのだ……。だって、せっかくためたのに……。  

ためた中から減らす場合は、それを後で補填しないと、どうも落ち着かない。  

私の気持ちを知ってか知らずか、お母ちゃんはこぼれるのも構わずに、がっさがっさと食料をスカートにかき込んでいく。(こぼれた分はキツネへのおすそわけなので、これは私も仕方なくOKを出しましょう)  

ああ……。そんな丼勘定で大丈夫なのかしら?  

どきどきして心を痛める少女の私。「余るくらいたくさんあるから、心配しなくていいのよ、私」と自分に言い聞かせていた。  

やまんばたちに言わせれば、食べるためにためた冬の食糧なんだから、春までに全部なくなってしまってあたりまえのものなのだが……。  

頭で理解していても、心までは納得できない。ああ、心底貧乏性……。  

そういえば、同じく少女の頃「大草原の小さな家」シリーズの中で、冬の食料用の豚の塩漬け肉が貯蔵してある話があって、春先のたくさんの客が食べ尽くしてしまう、というストーリーに切ない思いを抱いたこともあったなあ……。  

 

こんなコレクター気質(というか貧乏性)の私が最近悩んでいるのは、溜まり続ける本である。  

一時期、すべてをなげうって、少女マンガを蒐集していたので、マンガだけでも相当の数になってしまっている。(2700冊くらいだったかしら?現在のところ)  

もちろん、本棚には入りきらない(床に積んでいる)  

でも、決して古本屋には売りたくないの……。だって、私の財産なんですもの。  

母の「本は重いから、家がつぶれたらどうするの!」という怒りに満ちた声に「だって、捨てられないんだもの……」と弱々しく答える私。  

……どうしたら、いいんでしょう……。