「銀のロマンティック…わはは」川原泉
最近、フィギュアスケートが熱い。
昔から冬の花形競技ではあったけれど、荒川静香のイナバウワー金メダルで、大人気になった。秋篠宮のところの娘さんも習っているそうだし。
ちなみに私はオリンピックに出られなかったけれど、中野選手を応援していた。
私は昔からフィギュアスケートが好きなので(ちなみに昔はフランスのボナリー選手のファンでした)人気があるのは喜ばしいと思っているのだけれど、中継を見ていて思うことがある。
4回転はクワドラプルだろ!
である。
未だ、4回転ジャンプは難度が高く、公式戦では安藤美姫をのぞいて成功させた人はいないらしい。
だからなのか、何なのか、実況中継するアナウンサーたちは皆「安藤選手、ここで4回転を飛ぶか!」とか「ああっ残念!4回転、失敗です」とかの実況をする。
新聞や何かも「安藤美姫 4回転は封印」とか「浅田真央 4回転を練習中」とかの見出しだ。
いかーん!
1回転=シングル 2回転=ダブル 3回転=トリプル という言い方が、フィギュアスケートでは当たり前になっているじゃないか!
どうして4回転から日本語なんだ!?
音楽でだって、4人での演奏は「カルテット」と言うぞ!
4回転はクワドラプルである。
ちゃんとそういう風に、川原教授の名作「銀のロマンティック……わはは」に書いてあるのだ。
クワドラプルは確かに言いにくい。長いし、日本人にはなじみがない。
でも、4回転からいきなり日本語になっちゃうのは、どうしても私の美意識からはずれるのだ。
クワドラプルだって、何回も言ったり聞いたりすれば慣れるって!
クワドラプルルッツ! クワドラプルフリップ! クワドラプルサルコー! クワドラプルトゥーループ! クワドラプルアクセル!(←これは超難度だ)
これだけ書いたので、私はかなり慣れた。
とりあえず「銀のロマンティック……わはは」を1冊通しで読めば、たいていの人は慣れると思うんだけど……。
それでも、どうしても慣れない、という場合は「銀の~」で主人公の二人がクワドラプルジャンプを成功させる鍵になった、愛犬ポチが言っているように「クワ」と略すればいいのである。
クワルッツ……とか、なんか楽しそうではないか。
でも、クワドラプルだって、「ルーマニアのチャウセスク大統領」よりは言いやすいはずなので、アナウンサーの皆さんは、是非がんばって略さずに「クワドラプル」を連発して欲しい。
フィギュアスケート界では、そのうち4回転する選手がぼろぼろ出てくるようになると思う。
昔は伊藤みどりの3回転半成功に感動したが、今は安藤美姫は一度だが4回転を飛んでいるし、浅田真央は3回転半を2回も成功させてしまう。男子選手もぽこぽこ4回転を飛んでいる。
だから、4回転時代にそなえて、今から「4回転=クワドラプル」という呼び方を定着させた方がいいと思う。
もしかすると、私の目が黒いうちに5回転とか見られるかもしれない……。
そうしたら、5回転はなんと言うんだろう……。さすがにそこまでは川原教授も教えてくれていない。
やっぱり、最後に「プル」がつくのかなぁ……?クワドラプルよりも言いにくかったら嫌だなあ……。