睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「ここはグリーンウッド」那州雪絵

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先日、岡山方面へ行ってきた。  

私の職場はお盆休みというものがないかわりに、7~9月の間に5日好きな時に休める、というシステムになっている。  

……一見良いように見えるかもしれないけど、連休がほとんど取れないので私は嫌だ。  

しかも、みんなが長期休みで旅行したり遊んでいるお盆のときに、私は毎日仕事に行くのよ……。悔し涙が流れちゃうわ。しくしく。  

その休みが残っていたので、(毎年、最後の方になって、焦って休むこのパターン)特に何の理由もなく、岡山に行くことにしたのだ。  

行く前に、ガイドブックを見ていて、お土産のページに差し掛かったときだ。  

私の頭に突然「ママカリ、ベイカ、マスカットに吉備団子」という暗号めいた言葉が浮かんできた。  

マスカットと吉備団子はともかく、ママカリとベイカって何だ!?  

ガイドブックに目を走らせると「ママカリ」は岡山名物の魚であるらしいことが判明。  「ママ(飯)をカリ(借り)てきても食べたい」くらいおいしいことから、その名前がついたそうな。ご飯がないなら、魚だけ食べればいいのに……。(アントワネット的思考?)  

「ベイカ」については、本には見あたらない。  

いったい何なんだ、ベイカ!  

というより、どうして、私の頭に、そんな岡山情報が入っているんだ!  

今まで、岡山には、小豆島に行ったときに一度通過した経験があるだけなのに!  

私、前世は岡山県人だったのかも。または、桃太郎に退治された鬼の子孫だとか……。  その記憶が残っていて、私に妙な岡山情報があるのかしら?  

うーん、なんか自分が怖いわ、などど思っていたが、ふと思い出した。  

これ、確か「ここグリ」(「ここはグリーンウッド」をこう略す)で光流先輩が岡山県民に土産をねだるときに言ったセリフだ……。  

(後で調べたところ、蓮川(スカ)ちゃんたちの修学旅行が岡山・広島・山口方面だったため、土産をねだるため、岡山名物を岡山出身の寮生に言わせていたシーンでした)  

……なんだって、そんな部分が鮮明に残ってるんだ、私の記憶よ……。  

このマンガを読んでいたのって、多分、もう10年以上昔のこと。  

そのころから、もうずっとこれが私の脳みそのどこかに眠っていたらしいのだ……。  しかも、すごく話のメインとは外れた、些細なセリフを10以上年も……。  

私の記憶力、どうなってるんだろう?  

でも、確かに些細なセリフが記憶に残るくらい、このマンガを読み返していたのだ。  

 

このマンガは名門男子校の寮を舞台に繰り広げられる、ちょっと変な日常をつづったものだ。  

主人公スカ(蓮川)ちゃん、同室の瞬、隣の部屋の光流先輩と忍先輩の4人が中心に、奇人変人が盛りだくさんで、そりゃーもう、楽しそうな毎日。  

寮生活にあこがれたものだった。    

このマンガから仕入れたネタは数知れず。  

雪の妖精(まっさらな雪に倒れて、両手をばたばたと動かして出来た形。京都植物園で一度発見した)  

ダフ屋=ダフィー(最近では普通に使われているけど)  

コカールくんターボの走り(「ビートたけしのスポーツ大将」という番組で登場した人形。すごく早い。この走りに、スカちゃんの走り方が似ているそうな)  

などなど。  

ちなみに、スウェーデンリレーという競技を知ったのもこの作品だったな~。    

もう、光流「先輩」、忍「先輩」なんて絶対に言えないくらい年を取ってしまったが、今でも「ここグリ」の緑林寮に入ってみたいな~という思いは強い。  

こういう青春群像ものって、やっぱいいな~。  

 

ところで、倉敷でママカリを肴に飲んでいるときに、謎だった「ベイカ」の正体が分かった。  

メニューには無かったのだが、店の人が「今日のオススメはベイカとハモとシャコです」と言ってくれたので、すかさず頼んでみたのだ。  

ベイカ……イカでした。  

「ベ」イカらしい。そのままだったか……。  

ホタルイカみたいで、おいしかったです。  

しかし、ママカリといい、ベイカといい、生ものだぞ……。光流先輩、これは土産に持って帰りにくいと思うけれど……。