睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「鏡地獄」江戸川乱歩

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引き続き、岡山旅行の話である。  

今回、ホテルを日航ホテルにした。  アメニティはフェラガモ!  

しかし、フェラガモがこういうシャンプーとか石けんとか作っているモノなのかしら……?名前貸してるだけかもしれないけど。それでも嬉しい。  

シャワー室完備。しかも、扉はガラス。  

いやん、外から見えちゃうわん。でも、お湯をざーっと出すと、曇るから外から見えなくなるのよね。だから大丈夫!でも、誰も見ないけどね……。  

バスビーズも、バスローブも備えられているぞ。  

ちなみにバスビーズは紫と緑で、ピオーネとマスカットだった。さすが岡山!  

そして、パジャマはシャツを足首まで伸ばしたみたいなもので、ギムナジウムの少年のパジャマみたいで密かにほくそ笑む私。  

トーマの心臓」のユーリとオスカーごっこをしたかったけれど、一緒に行った友達は「トーマ」未読なので、一人で「入れる?ブランデー?」などと言って、遊んだよ……。ちょっと淋しいな、私。

(ああっ!ここで江戸川乱歩を取り上げるんなら、「ポーの一族」ごっこにすればよかった……←主人公は「エドガー」&「アラン」で「ポー」の一族なのだ)  

まあ、とにかく快適。うーん、さすがは日航。ちょっとだけ高かったけれど、その価値はある、と感激。  

おほほ。ワタクシにはこういった高級な待遇じゃないとね。  

部屋に備え付けの「UDON de Sky(うどんですかい)」(ナイスなネーミングです!グッジョブ!)一杯250円に手が出なかったけどね……。だって、カップヌードルくらいなのに、倍近い値段なんだもの……。    

そんな日航ホテルの洗面所には正面とその向かいの壁が、どちらも大きな鏡になっていたのだ。  

合わせ鏡だ~。  

沢山の私が鏡の奥にいるよ~。うわ~。  

いろんなポーズを取って、遊ぶ私。  

合わせ鏡の奥からは妖怪が現れるんだったかな~?いや、西洋の方で悪魔が現れるんだったか?  

まあ、どっちにしろ、合わせ鏡はあんまりいいモノじゃない感じだな……。  

 

合わせ鏡というと思い出すのは、江戸川乱歩の「鏡地獄」である。  

異様な鏡好きの男が、鏡の世界に夢中になるあまり身を滅ぼす話だ。  

合わせ鏡どころではない。四方鏡張りの部屋にこもったり、その鏡を凸面やら凹面やらに変えたりして悦に入るのだ。  

うーん、怖い!けど、なんとなくその異様性に惹かれてしまったりする。  

そして、話のラストに究極の鏡が登場する。  

球体の内側がすべて鏡!  

何カ所かに光を発するものがついている。  

主人公はその中に入り、発狂するのだ。  

うおおお!なんだか、すごい!気持ち悪いし怖いけれど、気になって仕方がない感じだ。    

現代の技術なら、この鏡を作ることは出来ると思う。多分。  

でも、実際作ったとして、その中に入る勇気は私にはない。  

だって、本当に発狂してしまうんじゃないかと思うから。  

どんな世界なんだろう……。興味はあるんだけど……。  

人間がその中に入るのは危険すぎるので、カメラを中に置いて、それをモニターで見る、という消極的手法はどうだろうか……?  

その鏡の世界を見ることは一緒だから、やっぱり狂っちゃうかな~?いかん、危険だな。  

やはり、ただ想像するだけにとどめておいた方がいい世界に違いない。  

合わせ鏡くらいで、妖怪だか悪魔だかがやってきてしまうのだ。  

球体の鏡レベルになると、もう、何が出てくるのか分からない。歴史上の人物とか出てきてくれないかな……。個人的には中大兄皇子希望。(深い意味はありません)  

それにしても、江戸川乱歩はすごい。  

人間の奥にある、何か隠微な世界を描き出す力は、右に出る人はいないと思う。こんな作家、いない!  

一体、日々、どんな生活していると、こんな話を書く作家になるんだろうか……。  

百鬼夜行抄」の飯島蝸牛先生じゃないけれど、人には見えない何かが見えていたに違いない。(蝸牛先生のモデルは泉鏡花のような気がするけれども)  

ちょっとうらやましいような……。どうかな?