「魔女集会通り26番地」ディアナ=ウィン=ジョーンズ
ディズニーランド(通称:ネズミーランド又はネズミの国)のショーって、どうしてあんな堅そうな衣装なんだろう……?
着ぐるみの動物たちはいいとして、人間(じゃなくて、もしかしたら、妖精とかなのかもしれないけど)のダンサーたちも、発泡スチロールで作ってあるのか?みたいな、奇抜な衣装とかぶり物を着けている……。
なんか、異様な感じがするのは、私だけだろうか……?(プラスチック製おもちゃのイメージなのかもしれない)
まあ、そんなことはどうでもいいが、あのパレードに時々登場するモノに「ジンジャークッキー」がある。
←これです。
なんか、ミュージカル版の「美女と野獣」に出てくるマットみたいだなあ……。
(マットに扮した人は、塗り壁状態のマットから手足を出して、器用にバク転をかましたりする。このミュージカルでの隠れた一番人気)
しかし、華麗なダンスを披露、という感じではなく、ふらふら踊っていた印象がある。
何じゃ、ありゃ~?
異様な登場者(物?)が次から次へと登場する、ネズミーランドのパレードの中でも際だって、変な登場者(物)だ。
日本にはまだあまりジンジャークッキーって浸透していないから、あれがクッキーであることに気づいている人も少ないような気がする……。
イギリス発祥のお菓子で、クリスマスの時期なんかによく食べるものらしい。形は何故か人形(「にんぎょう」ではなく「ひとがた」と読んで下さい)だ。
私が何故あれがジンジャークッキーだと分かったのか、というと「魔女集会通り23番地」を読んでいたからだ。
イギリスの大人気児童文学作家のダィアナ=ウィン=ジョーンズの「大魔法使いクレストマンシーシリーズ」の第1作だ。
ちなみに、「魔法使いハウルと火の悪魔」(「ハウルの動く城」の原作)の作者でもある。
この作品によると、魔女がつくったジンジャークッキーは、食べようとするとぴゅーっと逃げ出してしまうので、それを追いかけなくてはいけないのだ。
激しい追走劇の末に、ジンジャークッキーを捕まえると「手間かせさせやがって!さあ、頂くぜ!」という気持ちになり、おいしく頂けるんだそうだ。
しかし、主人公キャットが一緒に住んでいた魔女のおばさんはあまり魔力の強くない魔女だった。
そのため、彼女が作るジンジャークッキーは走り出すどころか、お皿の上でひらひらと手を振る程度で、それを見ると、キャットは食欲がなくなってしまうのだ。
……確かに、なんか、弱々しく抵抗するものを食べるのは嫌だよな……。
自分が、ものすごく悪い人間のような気がしてしまうじゃないか。
「手をひらひら……」嫌な光景だ。なんか、夢に見そう。
確かに私も、激しく逃げるヤツだったら、追走劇の間に「なかなか、お主もやるな……」という友情に似た気持ちが芽生えて、食べられないかもしれない。でも、「ふん、なんだかんだ言って、俺は逃げ切れなかった……。さあ、潔く負けを認める。食べてくれ!」とジンジャークッキーはきっと言うだろう。
そうしたら、武士の情け(?)で、しっかりむさぼり食ってあげられると思うんだよね! 「くっ……うまい!うまいぞ、ジンジャークッキー!お主のことは忘れない!」
これがきっと理想のジンジャークッキーの食べ方なのだ!
それなので、ジンジャークッキーには、軽快で華麗なダンスを披露して欲しいのだ。
でも、ネズミーランドのジンジャークッキーたちの動きを見ると、なんか微妙だ……。
まな板の上の鯉状態で、手をひらひら……よりは、遙かにいい動きをしているが、私が追いかけたらあっさり捕まるだろう。
駄目なんだよ、それじゃー!
それなので、ネズミーランドに是非提案したい。
ジンジャークッキーの中には、元体操選手(アクロバティックな動き)や陸上選手(早い走り)を是非!
又は、劇団四季の「美女と野獣」でマットになっていた人か、JACを呼んで下さい!
そうじゃないと、私はあのパレードを見て「手をひらひら振っているジンジャークッキー」をどうしても思い出してしまうのだ。嗚呼……。
※追加情報(これを書くにあたって調べました)
現在、この本は絶版になってますが、新しい訳の新装版が出ています。
「魔女とくらせば」がそれです。
徳間書店から「クレストマンシーシリーズ」として刊行されていて、「魔女とくらせば」は第3作になっています。
が!発表順から言えば、この作品が第1作です!
タイトルも「魔女集会通り26番地」の方がいいと思うんですが……。