睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「照柿」高村薫

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今、私はとても疲れている。  

年度替わりは毎年の事ながら、とにかく仕事が山ほどある。「藤原さーん、紙、無くなったよ~」などど、暢気にプリンターの前で宣う上司の首を絞めてやりたいくらいだ。自分で補給してくれ!(または、同様の状況で自分の印刷する分だけ、コピー機から紙を拝借してプリンターに入れた上司!成敗!自分だけよければいいのか!かーっ!)  

続く残業に加えて、先週は土日両方出勤だった。  

走り続ける私。  

肩で息をしつつ、なんとか持ちこたえ、唯一の週休日だった月曜日。  

ひたすら寝まくり。  

朝寝坊して、昼寝して、夜早く寝た。  

多分、15時間くらいは寝たと思う。一日の半分以上を眠って過ごしてしまった。愛情に飢えた観葉少女みたいだわ。  

疲れには睡眠が一番。眠れるうちは、まだ大丈夫。というのが、私の身上だ。  

というのも、高村薫「照柿」を読んでしまったからなのだ。  

「照柿」の主人公の一人である野田達也は60時間以上ずっと眠らず、仕事をこなし、私的なもめ事にも奔走し、異様に高揚した、又は放心した精神状態で、特別な理由もなく殺人を犯す。  

その描写がリアルで怖い。不眠はためらいもなく殺人を行わさせるのか!  

高村薫の筆致はそのひたひたと加速していく、不眠が精神を圧迫する様を、克明に描いていて説得力がある。本当にこの人女性なのか?と思わせる硬質っぷり。カッコイイ。  

確かに、寝ていない、というだけで、一日機嫌が悪くなるし、頭ぼーっとしてるし、肌荒れもひどい。  

もう、若くないのねえ、ということなのかもしれないけどね……。  

かつては二晩くらい完徹できたのに、私。  

今や、睡眠時間が7時間を切ると、もう大変。胃腸が弱いので、太田胃散をはなせない。(睡眠不足は一番に胃腸に響きますよ!)ありがとう、いい薬です。  

睡眠不足が積もりに積もると、私も照柿の野田達也のように、たいした理由もなく殺人をおかしてしまうかもしれない。コピー機の前の上司とかを……  

まずい。さっき、冒頭に「首を絞めたいくらいだ」とか書いちゃったよ。危険な状態に陥りつつあるのかも。疲れがたまってるからね……。  

睡眠だ!睡眠を取って、この危険な傾向から離れなくては!    

とか言いつつも、世の中の大半は私よりももっとずっと働いていて、睡眠不足の度合いも半端じゃないんだと思う。  

日本の企業戦士のみなさんは気をつけないといけない。休みには貪欲に眠りこけ、「照柿」の展開を避けてもらいたい。  

通勤帰宅時に電車の中で眠りこける。オッケーです!  

昼休みに公園のベンチで昼寝。スバラシイ!  

会議中の居眠り。これも大事!  

睡眠は何にも代え難いスペシャルなものだ。  

ということで、今日は早く寝ます。  

お疲れ様でした。