睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子

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 新潮文庫620円単行本は1.680円 白泉社より勝田文さんが漫画化しています。  

そういえば、私は落語が好きな子どもだった。  

小学生の頃の私は、「まんじゅうこわい」を覚えて、自らテープに録音とかしていたのだ。恥ずかし~!  

それにしても、テープというあたり、時代を感じるなあ。テープといっても、セロハンでもメンディングでもないんだぜ、ベイベー。  

録音していたのは上方落語米朝師匠バージョン「まんじゅうこわい」。  

当時の私は、江戸落語とは違う、エピソードてんこ盛りの上方バージョンに夢中になっていたのだ。だって、とにかく面白かったんだもん!  

出会いは小学生の時。大阪に引っ越した時に、米朝傑作選のテープを数本買い与えられ、初めて聞いた。  

大阪に引っ越したので、上方落語、という自然な流れだったと思われる。  

、……なんで、小学生に落語……?渋すぎないか?  

うちの親、ちょっと変わってるよな……。まあ、落語好きだからいいんだけど。    

 

先日、話題の「しゃべれどもしゃべれども」を読んでいて、おお!とそのころの記憶が甦ってきた。  

作中の登場人物、関西人小学生村林優は枝雀バージョン「まんじゅうこわい」を気に入り、これを演じるのである。  

中でも「さっき、助けてやろうとおっしゃった……お方えな~?あーこわっ、あーこわっ!」というところが、たいそう気に入って、自分でも笑ってしまうという。 村林!

同士よ!私もここ、お気に入りだったの!  

文字ではこのおかしさが完全には伝わらないと思うが、独特の関西弁のイントネーションで「助けてやろうとおっしゃった……」と来ると、おかしくてたまらない。   

ああ、是非聞いて貰いたい!私の声のファイルをここに添付すべきか!?私のじゃつまらないか。くう、自分のふがいなさに涙が出るぜ!  

ちなみに、この部分を簡単に説明すると、「怖いモノはなんだ?」という話から「一度だけ怖い思いをした」というご老人が話し出す。  

身投げしようとしていた女性がいたので、ご老人が止めると死にたいの一点張りでさめざめと泣く。  

ご老人はかちーんときて「わしがわざわざ止めたったのに、勝手に死のうっちゅうんかい 死にさらせどメンタ!」とどついて、その場を去ると、女性の飛び込む音がした。  

そのまま、道を急ぐと、後ろからジタジタジタとついてくる足音がする。先ほどの身投げした女性である。  

で、くだんのセリフ「さっき~」  

この話にもちゃんとオチがあるのだが……。知っている人だけ、にや~っと笑って下さい。  

私が録音したテープは引越のどさくさなどに紛れて紛失してしまった。  

記憶にたよると、かなりセリフが覚え切れていなくて、飛んでしまっていたが(何しろ30分かかる大物だ)、本人の好きなところは、気合いを入れて大げさに話していた。  

自分で言っていておかしくなって、「ちこちこちこ、とこう歩いててな、こんなもん ぴゅっぴゅっと出てるやろ(アリの描写です)」と言いながら笑っていた。

まさに村林の「まんじゅうこわい」! 

この本を読んで、ちょっとそのテープを聞き返したいたい気持ちになったのだが、多分、聞いたら恥ずかしくて永久追放したくなるんだろうなあ……。昔の写真を正視できないのと同じように。  

無くしていてよかった!  

幸いにも米朝師匠の傑作選テープはまだちゃんと持っている。  

が、今回これを書くに当たって、聞き返そうとして、壁にぶちあたった。  

テープデッキが無い!(「デッキ」って最近使わないよな~。CDデッキとか昔は言っていた気がするけど)  

私の部屋の音楽系再生機はパソコンのみだ。CDしか聞かないので。MDも無い。  

時代!時代を感じるぜ!10年一昔とはよく言ったモノよ。いや、10年以上経ってますがね。  

がーん。  

というわけで、これはおぼろげな記憶に頼って書いています。  

でも、けっこう覚えている自分に驚き。子どもの記憶力って、オソロシイ……。  

(正確に言うと、居間にはテープデッキはまだあるので、聞こうと思えば聞けるんですがね……。そのうち、聞き直します)

ちなみに、その他「時そば」も録音していた。これは江戸バージョン。上方バージョンだったら「時うどん」やね。  

 

追記:私は米朝師匠を深く敬愛しているので、新聞紙面で「米朝協議決裂」などの見出しを見ると「ええ~!米朝師匠に何が!」と一瞬あわててしまう……。  

どうにかならないですかねえ……。ならないか……。