睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「ジョージィ!」いがらしゆみこ 井沢満

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 現在はフェアベル文庫500円くらいが入手可能のようですが、漫画家と原作者が揉めた関係で、文庫版等は出ていないようです。私はフラワーコミックス版を所有しています。

女の子の楽しみ。友達とああでもないこうでもないと喋りながら、デパートでお洋服を見て回るのが好きだ。  

と言っても、買うわけではない。見てるだけ。  

「これ買いなよ~」  「こ……こんなギンギラギンにさりげない服は私には着こなせないわ!」  とか、お店の人が聞いたらかなり不快になるであろうセリフを連発しながら、ふらふらと店中をさまよう。  

気づくとかなりの時間が経っていて、足は棒のよう。疲れた。でも、まだまだ見るぜ!    

そんな、まさに冷やかし客の私と友人Nには、お洋服を見るときのお決まりのセリフがある。  

・前が大きく開いたトップスを見たとき  →「ルイ姉!ルイ姉!」(北条司「CAT’S EYE」より) 

重ね着という発想はない。  

・ふくらんだ長袖ブラウス(シルクっぽい生地だとなお良し)を見たとき  →「ジルベール!」(竹宮恵子風と木の詩」より)  

このように、叫ばれたら、「オーギュ!」と答えなくてはならない。決まり事。  

「セルジュ!」と答えた方がいいかなあ?でも、ジルベールのイメージは「オーギュ」なのよね……。ごめんよセルジュ。主人公なのに。  

・胸のあたりがひらひらしたブラウスを見たとき  →「ジョージィ!」(井沢満いがらしゆみこジョージィ!」より)  

なぜ、ここで「ジョージィ!」が出てくるかと言うと、ジョージィの義兄アーサーが、変態貴族に監禁されていたときに、ひらひらブラウスを着せられていたからだ!  

 

ジョージィ!」は名作「キャンディキャンディ」タイプの主人公ジョージィの生涯を描いた、大河ロマン系の少女マンガだが、掲載誌が「少女コミック」だったせいなのか何なのか、後半、いきなり怪しい展開に突入する。  

ジョージィを追ってイギリスへ渡った義兄アーサーは、貴族の息子に監禁され、麻薬中毒にされてしまうのだ!  

なんで、いきなり!?    

貴族の息子「力ずくをわたしは好まない 時間はかける いつか君からぼくの腕にとびこんできてほしいんだ」  

アーサー「期待にこたえられないね その前におれは気が狂うだろう」  

貴族の息子「それは好つごうだ ぼくを拒む君はいただけないが 気が狂った君なら喜んで手に入れる」  

うわ~!変態!変態だよ!その貴族!  

なんで、あの貴族、監禁したアーサーにひらひらブラウスを着せていたのかなあ?  

なんか、より一層、変態な感じがするのだが……。  

ひらひらブラウスを着せるくらいなら、いっそのこと、裸にむいちゃうとかの直接的なほうが、健全な感じがするね。そうか?  

私とNは毎回「ジョージィ!」と叫びつつ「あのひらひら貴族、変態よね!」「いやん、アーサー、変態の魔手から逃れるのよ!」と盛り上がる。  

はっきりいって、「ジョージィ!」のストーリー展開は陳腐だと思う。なんの脈絡もなく拉致監禁だもん……。ひどい。  

実際、これを書くに当たって読み返すまで、具体的なストーリーを良く覚えていなかった。  

それなのに、私の脳は「ひらひらのブラウス」だけを異様に鮮明に覚えていたのだ!  いやん、私もちょっと変?  

ちなみに、このマンガは「レディ ジョージィ!」というタイトルでアニメ化されたが、Nの記憶によると、アニメでもアーサーはひらひらブラウスを着せられていたとのこと。  

子ども向けアニメでそれはいかんだろう!教育上、良くないって!  

子どもの脳裏に「ひらひらブラウス=変態貴族」という驚異のすり込みが行われたことは間違いない……。  

数年前、アーサーっぽいひらひらブラウスを購入したことがありますが、なんか気恥ずかしくてほとんど着てません。  

もったいない……。