「怪しいお仕事!」北尾トロ
新潮文庫 499円 姉妹編「危ないお仕事!」もあります。
先日、新聞の求人欄を何気なく眺めていて、すごいモノを発見してしまった。
求人「僧侶! 当方曹洞宗 要免許 ●●寺」
……新聞で求人するような職業だろうか?僧侶。普通、本山とかが紹介するんじゃないの?
「オレ、いい寺探してるんだよ」と職にあぶれた僧侶が新聞の求人欄をチェックしているものなのだろうか……?
しかも、翌日の新聞にも載っていた。いつまで載るんだろう……?その後はチェックしてないけど。(ちなみにsunrise新聞です)
それにしても、この求人、何か切羽詰まったものを感じるな~。
これで後継者見つかるのかしら?曹洞宗の●●寺さん。
意外と沢山の応募があって、僧侶の卵たちの面接が行われたりするのかな~?やっぱり、面接には座禅があるんだろうなあ。曹洞宗だし。
いや、禅問答が試験かも!
「こーあん!(公案)なぜ達磨はインドから来たのか」「せっぱ!(説破)庭の柏の樹だからです」ってヤツ。言語明瞭意味不明……。
そういう面接があるかどうかはともかく、こういう場合に登場するのは「お寺売買コーディネーター」なる職業らしい。僧侶がやっている。職業というか、何というか……。
北尾トロ「怪しいお仕事」では、いろいろな変わったお仕事を紹介している。その中の一つが「お寺売買コーディネーター」。
「後継者がいないお寺(又は代務住職のお寺)」に「免許はあるけれど、お寺(就職先)がない」という僧侶にその寺を斡旋するお仕事だそうだ。
すごいお仕事出ちゃったよ!
僧侶って清廉潔白じゃなくちゃいけないはずなのに、ぎとぎとですがな!
ふ……不潔よ!
なんでも、お寺の後継者を決めるのは、法縁(宗派の縦つながり)の許可やら、檀家の承認やらなんだかんだで、ものすごく面倒らしい。
そこを顔の広い実力者の住職が紹介者としてうまーくまとめる。
これが「お寺売買コーディネーター」だ。
そうすると、紹介された新任住職より紹介料がいただける、という仕組みだそうだ。
住職たちは小金を貯めてはランクの高いお寺(檀家がいっぱいいる都会の寺)へとどんどん鞍替えして、出世階段(?)を登っていくモノなんだそうだ。
……もう、どろどろのぎとぎとな世界じゃないですか!
君たちは宗教を学ぶ学徒なんじゃないのか!?日本の仏教界は汚れている……。うっうっ……。
でもまあ、そんなもんだろうなあ……。狭い、特殊な世界だもんなあ……。
以前、京都でお酒を飲んでいたら、某有名寺(臨済宗)の総代他3名の僧侶がたまたまやって来て、流れで一緒に飲んだことがある。
僧侶なのに、がんがん肉食べてたよ……。もちろん鯨飲。
「いつもは精進やからええねん」「ということにしときましょか、総代」という会話を交わしてました……。
あの総代ももしかすると、この「お寺売買コーディネーター」をしているのかしら……?
してるかもな……。顔広そうだったし。
曹洞宗の●●寺さんも、この「お寺売買コーディネーター」に頼めばいいのに……。
なんで、そんなに正攻法に求人広告なんて出してるんだ!?
お金がないのかしら……?それとも、もしかして、既にもう売買コーディネーターの僧侶と決裂したから、仕方なく求人広告を出したのかしら?
「こんな金儲けしか考えておらんもんにうちの寺は任せられん!檀家総代も怒ってるぞ!」
「私が選んだ人に間違いはおへん!そんな無茶言わはるんやったら、もう紹介せえしまへん!勝手に探したらええんちゃいますか?」 という感じか……?
(コーディネーター僧侶を京都弁にしましたが、深い意味はありません。某有名寺の住職とは無関係です)
●●寺さん。わがまま言ったらいいお相手は見つかりませんよ。ある程度は妥協しなくちゃ。
とりあえず、●●寺さんに良い後継者が見つかることを祈ります。合掌。
この文を読み返してふと思ったのですが、もしかして曹洞宗●●寺さんは後継者じゃなくて、サラリーマン僧侶を募集していたのかもしれないなあ……。
まあ、それでも普通は縁故紹介で見つけるもんだと思うけど……。