睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「麻雀放浪記」阿佐田哲也

文春文庫 全4巻 各660円  

「パチンコっていうのはさ~、遊技場じゃない。戦場なんだ!」  

と、朝、出勤して一番に職場のおじさんに言われた……。  

「パチンコ等の遊技場で云々……」という書類の文言を見ての発言だった。いたくご立腹の様子。  

「戦ってるんですか?」と恐る恐る聞いてみたところ「そうだ!オレは戦場で戦ってるんだぞ!」と力強く言われたよ。鼻息荒かった。  

なんか、ぐっと胸に詰まるなあ……。  

おそらく、いや間違いなく、戦っては惨敗を繰り返して来たのねえ。  

でも、決して戦うことはやめないのね。なぜならば、そこに戦場があるから!おっさんは戦うモノなんだ!  

 

私は決してパチンコ等のギャンブルはやらない、と誓っている。  

女の子だから戦わなくてもいいの。悪の総帥にかっさらわれて、無力に助けを待つのよ。誰も来ない気がするけど。  

というより、負けず嫌いな性格なので、やり始めたら絶対に「この負けを取り返すまでは止められない!倍倍ぷーしゅっ!」とエンドレスで戦ってしまうに違いないからなのだ。  

かつて友達との待ち合わせに遅刻してまで、ぷよぷよのスケソウダラと戦った実績があるの、私。(小さい例でスミマセン)ヤツに勝つまではこのゲーム、止められない!と。やめとけよ、自分。スケソウダラごときに。  

駄目な自分の自覚があるので、手を出さないのが一番、と心得ているのだ。

下手すると、「まあじゃんほうろうき」の西原理恵子先生みたいに、羽をむしられて丸裸にされちゃうかもしんないし。  

「僕には羽がない……!」「僕の羽じゃだめ?僕の片羽きみにあげる。両羽だっていい!」うおぉぉ~エーリク……!!キミの羽はどんなにもがれても、決して無くなりはしないよ!(by「トーマの心臓」)←このセリフは何度読んでも泣けるぜ!  

 

やらないのだが、私は麻雀が好きである。  

学生時代は夜な夜な友人宅で卓を囲み、近所の住人から苦情が来たくらいだ。(Iさん、その節はご迷惑おかけしました。元気ですか?)  

好きなだけで、決して強くはない。未だに点数計算できないし。  

そして、学生だったので、基本的にはスポーツ麻雀。  

そうじゃないと、一緒に卓を囲んでいた友人が点数ちゃんと教えてくれないし……。

「おまえ、こんなスゴイ手(流し満貫とか)で上がっとるやんか……!!金かかってたら、絶対教えへんぞ!」とか怒られつつ、点数数えてもらってたよ。(Nさん、その節は大変お世話になりました)  

所詮、スポーツ麻雀なので、みんな優しかったなあ。  

和気あいあい麻雀。楽しかったわん。  

しかし、職場のおじさんによると「そんな麻雀は麻雀じゃない!いいか!遊技場なんてものはない!戦場だ!」となるらしい。  

 

その戦場麻雀記といえば、名著「麻雀放浪記」全4巻だ。  

これはすごい!  

本当に麻雀とかチンチロとかだけで生きている主人公の戦いの日々の話だ。妙に格好いいぜ。  

いや、冷静に考えると、かなり人間としてどうよ?という生き方なんだが……。  

だって、本当に所持金ゼロになるまでやっちゃうのよ。いや、下手するとマイナスまでやっちゃう。  

「そこでやめとこうぜ」と読んでいて思うのだが、それと同時に「いや、ここは見(「けん」賭にくわわらないで、横から見ていること)で次のチャンスにどーんとはって、マイナスを取り返せ!」と熱く声援を送ってしまう。  

ある意味、私の賭け事好きで危険な部分を、この本を読むことによって、解消できている気がする。  

これ、いい方法かもしれないな~。  

危険な賭に首をつっこまず、でも、自分が賭けているかのように、スリリングな気分を味わえる。 おお、「賭け事して~!」というストレスを「麻雀放浪記」で解消。  

スバラシイ!ブラボー!  

さらに、ちょっとヘビーすぎて、「賭け事怖い……」という気持ちにもなるので、抑制効果もあるぞ。  

ああ、最近、麻雀してないなあ。スポーツ麻雀したいなあ……。