睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「桂米朝コレクション」桂米朝

ちくま文庫 全8巻 各巻924円  

先日、またもや京都に行って来た。第二の故郷なので、しょっちゅう行くのだ。  

でも、正確には万博公園で行われた、とあるバンドのライブに行ったついでだ。(ライブ最高でした!足下びしょびしょでしたが。来年も行きます!)    

京都で行ったのは清水寺。  

そこで、私はついに長年思い続けてきた希望をかなえたよ!  

それは「音羽の滝の前のお茶屋さんで、お茶を飲む!」である!  

……小さい希望でスミマセン。

長年思い続けなくても、けっこうすぐにかなえられる希望だったんだけど……。  

清水寺には何回行ったか分からないくらい行っているが、音羽の滝前お茶屋の暖簾をくぐったのは今回が初めて。  

今までは、同行の友人たちに「このお店入ろうよ」と言い出しにくかったのだ。  

だって理由が「このお茶屋さんは「はてなの茶碗」が発見された場所だから!」なので……。  

友達、みんな理解してくれないよな、多分……。上方落語の話だもん。  

でも、今回は同行の友人が「疲れたからちょっと休んで行こう」と天使のようなお誘いをかけてくれたので、念願のお茶屋さんに初来店出来たのだ。♪サンキューフォーザタイヤード♪  いやっほ~!    

 

上方落語の名作「はてなの茶碗」は、私が小学生時代に米朝さんの落語(カセットテープ!)で何度も聞いていた作品だ。  

前にも書いたが、小学生時代、大阪に引っ越した際に、親が私に買い与えた米朝傑作選(とか言う類?)の中の一本だったのだ。  

うちの親、良くわかんない趣味しているから……。小学生になんで上方落語のテープなんだ?いや、面白かったからいいんだけども。  

清水の音羽の滝前のお茶屋で、京都の有名な茶道具屋の金兵衛さん(通称茶金さん)が出されたお茶を飲みながら、茶碗をひねくりまわしたあげく、「はてな」と言って去っていった。  

それを見ていた油屋さんが「これは五百両、千両の値打ちものやしれん!」と息巻いて、茶碗を強引に買い上げ(二両也)、茶金さんに目利きしてもらったところ  「……茶がぽたぽた漏りますのんで。(中略)ヒビ割れかキズでもと思うたが、なんのキズもない。(中略)「はてな」と言うて置いて帰った」  という、安手の値打ちのない数茶碗だった!というか、キズもの!がーん!  

しかし……話はおかしな方へ転がって……  というのが筋。  

米朝さんの「茶ぁがぽた、ぽた、漏りますのんで……」という言い方がおかしくて、しょっちゅう真似してたよ、私。  

この後の油屋さんのセリフ「いやいや、そんななんぼなんでも……いや、それはいかん…………さよかぁ?」という口調も絶品で、これは今でも時々使ってしまうことが……。もう、私のしゃべり方に染みついてしまった。……変だな、私。まずいな。

今回、初めてお茶屋さんに入ってみたので、当然、出されたお茶碗をぐるぐるひねくり回してみたわ!でも、さすが21世紀!全く漏らなかったよ……。ちぇっ。  

茶が漏る茶碗とかをどっかから探してきて、お店に飾っておくくらいの商売熱心さが欲しいわね。  

または、関白鷹司公が読まれた「清水の音羽の滝のおとしてや 茶碗もひびに もりの下露」のお歌の短冊をかけるとかさ~。  

この歌は私の頭にこびりついていて、このお茶屋さんに入っている間中、私の頭の中を駆け回っていたよ。子どものころ覚えた事って忘れないなあ。三つ子の魂百まで。  

それにしても、このお茶屋さんは、江戸の時代からあったのか……。年季入ってるなあ。  

今あるお店とは違う店なのかもしれないが、すごいもんだねえ。  

私、イギリス人と同じで、何でも「古いものはイイ!」と思いがちなので、ついつい感心してしまう。老舗に弱いの。  

ああ、やっぱりここで茶の漏る茶碗をゲットして、一攫千金たくらみたいなあ……と、注文した酢醤油ところてんを食べつつ感慨にふけりました。  

疲れた体に染みたぜ、ところてん!  

 

ちなみに、「はてなの茶碗」は桂米朝コレクションの4巻「商売繁盛」に収録されています。読むよりも聞いた方が断然面白い落語ですが、まあ、読むのもそれなりに楽しいです。  

私はこのコレクションをコツコツ一冊ずつ買いそろえていたのですが、行きつけの本屋さんの店頭から消えてしまった!かなりショックです……。  

ばかばか、私、まだ4巻までしか買ってないのよ~!ぬぅ、どうしてくれよう!  

なんで志ん生コレクション(?)は残して、米朝さんを消してしまったんだ!

それは、ここが関東地方だから……なのか?  

仕方がないので、ア●ゾンでポチる予定です……。