睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「飛龍伝」つかこうへい

集英社文庫 879円  

うぉぉ~、もうここまで読んじゃった!残りがちょっとしかないよ~!でも、早く読みたいの! 

という、胸かきむしられるような葛藤を感じる本に出会えることは数少ない。  

私の場合は30冊に1冊くらいかしら?  

……すっごい低い打率だな……。0割3分3厘。野球選手ならとっくにクビだ。

私の1年間に読む本はだいたい100冊くらいなので、3冊程度出会えている計算か。うーん、そんなもんだなあ。  

4ヶ月に1冊……。効率悪い読書しているな、私。マンガ入れればもうちょっと打率が上がるかも。

そんな貴重な「胸かきむしられる本」略して「胸むし本」に先日久しぶりに出会った。

つかこうへい「飛龍伝」である。  

結構、古い本だけどね。B●●k ●ffで偶然見つけて購入したの。  

かなり前に舞台で見て、非常に感動したので、即買い。  

うぉぉ~!!胸かきむしられるぜ!  

早く読みたいけど、早く読み終わっちゃうのはイヤ!  

「飛龍伝」は安保闘争の話。  

突然、全共闘の総長に選ばれた神林美智子が、恋人桂木のため闘っていくが、機動隊隊長山崎宅への潜入作戦により、次第に山崎へ惹かれていく。 決戦の2.11、神林と山崎は皇居前で激突する……。  

トーリー書いてみたら、なんか泥臭いなあ……。私が嫌いな分野の話かも。  

現実の安保闘争とは全く別のストーリー展開だし、思想とか全然関係ないし、ヒーローのはずの山崎は性格破綻している気もするし、主人公の出自が女中部屋で育った妾の子というN●K朝ドラみたいな使い古された設定だし、はっきりいって、めちゃくちゃだな~と思う部分もかなりある。(すみません、朝ドラにはそういう設定あまり無いですよね……)  

でも、この舞台!舞台がよかったのよ~!  

多分、舞台を見ていない人がこの本を読んだら、なんで「胸むし本」になるのかわからないと思う。  

事実、舞台を見る前に読んだ「幕末純情伝」は「すごい設定」としか思わなかったもんなあ……。  

(「幕末~」は沖田総司が本当は女で、土方さんのために人を斬りまくり、坂本龍馬に惚れられちゃう話です。すごいっす。史実完全無視。)    

この話の主題は「神林の生き様!」。ただそれだけだと思う。  

恋した男たちのためなら命でもかける!  

そして、山崎はそんな神林をすべて受け入れてひたむきに愛する!  

うーん、単純なだけにイイ!舞台だともっとイイ!    

決戦へ向かって、ぐぉ~っと上り詰めていくストーリーと共に、私のテンションも舞台の感動を思い出して鰻登り。まさにハイテンション!  

神林、飛龍をつかめ~!!と号泣だ。  

人間、どうして涙が出ると一緒に鼻水も出るんでしょうね?この生理現象の前に、いつも、綺麗に泣く、ということができない……。やっぱり、女優さんとかは特別な生き物なんだなあ。それとも、目薬?  

さらに、読書中に興奮すると必ずやってしまうヨガポーズで身をよじりまくる私。  

何で、こんな複雑怪奇なことをしてしまうんだろう……?  

体内に興奮度が溜まりすぎて行き場を無くし、その噴出のために、妙なポーズをとってしまうのだろうか?  

ちなみに、片足をつかんで顔辺りまで持ち上げる、というポーズを取ることが多いかも。首の後ろに掛けるというところまではいけない……。体堅いから。  

そんな格好で号泣しつつ読書している私は、どう見ても変だ……。  

でも、自然にやってしまうことなので、止めようがないのさ……。  

「胸むし本」に出会うのが年3回程度でよかったなあ。  

ちなみに舞台では神林=広末涼子、山崎=筧利夫のキャスティングでした。グッジョブ!  同じキャストで「幕末純情伝」も上演してました。  

最近やった石原理美ちゃんの「幕末純情伝」見たかったなあ……。坂本龍馬が元タカラヅカ真琴つばささん。ああ、見たかった……!!