「かわたれの街」勝田文
惨敗しました。年末ジャンボ。
いや、当たりました、300円……。むなしい。
そうよね~。当たらないよね~。
どういう訳だか、年末には、もう当たったような気持ちでいたもんで、「どうして?どうして当たっていないの?」とえらく不思議に感じてしまった。
なんか、勘違いしちゃってたみたい……。
そうよね、当たるわけないわよね。
でも、世の中には当たっている人もいるわけで……。
群ようこ「かもめ食堂」の主人公は「あたしはとても運が良い」という確信の元に、宝くじを当て、ヘルシンキに食堂を出す話だったなあ……。
当てる気満々で宝くじ買って、本当に当たる人なんているのか!?
世の中、そんなうまいこといかないんだよ!
「かもめ食堂」はすごく好きな話だけれど、その点だけは納得いかないわ!
でも、それ以上に納得いかない、というか、恐ろしい本を私は知っている。
大好きな勝田文さんの「かわたれの町」だ。
なんと、この話の中では、宝くじの当たり券を、主人公が燃やしてしまうのだ……!!
ぬおっっぉぉぉ~!(声にならない叫び)
なんて、もったいないことを~!!
とってもダメ男な料理教室教師、穂波先生は夢の中で「イフタフ・ヤー・シムシム」という摩訶不思議な言葉を聞く。
すると、偶然通りかかった宝くじ売り場で、「12組た284646番」の宝くじを発見!その1枚だけ購入!
(ここで、買う前に番号分からんだろう!?という疑問はあるが、多分、ここでそれを突っ込んではいけないのであろう。ついでに、どうして前後賞の券も買っておかなかったのだ!?連番で買えばいいだけじゃないか!)
はたして、それは本当に1等当選!きんこんかんこーん!!
うぉぉぉぉ~!!あり得ね~!!
が、先生に恋する主人公木菜ちゃんは「先生 こんなあぶく銭手にしたら もっとダメになっちゃうよ!」と力強く宣言し、当たりくじを燃やしちゃうのだ!
い~や~ぁぁぁぁ!!
そ、その紙っぺらは、ただの紙っぺらにあらず!
におく!2億の金になる魔法の紙なのよう!
燃やしたらまったくのゼロになっちゃうけどね……。あああああぁぁ。 納得できね~!!
本を読みながら、涙を流してしまった。「感動の涙」じゃないの。「悔し涙」なの。
億の金がぁぁぁぁ……。
だって、一度当たってしまったら、多分、この先二度と当たらないよ。穂波先生。
しかも、夢のお告げまであったのに。
このチャンスを逃してしまったら、もう駄目だね。
でも、だからといって、彼は主人公を責める訳じゃなく、また、だーらだーらと駄目男生活をしていく。(でも、しばらくは惚けたようになっちゃってたが)
いい人だな~。こういうところが彼の魅力なのね。
私なら、駄目だね。恨むね。
恨んで恨み倒して一生を恨むことに費やして死んじゃうんだ。むなしい人生……。
噂では宝くじに高額当選すると、「お金の使い方ガイド」のような冊子をもらえるらしい。
すごいお金で人生を失敗しないように。ありがたいお心遣い。
確かに、彼のようなダメ男は大金を手にしたら、確実に人生失敗するだろうし、(なにしろダメ男なので)
まあ、燃やしちゃってよかったのかもな~。
私も駄目だ……。
大金手にしたら人生失敗するわ。
ストラディヴァリウス買って、お気に入りのヴァイオリニスト侍らせるんだけど、ヴァイオリンだけで当選金使い果たしているので、パトロンするために借金とか……。
やりそう。
だから、今回は当たらなくて良かったのよ。と自分を慰める。
でも、次も買うぞ~!
私は懲りない!
夢は大きく!待ってろ、グリーンジャンボ!
当たったら人生失敗するだろうけれど、夢見ることはやめられないの!
想像力は鳥よりも高く飛べるのよ!