睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「かわたれの街」勝田文

白泉社ジェッツコミックス 580円  

惨敗しました。年末ジャンボ。  

いや、当たりました、300円……。むなしい。  

そうよね~。当たらないよね~。  

どういう訳だか、年末には、もう当たったような気持ちでいたもんで、「どうして?どうして当たっていないの?」とえらく不思議に感じてしまった。  

なんか、勘違いしちゃってたみたい……。  

そうよね、当たるわけないわよね。  

でも、世の中には当たっている人もいるわけで……。  

群ようこかもめ食堂」の主人公は「あたしはとても運が良い」という確信の元に、宝くじを当て、ヘルシンキに食堂を出す話だったなあ……。  

当てる気満々で宝くじ買って、本当に当たる人なんているのか!?  

世の中、そんなうまいこといかないんだよ!  

かもめ食堂」はすごく好きな話だけれど、その点だけは納得いかないわ!    

 

でも、それ以上に納得いかない、というか、恐ろしい本を私は知っている。  

大好きな勝田文さんの「かわたれの町」だ。  

なんと、この話の中では、宝くじの当たり券を、主人公が燃やしてしまうのだ……!!  

ぬおっっぉぉぉ~!(声にならない叫び)  

なんて、もったいないことを~!!

とってもダメ男な料理教室教師、穂波先生は夢の中で「イフタフ・ヤー・シムシム」という摩訶不思議な言葉を聞く。  

すると、偶然通りかかった宝くじ売り場で、「12組た284646番」の宝くじを発見!その1枚だけ購入!  

(ここで、買う前に番号分からんだろう!?という疑問はあるが、多分、ここでそれを突っ込んではいけないのであろう。ついでに、どうして前後賞の券も買っておかなかったのだ!?連番で買えばいいだけじゃないか!)  

はたして、それは本当に1等当選!きんこんかんこーん!!  

うぉぉぉぉ~!!あり得ね~!!  

が、先生に恋する主人公木菜ちゃんは「先生 こんなあぶく銭手にしたら もっとダメになっちゃうよ!」と力強く宣言し、当たりくじを燃やしちゃうのだ!  

い~や~ぁぁぁぁ!!  

そ、その紙っぺらは、ただの紙っぺらにあらず!  

におく!2億の金になる魔法の紙なのよう!  

燃やしたらまったくのゼロになっちゃうけどね……。あああああぁぁ。 納得できね~!!  

本を読みながら、涙を流してしまった。「感動の涙」じゃないの。「悔し涙」なの。  

億の金がぁぁぁぁ……。  

だって、一度当たってしまったら、多分、この先二度と当たらないよ。穂波先生。  

しかも、夢のお告げまであったのに。  

このチャンスを逃してしまったら、もう駄目だね。  

でも、だからといって、彼は主人公を責める訳じゃなく、また、だーらだーらと駄目男生活をしていく。(でも、しばらくは惚けたようになっちゃってたが)  

いい人だな~。こういうところが彼の魅力なのね。  

私なら、駄目だね。恨むね

恨んで恨み倒して一生を恨むことに費やして死んじゃうんだ。むなしい人生……。  

 

噂では宝くじに高額当選すると、「お金の使い方ガイド」のような冊子をもらえるらしい。

すごいお金で人生を失敗しないように。ありがたいお心遣い。  

確かに、彼のようなダメ男は大金を手にしたら、確実に人生失敗するだろうし、(なにしろダメ男なので)

まあ、燃やしちゃってよかったのかもな~。  

私も駄目だ……。

大金手にしたら人生失敗するわ

ストラディヴァリウス買って、お気に入りのヴァイオリニスト侍らせるんだけど、ヴァイオリンだけで当選金使い果たしているので、パトロンするために借金とか……。

やりそう。  

だから、今回は当たらなくて良かったのよ。と自分を慰める。  

でも、次も買うぞ~!

私は懲りない!  

夢は大きく!待ってろ、グリーンジャンボ! 

当たったら人生失敗するだろうけれど、夢見ることはやめられないの!  

想像力は鳥よりも高く飛べるのよ!