睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「蝉しぐれ」藤沢周平

文春文庫 700円  

レストランで一人で食事が出来る女性はカッコイイ!  

と、私はずっと思っていた。なんかデキル感じ。  

女性はなぜだか、一人で外食が出来ない。出来てもせいぜいファーストフードが限界だ、という人が多い。  

一人でご飯を食べるのが寂しい?それとも、周りから寂しそうに見られるのが嫌なのかしら?  

確かに、友だちとか同僚とかとにぎやかにおしゃべりしながら食べる食事は楽しいけれども。一人で食べるのもステキだと思うのよね~。  

私も昔は一人外食に若干の抵抗はあった。でも、現在では平気で一人外食ができる。

一度やってしまえば全然無問題。慣れの問題みたい。  

さらに、一人で舞台を見に行ったりもする。(一人映画ももちろん平気だ)  

舞台なので、当然、えっちらおっちら東京まで一人で出かけていく。片田舎では見たい舞台などやっていないのだ……。たまに劇団四季が来るくらいかしら?  

ちなみに、私の住む北関東は都心に出るのに2時間半くらいかかる。近いような遠いような……。  

友人にそのことを言うと「一人で東京まで行くの……?」と言われるが、慣れてしまえばどうと言うこともない。  

まあ、本当は出来るならば友達と行きたいけどね……。  

私が好きな劇団、結構特殊なところが多いので、あんまり誘えなくてさ……。そして、舞台はチケットが結構お高いので誘いにくい、というのもあって……。  

でも、一人で舞台前にご飯を食べて、舞台見て楽しんで、余韻に浸りながら電車で帰るのも、けっこういいものなのさ。  

のほほんと気楽に優雅な気持ちになれるの。  

 

そんな私が、初めて一人で見た舞台が、宝塚歌劇星組で上演された「若き日の歌は忘れじ」だ。(ちなみに当時の星組トップは紫苑ゆう)  

タイトルは変わっているが、原作は藤沢周平の「蝉しぐれ」だ。  

当時、私はかなりの宝塚ファンで、当時はまだ、高校生だった。(年は計算しないで下さい)  

上演に先立って、原作を読了。(今も昔もやっていることは同じ……)  

なんだか、すごく感動してしまい、どうしても舞台を見ずにはいられなくなってしまったのだ。  

しかし、私はそのころ貧乏な高校生で、友達の宝塚ファンも皆立場は同じ貧乏。ご贔屓のスターさんがいる公演だけを見に行く、という感じだった。  

(ちなみに私は当時雪組の一路さんのファンでした)  

それなので、一緒に行く友達はいない。でも、どうしてもこの舞台は見たい!という双方の気持ちを天秤にかけた結果、一人で舞台を見に行く、という結論に達したのだ。  

うーん、今から考えても、高校生にとっては結構英断だと思うわ~。すごいぞ、自分。    

そんなこんなで出かけて見た舞台は、素晴らしかった。  

一人で見ているので、気兼ねなく号泣できたし。  

現在は中山ヒデちゃんの奥様で、当時の娘役トップスターの白城あやかちゃんが、そりゃーもう良かった。  

清く正しく美しく」の宝塚の娘役さんは、藤沢作品にぴったりだな~と。  

いや~一人でも見に行って良かった!  

 

それ以後、藤沢作品にはまり、かなりの冊数読んだけれど、やはり、ナンバーワンは「蝉しぐれ」だ。  

藤沢世界である「海坂藩」がそのまま現れたかのような、あの舞台の感動がずっと残っている。  

その後のNHKでドラマ化された「蝉しぐれ」は総集編だけ見た。あれもけっこう良かった。  

主人公の文四郎が内野さんで、ちょっとトウがたってるなぁ……とは思ったけれど。    

 

初めての一人観劇が大成功だったので、それ以後、あまり気兼ねなくあちこちの劇場に行くようになった。  

うん。なんか、私の憧れの「一人でレストランに入れるカッコイイ女性」に近づいてきた気がするぞ~。  

しかし、先日友人からもっとすごい人の話を聞いた。  

「ディズニーランドが大好きな人がいて、彼女は暇なとき、パレードを見るためだけに一人でディズニーランドに行くんだって」  

……一人ディズニーランド……。  

究極な気がする……。  

さすがに、それはちょっと……私には出来ないな……。  

まだまだってことか。精進します。