荒船山を歩く~アイちゃん凍える~
11月下旬。急に冷たくなった空気を頬に感じながら、空を見上げた。
そこには抜けるような青空。
葉を落とした枝に霜が白く光っている。
透明で青い空気が空へ続いていて、どこかで凜と音がしそうな気がする。
はっと一つ白い息を吐き出し、足を一歩踏み出すと、霜柱がざくっと大きな音を立てた。
霜はよくわからないですね…。
という感じで、荒船山に登ってきました。
雪で登れなくなっちゃう前に、もう一つ山に登っておきたい!ということで、比較的雪が遅いらしい、G県西部の人気山をチョイス。
登りたかったんだよね~。平野部から眺めると、とにかく目立つので。
一度覚えたら、絶対に見分けられるその山容。まっ平ら。
「荒船山」の名前は、荒波の海を進む船のようであることから、つけられたそうな。ちょっと宇宙戦艦大和を思い起こす感じ。カッコいい。
荒船山登山口の内山峠着がだいたい9時半くらい。
今回の同行はまたもやノムさん。いつも、ありがとう。
荒船山はG県の山だ!と思っていましたが、登山口は長野県佐久市…。また、長野…。
長野すごすぎる…。皇帝だ…。
ちなみに、世界遺産「富岡製糸と絹産業遺産群」を構成する、荒船風穴は内山峠からさらに山奥にあるようです…。看板があった。
内山峠も結構山の中でしたが、さらに奥…。世界遺産の観光客は相当覚悟を決めないと行けないんじゃないかな…。せっかくの観光資源なのに…。このもったいなさがG県らしい…。
ちなみに、風穴はカイコの種(卵)の貯蔵施設だそうです。
夏でもとても涼しいらしいので、行くなら夏!と思っています。来年くらい、行きたいなあ。
内山峠からはだいたい登り。
冒頭に気取って書いてみたとおり、冷え込んでいたので、登山道は霜柱がざっくざく。
童心に返って、たくさん踏んでしまいました。ついつい…。
しかしながら、中央部分は踏み固められていました。登山者がたくさんいる感じ。さすが、人気山。
雪もちょっと降ったのかも。
絶景ポイントの艫岩まではおよそ1時間半の登り道。
途中、いくつか木立が切れて、眺めのいいポイントがあり、浅間山がすごくキレイ!
「浅間山、良い感じに写るかな~」と、ノムさんが、スマホ(i Phone)を構えたところ…悲しい事態が発生。
「アカン、電池切れた…」
ノムさんのi Phone(以下「アイちゃん」)は私のアイちゃんよりも新しいくせに、すぐに充電が切れてしまうらしい。使用頻度が高すぎるせい?
しかも、ノムさん、充電切れに備えていつも所持しているモバイルバッテリーを「車に忘れてきた…」とのこと。
ノン!なんてこった!
「わかった、以後、私が写真係を引き受けた!」
まだまだ充電たっぷりの私のアイちゃんなら、大丈夫なはずだ。どんとこい。
でも、若干心配になり、艫岩が最高の絶景ポイントとのことなので、途中の浅間山写真はあまり撮らずに先に進む。
11時すぎくらいに艫岩到着!
確かに絶景!というか絶壁!
荒船山の船部分の先っちょ。あの宇宙戦艦大和の鼻(?)の部分。タイタニックで「あたし、飛んでる!」をやっていた部分。
あそこに今立っている!
落ちたら死ぬ!
「この先、断崖絶壁 危険 転落死亡事故発生」の看板が恐怖を呼び覚まし、舳先からかなり離れた場所で景色を鑑賞しました。小心者。
(ちなみにクレヨンしんちゃんの作者である臼井氏が滑落したのは、ここではないようです)
たぶん、ココ。
かなり怖かったので、艫岩付近を早々に離れ、お昼ご飯にすることに。
近くの避難小屋で、お湯を沸かして、「カレーメシ」を作ってみました。
これがなんと、うーーまーーいーー!!(味皇さま再来!)
カレーの天才、堺●馬くんも真っ青だ!
冷えた体を内側から暖めるカレーメシ!
立ち上る湯気と吐く白い息が、視界をうっすら歪めて、はふーっと幸せ!
「ノムさん、最高においしいねえ」
「さすが、●清食品!インスタント界の絶対的エース!」
二人で感涙にむせびつつ、カレーメシを味わいました。
回りには同じくお昼を食べている登山者の皆さんがたくさんいましたが、たぶん私たちが一番良いにおいを漂わせていたと思います。
ふふふ、皆さん、きっと次の山行時にはカレーメシを買っちゃうね。
写真をみるだけで、あのときの感動がよみがえってくる!
満ち足りた気持ちで、次なる道を進もうとしたところ、艫岩付近で他の皆さんが記念写真を撮っていることに気づきました。
そうだ。恐怖が勝って、ほとんど写真を撮っていなかったわ!アイちゃんが使えないノムさんの分まで写真を撮らなくては!と思い立ち、再び艫岩へ。
他の皆さんが割と突端までどんどん行っているので、私もつられてずいっと先の方まで行けました。
すっごい絶景!
真っ白浅間がどーんと正面目の前。
のぞき込むように視線を下げれば、山の海。そこを道路が緩やかにカーブを描いている。
見逃さずに突端まで来てよかった!
ヤッホーだ!これは、すごいヤッホーだ!
と興奮して、写真を撮るべくアイちゃんを起動したところ…
画面が真っ黒になりました…
……。
えっ?
以後、うんも、すんも、何にも言いません…。
「ああ~やられたね。ホームボタン(?)と上の電源ボタン(?)を一緒に押してみてごらん」と訳知り顔のノムさんの指示に従ってみると、黒い画面に充電が切れた時の表示が…。
さっき、カレーメシの写真撮っている時は、充電いっぱいあったのに~!!
年中、充電に泣かされているノムさんによると、アイちゃんは寒さに弱く、「疲れたろう…?僕も疲れたよ…。なんだかとても眠いんだ…」(by フランダースの犬)と、突然冬眠してしまうらしい!
アイちゃ~ん!!
じゃあ、北海道の人はどうするの~!!
「人肌だよ。肌に触れさせておくのが一番いいよ」とノムさんは静かな目をして告げました…。悟り…?
そんな、脱走兵に助けられたおしんみたいなことをしないと駄目なの、アイちゃん!!(いちいちネタが古すぎてすみません)
長々と書きましたが、二人ともアイちゃんが眠りについたため、以後、写真が全くありません…。
これが最後の風景…。(艫岩の手前で撮った写真)奥が浅間山。
悲しみを胸に、荒船山の頂上(?)である経塚山へ向けて歩み出したのが、だいたい12時くらい。
ここからは真っ平らな道を2kmくらい歩きます。所要時間はおよそ40分とのこと。
コースタイムが、下界の道とほぼ一緒。本当に真っ平ら。変な山だな~。
冬枯れているので、木の間から長野方面の山がちらちら見えましたが、夏だったら木しか見えないでしょうね。森の小道って感じ。
花咲く森の道~♪くまさんが追ってきそう。←しまった。このたとえは洒落にならなかった。
最後だけちょっと登って、経塚山到着。
すれ違ったご夫婦が「なんともない頂上でしたよ」と言っていましたが、確かに…。
小さな祠があるだけで、眺望無し。(冬だから、ちょっと見えたけど)
一応、1,423m。
少し休憩して、早々に引き返しました。また、平らな道。
2時少し前くらいに、再度、艫岩に到着しました。
一応、電源ボタンを押してみたりしたのですが、アイちゃんは無言…。
もちろん、ノムさんのアイちゃんも無言…。
やっぱり、今日は駄目みたい…。
昼になり、気温も上がってきているのに…。
一度、眠りにつくと、王子様のキス(電源に接続)がないと、目覚めないそうです…。ちっ軟弱者め。
とりあえず、目に焼き付けよう、と目の前の浅間山をじっくり眺めてきました。
富士山っぽくてキレイ。
写真にしたかったよう…(涙)
元来た道をそのまま帰り、内山峠に到着したのは、だいたい3時半くらい。
途中、霜が溶けてぬかるんだ道で滑り、転倒したりしましたが、(ちょっと危なかった…)楽しい登山でした。
車で充電ケーブルにつなぐと私のアイちゃんはすぐに復活。(充電60%以上あった)
ノムさんのアイちゃんもモバイルバッテリーにつながれ復活。(こちらは本当に充電切れ)
帰り道でようやく写真が撮れました。
どーん!角刈りっぽい!
今後は、アイちゃんを懐に抱えて行動しようと思いました。
それにしても、本当に北海道の人はどうしているのだ!?
軟弱アイちゃんを抱え、帰り道に下仁田ネギを買って帰りました。鍋にしたいな~。