睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

犬の本いろいろ

今年は戌年!慶賀新春!

もう一月も末で、完全にタイミングを逃した感があるが、犬が出てくる本ってどんなのがあるかな~とふと思い立った訳であります。

…とは言っても、私は完全な猫派で、猫の本ならいろいろ浮かんでくるが、犬だとイマイチ…。(いや、犬も好きですが)

でも、犬は人類のトモダチ。

古くは日本武尊が道に迷ったときに、道案内をしたなんて話もあり(by日本書紀)、ずっと良き関係を築いてきた。花咲かじいさんにお宝を教えたのも飼い犬だったなあ。ここ掘れわんわん。

犬が関係する本はたくさん読んだ…はず。過去の記憶を振り絞ってみるぜ。

小説、マンガ取り混ぜておおくりします!

 

犬の話というと、ぱっと浮かぶのは「ハチ公物語」とか「犬と私の10の約束」とかの所謂「感動もの」。

そっち方面は私の今までの読書歴では非常に薄いので、1作だけ。(感動もの読むと、ほぼ間違いなく号泣するので…。ちょろい、私)

清水玲子「秘密」2巻。

このマンガは近未来の警察が舞台で、被害者の脳を取り出してその記憶を映像化するMRIスキャンという方法で犯人を特定する捜査が行われる。SF!(だが、そもそもは作者が少女時代に、目に焼き付けた好きな男子の画像をプリントして眺めたい!という願望からきているそうな…)

連続殺人事件の被害者の少年の脳をスキャンしようとしたところ、その少年は全盲であったことがわかり、捜査不能かと思われる。しかし、一緒に被害にあったその飼い犬の脳の映像化が犯人逮捕の決め手になる。

ラスト数ページの、犬(名前はZIP)の記憶映像が、この話の真骨頂。

「総てが やさしさと 愛情に みちあふれていたので 本当に こんなに 世界が美しいのなら 本当に こんなに 世界が愛にあふれているのなら」

このモノローグに清水玲子端麗な絵がきらきらとあふれていて、犯人の倖せでは無い過去との対比が悲しい

ちょろい私はヤラレてしまったよ…。号泣。

 

「感動もの」ではなくても、犬が家族の重要な一員である作品はたくさんある。

宮本輝彗星物語ハンガリーからの留学生を迎える城田家のお話。城田家の一員にはぐうたらビーグル犬のフックがいる。

フックはとにかく争いごとが嫌いで、何かと起こるいざこざを仲裁する重要な役目を担っているのだ。家族が多いとこいう存在は絶対に必要だよね。子はかすがい、じゃなくて犬はかすがい、かしら?

…ずいぶん前に読んだので、これを期にざっと読み返そうと思って、本棚をあさったところ、まさかの未所持…。おおぅ…!!今までずっと持っていると思ってた…。多分、図書館で借りて読んだらしい。

…これを期に買って読もう…。

 

藤井旭「星になったチロ」は子どもの頃に読んだ本。

家族どころか、天文台長さんになった犬のお話。某携帯電話会社のCMを見ると、ちょっとチロを思い出す…。(チロは白い犬なのです)

 

犬は大事な家族の一員で、人間との堅い信頼関係に結ばれているのは間違いないが、「犬は裏切らない」というのは間違いである!!犬も裏切るらしいよ!

佐々木倫子動物のお医者さん」4巻で、「動物は外見で人を決めつけたりしないし、裏切ったりしない」という小林くん(チャラい外見の獣医学部新入生)に対し、菱沼さん(ヘンな院生:登場人物紹介そのまま)は「裏切るわよ」ときっぱりと宣い、「私が成人式でキモノを着たとき 源三(飼い犬)はこわがって 犬小屋からでてきませんでした」というエピソードを紹介するのだった…。結構リアル…。せっかくおめかししたのにね、菱沼さん…。

菱沼さんと源三のエピソードは他にもあって面白いが、このマンガはなんと言ってもハムテル(主人公)とチョビ(笑顔がかわいいシベリアンハスキー。女の子。:登場人物紹介そのまま)である!

こんな風に動物と暮らせたらいいよね。大学だけでなく、バイト先にも研修先にもチョビを連れて行くハムテル…。いつでも一緒、どこでも一緒。

未だに謎なのだが、本当にH大学獣医学部の構内には、あんなに動物がふらふらしているのだろうか…??

 

犬は家族を超えて、時には恋人にも昇格する。

三浦しをん「春太の毎日」(「きみはポラリス」収録)は一緒に住んでいる麻子さんを熱烈に愛している「俺」の毎日を描いた作品だ。

作中、「俺」の正体(?)についてはっきり書かれていないが、金色の毛がツヤツヤした犬である。たぶん。

とにかく大事な麻子さんのために孤軍奮闘する毎日。ちゃんと会話しているのに、麻子さんにイマイチ伝わってない(何しろ犬なので…)ところなんて、その姿が目に浮かぶよう。かわいいな~春太!報われないのね…。イイヤツなのに。

 

こういう犬の一途で愛嬌があるところが、外で頑張ってる女性には最高の癒やしになるのね~。

小川彌生きみはペットは、バリキャリ女性(新聞社勤務)の主人公すみれちゃんが、年下の男の子を拾って飼うお話。…と書くと、なんかヤバいな。

拾った男の子が、昔飼っていた犬「モモ」に似ている、という理由で、「モモ」と名付けて本当にただ癒やしのペットとして一緒に暮らす。(ちなみに途中で本名(ジャイアンの本名と同じ)が出てくるが、それでも徹底して「モモ」と呼んでいる)

いいなあ、すみれちゃん。辛い仕事の後でも、おうちに帰ればモモちゃんが待っててくれるんだよね~。

着ぐるみの体験取材の後に、帰宅してモモちゃんの前で思わず泣いちゃう話があるけど、あれはもらい泣きしたな~。

ドラマも好きでした。もう、だいぶ前になるけど。

うちの近くにもモモちゃん、落ちてないかなあ…。

 

ここまで書いてきて、犬の魅力って、その素直な愛情表現にあるのかもしれない、と思った。

わんわんわん!(おかえり!帰ってきてくれて嬉しい!!待ってたホイ!)

って歓迎されると嬉しいよね。

…それ、大事だなあ…。見習おう。(今更?)

犬に教わることも多いな…。

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 寒くてヒーターから離れない我が家のトリ。

サヨナラ、酉年…。(今更?)

  

 

彗星物語 (文春文庫)

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星になったチロ―犬の天文台長 (ポプラポケット文庫)

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動物のお医者さん (4) (花とゆめCOMICS)

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きみはポラリス (新潮文庫)

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