「玄椿」河惣益巳/「林檎でダイエット」佐々木倫子
暖かい日がだんだんと増えて、春の近さを感じるこの頃、私は椿に夢中である。
今、黒侘助が咲いてるの〜
ラブ‼︎
赤と山吹色と緑の配色がパーフェクト‼︎
そもそも私が椿に興味を持ったのはかなり昔。
佐々木倫子「林檎でダイエット」に収録されている「椿館」というお話で主人公の一人雁子ちゃんが椿に夢中になっていたからだ。(1988年初版。古い!)
雁子ちゃんが狙っていた椿は幻の黄色い椿「金花茶」。お値段38,000円!
高っ!!
王将の餃子、190人前食べられるじゃないか!!(私は学生の頃、王将に行くといつも餃子2人前だけ頼んでいました。安くておいしくてサイコー)
この衝撃の値段がものすごいインパクトで「金花茶」はすごい花!とすり込まれてしまい、いつか、その金花茶とやらを見てみたいものだなぁ、と思ってしまったのだ。
黄色い椿…どんな花なんだろう?
多分、当時は青いバラみたいに「黄色い椿」はとにかく希少な椿だったのでしょう。
数年前、「春の園芸カタログ」みたいなものを見ていて気づいたよ。
…現在では金花茶はゼロ一つとったくらいの値段で買える…。(もっと安いかも)
人気のある品種はあっという間に広がるんだなあ…。年月は残酷。
そんな椿へのぼんやりしたあこがれだけを抱いていた昨年、何の気なしにホームセンターの園芸コーナに立ち寄ったところ、たまたま椿の大特集中。
…これは…!運命のいたずらか、出会ってしまったからには我が家に連れ帰るほかあるまい!
心を決めて、椿コーナにしゃがみ込み、黙々と品定め。
あまりにも種類が多すぎて迷うな〜と困っていたところ、後方から「椿、お好きですか?」と声が…
振り返ると、見知らぬおじさまが微笑みをたたえて立っていた。アルカイック。
(少女マンガによくある?出会いのシーンのようでした…。おじさまでしたが…)
「…はい。椿買おうかなと思ってるんですけど…」と若干引きながら私が答えると、「私も好きなんです!」と笑顔全開のおじさま。
そこからしばしおじさまと「やっぱ、綺麗ですよね〜」「家にたくさんあるんですけどね〜。見ると買っちゃうんですよね〜」とかの熱の入った椿トーク炸裂。
愛だ…。愛にあふれている…!!
椿愛好家の方ってたくさんいるらしいと聞いていたけど、こんな身近にいるもんなんだな~。ちょっと感動。
お話を聞いて勉強させてもらった結果、おじさまのオススメの品種ということで購入したのが出雲大社ヤブツバキ。
青空にも映える赤い椿。
椿は昔から愛好家が多く、バラに負けず劣らずたくさんの園芸品種がある。
なんと言っても「茶花の女王」。
お茶席に飾る花として、特に江戸期あたりから様々な品種が作られてきた。各寺院がそれぞれの庭に植えたので、そのお寺の名前のついた品種が多いみたい。
(調べてないけど)うちの出雲大社ヤブツバキも出雲大社に植えられていた椿なんでしょうな~。
椿の品種といえば、もうひとつ浮かぶマンガは河惣益巳「玄椿」である。
このマンガは京都の花街、祗園甲部の芸妓さんの世界を描いたもの。主人公の胡蝶は作者の理想の女性像を投影したと思われる妖しく美しい芸妓さんだ。
その胡蝶をとりまく数多のいいオトコたち。
京の花街という独特な世界でひときわ輝く胡蝶の舞。
河惣ワールド全開!濃いです!
この話の舞台となる屋形(と茶屋も兼ねている)「清白屋」のおかかえ芸舞妓の名前の付け方は独特で、椿の品種名からつけているのだ。(通常は姉さん芸妓から1字もらう)
美しいけれど 決して その美しさに驕らず 確かな存在感 そんな妓にと 願いを込めて…
と作中ではモノローグで語られる。
主人公胡蝶は「胡蝶侘助」
その母、相模は「相模侘助」
胡蝶の夫である恵慈の母、英勝は「英勝寺侘助」
先代女将の天倫は「天倫字月光」
妹舞妓の太郎は「太郎冠者」
他、妹舞妓の唐糸、妙蓮(たえすず)、薫風(くるかぜ)はそれぞれ「唐糸」「紅妙蓮寺」、「薫風」
また、ハーフの舞妓ちゃん「沙羅」は沙羅双樹の別名が「夏椿」であることから名付けられた。
カッコいい!粋!
椿、イイ!!
名前だけだと一番気になるのは「天倫寺月光」だな~。
登場人物として一番好きなのは太郎ちゃんなので「太郎冠者」もいいな。(作中では「かわいい桃色やろ?」と紹介されている)
現在、うちには赤い椿と白い椿があるので、来年はピンク系の太郎冠者買っちゃおうかな~。でも、初心に返って金花茶もいいな。
うふふ。次の買い物のことを考えると楽しいな~♪
しかしながら、夢は尽きないけれど、スペースは尽きる…。
「椿館」で雁子ちゃんが椿を置くスペースが無くなって悲しんでいたけど、それと同じ悩みを私も抱えている…。
置く場所無い…。地植えすればいいのかも。
夢は玄椿のフルメンバー!目指せ、椿館!
…無理じゃないかしら?冷静になって、私!
余談ですが、このブログを書くにあたって、玄椿全12巻を探したのですが、とにかく見つからなかった…!
物置の奥まで探してようやく発見したのはおよそ1時間後…。疲れた…。
しかも発見したのは、割と見つかりやすい場所。ここには無いと思い込むと見えないもんですね…。思い込みって怖いわ。