睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「海がきこえる」氷室冴子

先日、友人のマーサと好きなジブリ作品は何か、という話題で盛り上がった。

私のベスト3を発表しよう!ぱんぱかぱーん

 

1 天空の城ラピュタ

2 海がきこえる

3 雲のように風のように

私は熱心なジブリファンではなく、見ていない作品も多いため、あくまで私個人のランキングだということを付け足しておく。

 

自分で言うのもなんだけど、渋いランキングだ…。

2位と3位、映画じゃないし…。

(というか、このブログを書く前に調べたら、「雲のように風のように」はジブリ作品ですらなかった…。近藤勝也さんがキャラクターデザインしてたから…。勘違いも甚だしいが、ランキングした時の自分を尊重して、強気に修正しない。ちなみに繰り上げるとしたら「千と千尋の神隠し」)

 

ちなみにマーサのベスト3は以下の通りだ。

1 風の谷のナウシカ

2 思ひ出ぽろぽろ

3 耳をすませば

 

マーサも割と渋いな…。

ちなみに、マーサは「女の子が主人公の作品が好き」だそうだ。なるほど。

でも、二人とも、1位は一応、超弩級メジャー作品持って来るあたり、性格似ているのかも…。

 

渋さの極み(かもしれない)「海がきこえるを私は2位にランクイン!

この作品、なんかイイ。私は、すごく好きだった。

映画ではない。テレビのスペシャルアニメだった。(日本テレビ開局40周年記念番組だったらしい)しかも、夕方4時からという、非常に見にくい時間に放送された。当時、夕方は学校帰りの子ども向けアニメが放送される時間帯だったからだろう。多分。

当時、リアルタイムで見られる年齢でよかったな~。ラッキーだった、私。

見終わった後、ずっと頭のどこかにこの作品が残っていて、しばらく後に原作を読み、猛烈に好きになった。思い返せば、私が氷室冴子を特別視するようになったのはこの作品からかもしれない。(集英社さん!前から言っていますが、氷室冴子全集の刊行を是非ともお願いします!)

 

実は、アニメは当時の放送しか見ていないので、もう今となっては、大分あやふや…。主人公拓が風呂場で寝るシーンが狭そうだったな…というあたりが鮮明に画像として残っているくらいだ。(それでもジブリベスト2に入れるぞ、私は!

これを機に見返してみようと思ったら…ネット上ではジブリ作品見られないのね…。(もちろん、お金払うつもりで検索しました!)DVD借りてくるまでの情熱は私には無かった…。

ので、原作を本棚の奥から引っ張り出して再読した。やっぱりイイ!以下、アニメの話題、ほとんど無しです。

 

舞台は高知県の高校。

東京からやってきた転校生武藤里伽子と地元の高校生である主人公杜崎拓の恋を描く青春小説だ。大学に進学した後、高校時代を思い出すという回顧スタイルで描かれている。(原作は東京の大学に進学した後の話もあるが、アニメはほぼ高校時代のみ)

内容をさらっと書くと、ちっとも読みたい気がしないな…。都会からの転校生の題材って昔から使い古されてる気もするし。(「風の又三郎」とか「ズッコケ㊙大作戦」←オススメ とか)

でも、この都会からの転校生、里伽子がイイのだ。

高知弁を馬鹿にしたり、行事に参加しなかったりで、田舎の女子高生の視点で見ると、お高くとまって、すごく感じの悪い転校生。でも、成績優秀、スポーツ万能で、田舎に混じらない態度が、田舎の男子高生の視点で見ると、目立って惹かれる存在になる。何より、美人だし。

拓も里伽子が授業でテニスをしているところを「カッコえいなぁ」と、他のクラスの男子達と眺めている。

ちぇっ、田舎の男子高生って馬鹿だな、と田舎の女子高生だった私は思う。あの子は、美人だけど、自己チューで性格悪いよ!(と言う方が性格悪いか…)

 

里伽子は両親の離婚によって、地方の高知に転校することになるが、本人はずっと東京に戻りたいと思っている。だから、高知に混じろうとしないし、高知が嫌い。

そういう態度の転校生を、地元の高校生はやっぱり受け入れない。だって、地元の高校生はなんだかんだ言って、地元を愛しているから。私もG県をプライドを持って愛してるから、里伽子が転校してきたら嫌いになるだろうな…

でも、東京の父親に会いに行って、そこに里伽子の居場所が無い(父親はすでに他の女性と一緒に住んでいた)と知った後の、拓のモノローグがすごくイイと思った。

 

里伽子が高知に戻ったら、いろんなところに連れて行ってやろう。

高知にもいいところはいっぱいある。

(中略)

ぼくの部屋からみえる浦戸湾や、そこをよぎる色とりどりのヨットや、手結やーー。

夏になれば四万十川のキャンプ場に、仲のいいやつらと行くんだけど、里伽子も小浜祐実と一緒に、誘っちゃろう。

(中略)

里伽子は都会の子だから、きっとおもしろいと思うだろう。

そうやって、ぼくらと楽しめばいいんだ。

 

そうだよ。

一緒に楽しめばいいのに。

田舎の女子高生だった私の気持ちそのまま!

東京もいいかもしれないけど、今、あなた住んでいる街を受け入れて、そこの良いところも楽しんで欲しい!

再読中に泣いたよ、この部分!里伽子の不幸についてじゃなくて、地方の高校生である拓の気持ちに共感して。私も、里伽子を地元の良いところ(……利根川とっさに浮かぶイイところが、それなのか、G県東部…)に連れて行ってあげたい。

でも、それができないからこそ、里伽子なんだな。

昔、萩尾望都先生が「美少年は不幸じゃないと!」と仰っていたが、美少女も不幸じゃないとね…。

 

それにしても、高知県イイなあ…。

タイトルにもあるとおり、海がきこえる」場所なのか…。

拓の家は高台にあり、家から土佐湾が綺麗に見渡せ、その海を見ると「あー、帰ってきたな」と思う、というのだ。

海見て、故郷を実感するのか~。

私でいうところのソウルマウンテン赤城山土佐湾なんだな。深Q!日本人はみんな「ふるさとの山」を持ってるって言ってたけど、海の人もいるみたいですよ!

 

 

海の無いGで生まれ育った私には、海のある生活というものがどんなもんだか全く想像できない。

ただし、G県民の海に対するあこがれは強く、たとえ一人で電車に乗っていたとしても、車窓に海が見えれば「あっ海だ」とつぶやいてしまう。海を見たら、その発見をいつ何時でも声に出して確認する。これはG県民あるあるだ。

G県を愛しているとさっき豪語した私も、「海」を出されると、もう頭を下げるよりない。(「心から尊敬の念を感じたときは、自然に頭が下がるのだ」(by十二国記))

 

 

海がきこえる」場所、高知県

すごくいい、キャッチフレーズじゃないか。ただひたすら、あこがれる。

坂本龍馬長宗我部元親もイイと思うけど、私の中の高知県のイメージはもう「海がきこえる」だ。

まだ、行ったことないので、是非とも本を片手に行きたいぞ!そして、鰹とか食べたいな!

 

最後に、文中に一度も書きませんでしたが、私は拓の親友の松野くんが好きです!(告白)

 

海がきこえる (徳間文庫)

海がきこえる (徳間文庫)

 

  

海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

 

 

以前、こんなものも書きました。 

suishian.hatenadiary.jp