睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

矢木沢ダム 恒例の放流祭り2019

5月のゴールデンウイーク明け。今年もあの季節がやってきた。

年に一度の矢木沢ダムの点検放流である。

毎年、人気がウナギ登り。

このSNS時代、良い情報はあっという間に拡散されてしまう。「穴場」「隠れた人気」なんて言葉は、すぐに意味をなさなくなる。

当たり前といえば、当たり前なのだが、いいものは人気が出るのだ。情報化社会の深化はすごい。

先日、私が最高の穴場として大事にしている果物直売農家さんには「商品が無くなっちゃうので、SNSにはあげないでください」と言われたくらいだ。なかなか、この塩梅は難しい。

 

さて、点検放流である。

そもそも、観光目的では全くなく、単なる点検目的の放流だったのだが、すでに、町をあげての祭り、フェスティバルになっている気がする。

かつてのように「今年は貯水量が少ないから、やらない」という選択肢は許されないのではないだろうか。そんなことしたら、町長が水●源機構に「そこをなんとか…!」と直談判しに行きそうだ。

そのくらい、急成長の勢いを感じる。

 

昨年と同じメンバーのジェイ氏とでんさんのダム仲間3人で見物に出掛ける。

今年は前日に奈良俣ダム藤原ダムの放流があり、堤体内見学もあったようで、大変興味を惹かれたが、都合で矢木沢ダムのみの見学。

まあ、来年にとっておいたと思おう。このイベントは私の中で、毎年行くものとして、しっかり心のスケジュール帳に書き留められている。

 

ダムへ向かう道は、昨年はガラガラで不安を覚えたほどだったが、今年はそこそこの交通量があり、「みんな、放流祭りに向かってるに違いない。大丈夫だ」と、強く安心できた。

昨年より早く出発したのに、今年は遠めの駐車場を指定され、見物客の増加を実感する。しかし、主催側(観光協会とかの人?)も手際が良くなっているのか、シャトルバスがどんどんやってきて、すぐにダムに向かって出発できた。満員ぎゅうぎゅう詰めだったが…。普段、電車の通勤ラッシュなど、ほとんど経験しない、田舎者のG県民には辛い。都会のサラリーマンって大変だなぁ。

30分弱でダムに到着。今年も地元企業の出店が大人数の客を迎えている。

バスから吐き出された見物客は、わらわらとダムに向かう。

見物客の顔触れを眺めていると、自分たちも含めて、関係性のよくわからない、いい大人のグループが多く、どことなくマニア臭を感じる。

うむ。放流そのものは子どもも大満足のファミリー向けイベントの内容になりうると思うが、集うのはこのメンツ…。

まだまだ、集客拡大の余白はある。でも、そうすると、私も含めたマニア臭ただようメンバーは隅っこに追いやられてしまうのだろう。

ちょっと寂しいので、もうちょっとだけ、私たちにメインの大通りを歩かせていただきたいものだなぁ…と、感慨に耽る。あと3年はいけるかな。

 

ダム到着時点で、放流開始の10分前くらいになっており、すぐに、吐出口にスタンバイする。

結構余裕がない。来年はもっと早く出ないとダメかもしれない。SNSめ…

放流開始5分前のサイレンが鳴り響き、あたりは緊張感が漲る。

カメラや動画撮影のタブレットを構える人々。

そんな中、ごー、というかすかな唸りとともに、吐出口から水が流れ出る。

おーっという歓声とともに自然と拍手が湧き起こる。

しかし、歓声はすぐに「汚ねー」というつぶやきがあたりを満たす。ざわ…ざわ…。(byカイジ)

1年間、水を流していないので、放水路にたまった土やらなんらやが流されてきて、最初は驚くほど真っ黒な水が流れてくるのだ。すぐに白い水に変わるけど。

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ややキレイになって来た頃。まだ水はちょろちょろだ。

ここから、放流は段階的に量を増やしていき、およそ30分後にマックス水量になる。

今年は余裕をかまして、この30分間に出店ソーンに舞い戻り、ベンチで雪イチゴ(凍らせたイチゴをかき氷状にして練乳をかけたもの。美味)をしゃりしゃりといただいた。

何しろ、私はもう4回目なので、タイムスケジュールは把握済みなのだ。優雅。

 

氷イチゴを食べたしり、新元号の額とダムガード枠で写真を撮ったりして遊んでいると、30分はあっという間。

大迫力のマックス水量に備えて、吐き出し口付近に再び移動する。

すると、妙に人だかりが薄くなっている箇所がある。どうして人が少ないのかな、と思いつつ進むと、その理由はすぐに判明した。

しぶきが凄すぎる!

雨、それも土砂降りクラスにしぶきがふりそそいでいる

私は4回目だが、今年が一番激しかったと思う。

上だけカッパを着ていたが、その日はいていたジーンズはすぐにびしょびしょ。

「この部分はスプラッシュゾーンだ!突破しよう!」というジェイ氏のかけ声の下、吐き出し口のさらに近くに進むと、若干、しぶきは弱まった。

「去年よりも今年は激しいのか!?」「風向きかな?」とびしょびしょのハイテンションで語り合う。なんか、楽しい。

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谷川連峰が背景に。なだれ注意の看板がチャームポイントだ。

轟音と共に吐き出される水に、さらにテンションが上がり、他の見物人の皆さん同様、写真を撮りまくる。

なんだか、立派な撮影機材を構えている方もいたので「今流行の(?)ユーチューバーかなあ」などと思っていたのだが、どうだろう?よくわからないけど、生配信とかしている人もいそうだ。

やっぱり、何度見てもこの放流はすごい迫力。人間の原始的な部分の何かが刺激される気がする。血湧き肉躍る。

 

マックス水量の時間は約10分。

ここが終了すると、すぐに放流は終結に向かう。

水量が減ってきたのを確認すると、我々はすぐに帰路のバス列に並ぶことを選択した。

昨年、放流を最後までしっかり見届けた後で、バス列に並んだところ、えらいこっちゃの大行列で悟りの境地にまで達するほどだったからだ。教訓をいかして、今年は早いうちに切り上げる!

すると、かなり短いバス列に並ぶことが出き、だいたい15分くらいで駐車場に向けて出発。すごい。失敗から学ぶことが出来ている。またぎゅうぎゅうの満員バスだったが…。

 

車に戻り、せっかくなので「ダム界の女王奈良俣ダムへ寄り、ダムカレーを食すことにする。当然、奈良俣なので、ロックフィル式だ。ちなみに、カレー的には、形状から「大盛り」らしい。

売り切れの日が多いのだが、この日はギリギリ滑り込みで食べられた。ラッキー。

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福神漬けで放流を表現。

 奈良俣ダムに寄ったのには、実はもう一つ訳があった。

矢木沢ダムの放流で雪イチゴを食べていた時に、後ろのテントでの聞き捨てならない会話を聞いてしまったのだ。

コンプリートカードはこちらですよ~」

…コンプリートカード…。何それ!?

即座に詳細を確かめにテントに走るジェイ氏。ダムカードに掛ける情熱は私の数倍から数十倍だ。

ジェイ氏の収集してきた情報によると「矢木沢、奈良俣、草木、下久保の4ダムのG県オリジナルカードを集めると、もう一枚のコンプリートカードが貰えるらしい」のだ。

国交省のカードはすでに全部持っているが、それではダメらしい…。G県オリジナルカードをまた集めないと…」と肩を落とすジェイ氏。

G県、流行に乗って、そんなことを始めたのか…。そつが無いな!

何か、踊らされている感があるが、仕方が無い。挑戦されれば受けて立つ。

率先して踊らせていただこうではないか。

とりあえず、手近なところを押さえておこう、ということで奈良俣に寄ったのだ。

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G県オリジナルカード。写真、多分ドローンで撮ってる。

ついでに、この時期は天皇在位30周年記念ダムカードも配布していた。(5月いっぱい)

通常のダムカードの枠が、特別仕様の色味になっているのだ。

こちらも欲しくて、ついでに藤原ダムにも寄った。

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枠が特別仕様。

枠は4種類あって、矢木沢が「お召し列車」、奈良俣が「宝物」、藤原が「帛」。

もう一つの「黄櫨染」が入手できていないのだ…。個人的には、一番、この黄櫨染が欲しかったのだが、寄ったダムのデザインには無かったのだ。悔しい。

G県オリジナルカードのある草木ダムがこのデザインらしいので、どうにかして5月中に入手したい…。無理かな…。

「せっかくだから集めたい」という気持ちはどうにも抑えがたい。身のうちに、コレクター魂を持っていると、いろいろ苦労する…。

ダムカードはゆるーく集めているだけだったのに…。

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奈良俣ダム湖の景色。右の山は至仏山らしい。