百均メスティンの実力〜山の持ち物 その2〜
山へ行きたしと思へども 山はあまりにも遠し(気持ち的に)
我がG県の詩人、朔太郎は新しい背広できままな旅に出ることにしたらしいが、私は新しい山の道具できままなご飯を作ってみることにする。
新しい山の道具とは、話題の百均メスティンである。
私は今までメスティンを持っていなかった。
山でご飯を作る時はコッヘルか山フライパンを使っていて、十分満足していたからだ。特に山フライパンはパスタを茹でる時もギョーザを焼く時にもバッチリ対応できて、君さえいれば他には何もいらない、とありふれたJポップの歌詞のようなことを思っていた。(サイズが大きいのが難点)
しかし、世間のキャンプブームに後押しされて、百均各店がキャンプ道具を大量発売。
100円のものなんて、とはじめは侮っていたが、これがどうして、なかなかの品揃えである。
何より値段が手頃すぎるので、ま、使わなくても買っとけばいいか、とついつい購入してしまうのだ。
百均メスティン(百均だけど500円。商標に偽りあり)も、ついつい購入してはみたものの、未だ使ったことがなく、その実力は未知数である。
先日のキャンプでジェイ氏が使っていたので、ご飯を炊く手順はわかっているつもりだ。
この機会に一度試してみようではないか。これで、ええやん、と思えば、今後山道具のスタメンになるかもしれない。
まず、お米(目分量で0.7合くらい)を研いで、水に浸しておく。
その間、私はしっかり入浴。
今回は自宅で行ったので、普通にボールを使ったが、山に行くなら、ナルゲンボトルやジップ●ックなどに、水に入れた状態で持って行くといいらしい。
風呂上がりに、しっかり水を吸ったお米を百均メスティンに移す。通常のメスティンより小さいサイズなので、この量でちょうど良い感じだ。
白米でも良いのだが、今回は私のレモンサワー夜会(毎週金曜日に開催。一人で…)のおつまみにしたかったので、缶詰の焼き鳥とベビーチーズを一緒に炊き込むことにする。
二品ともつまみの王道である。多分、おいしくなるに違いない。
これをポケットストーブ(こちらもついついホームセンターで購入)にセットして、固形燃料の火で炊いていく。
ポケットストーブはガスバーナーよりも小型で軽いので、これでいろいろ事足りるなら、山に持って行くのもいいかもしれない。
室内で火を付けることにかなり抵抗はあったが、旅館の料理には定番で出てくるではないか、と自分に言い聞かせ、床に直置きで点火する。(板は敷いた)
ちなみに、この季節だが窓は全開にした。換気扇がない部屋なので。
固形燃料のオレンジの火が勢いよく百均メスティンの底に当たる様子を見つめながら、私は髪をドライヤーで乾かすことにする。ドライヤーの熱で窓全開の部屋でも暖かい。これは一石二鳥だ(?)
髪がしっかり乾いても、固形燃料の火は消える様子はない。
百均メスティンからは期待を高めるように、白い湯気と良い匂いが漂ってきている。多分、良い感じに炊けているに違いない。
わくわくしながら、百均メスティンを見つめ続けるが、火はずっと燃え続けているので、待ちきれず、レモンサワーをお先に頂くことにする。
酔っ払った状態で炊きあがったご飯を扱うと、何か粗相をするかもしれないので、ゆっくりペースでちびちび飲むことにする。
ご飯を食べていない空腹にアルコールが染みる。ゆっくりペースだけど、酔いが手足にまわり、火がついているものをうっかり倒したりして、火事になってしまったらどうしよう。
変なところだけ心配性なので、火がついている百均メスティンのそばには寄らないようにし、遠くからしっかり監視しながら、一人レモンサワーをちびちびやる。
そんなに心配なら、火が消えてから飲み始めればいいのに、と今は思うのだが、その時はもう待ちきれなかったのだ。猫まっしぐらのモ●プチ(今はちゅ~●かもしれない)みたいな感じだ。
火を付けてから、約30分。ようやく火が消えた。
中がどうなっているのかわからないが、多分、おいしく炊きあがったはずだ。
ここから、タオル(私は手ぬぐいを使った)にくるんで蒸らしに入る。
「はじめちょろちょろ 中パッパッ 赤子泣いてもふたとるな」は昔から言われているお米の炊き方である。
別に蓋をとったらおいしく炊けないわけではないことは知っているが、自分の中に「蓋を取らずにしっかり蒸らした方がおいしくなる」という刷り込みがあって、今回も蓋を取らずに、ひたすらじっと蒸らし終わるのを待つ。もちろん、その間、レモンサワーは進んでいる。
約15分の蒸らし時間を経て、ついに蓋をとる瞬間がやってきた。
どきどきする。多分、おいしくできていると思うが、ものすごく水状態だったらどうしよう、との不安もよぎる。そういえば、水加減は目分量のテキトーだった…。
祈るような気持ちで蓋を取る。
これは…!!
とても美味しそうに炊けている、と思う。
水加減は適当だったにもかかわらず、とても良い感じの炊きあがりだ。ふっくら、良いあんばい。
具を混ぜると、焼き鳥のたれがご飯に染みていて、うっすら茶色の混ぜご飯に出来上がっている。
お味も見た目どおり、美味しい。
これはイケる。
レモンサワーにもばっちり合う。この時点で1本目は飲み終わったので、自然と2本目のプルタブをプシュッといってしまった。
おいしいよー、と心の中で叫びながら、ご飯を黙々と食べる。
これを山で食べたら、多分もっと感動的に美味しいだろう。
だけど、結論から言って、私は百均メスティンを山へは持って行かないと思う。持って行ったとしても、ご飯は炊かない。
なぜならば、時間がかかるのだ。
最初のお米に水を吸わせる時間は省略できるとしても、火を付けてから消えるまで30分。蒸らしに15分。都合、食べるまでに45分もかかるのだ。
そんなに待ってられないよー。
待っている間に、一山登れちゃうよー(これは嘘)
日帰り登山だと、やはりバーナーでさっとお湯を沸かして煮込むラーメンとかが「うまい、安い、はやい」(by吉●屋)で最適である。
山ごはんの本もいろいろ出たりしているが、山でご飯を食べている人の7割くらい(私の主観)がラーメンを食べているのは、そういうことなんだと思う。ちなみに、残りの2割はおにぎり(またはパン)で、1割がパスタ他である。
百均メスティンはおいしくご飯が炊ける事がわかったので、テント泊の時とか、やっぱりキャンプの時とかに活躍してもらうことにする。
一人分のご飯を炊くにはちょうどいい量である。あと、目玉焼き(卵2個のホンモノの目玉焼き)を作るにもぴったりな大きさのような気がする。
目玉焼きは今後のレモンサワー夜会で作ってみようかと思う。
もしかすると、百均メスティンは、テント泊とかキャンプの時よりもレモンサワー夜会での活動がメインになってしまうのかもしれない。それもいいか。
オマケで、私の山道具(レギュラー)の中に百均商品がいくつかあったので紹介する。
不思議と食事関連のものばかりだった。
二重ステンレスになっていてお湯など冷めにくい。
私はザックにぶら下げて山に行っている。何かの本でシェラカップをぶら下げたザックの写真をみて「カッコいい」と思ったので、真似しているのだ。
取っ手がカラビナになっているので、ちょっとしたヒモ(登山用ザックにはちょっとしたヒモが割とある)に簡単に取り付けられる。
尾瀬の弥四郎小屋前の清水なんかを飲むときに、さっと使えたりして非常に重宝している。
折りたたみ式ナイフは常に持って行っている。
切れ味は悪いが、ちょっとした包装のビニールを切ったりする時などにも活躍する。
でも、本当のメインの使い方は、まな板とセットで、りんごを剥くときだ。
私はりんごが大好きなので、秋の登山時はかなりの頻度で山にりんごを持って行く。実はそのために買ったのだ。
たためると小さくなって、刃も安全なので非常に良い買い物をしたと思っている。
ちなみに、これを磨ぐための砥石も百均で購入した。
まな板はりんご用。
軽くて小さいまな板はむしろ百均でしか売っていないかも。
ザックの内側にあるハイドレーションの水を入れるところにぴったり入る。
ライターは何の気なしに購入したが、これ以上に山に最適な100円ライターはないと思っている。
火口がチャッ●マン式のものは他にもあるが、これは火の大きさを調整するレバー(+と-の間を動かすヤツ)がついているので、使うとき以外は「-」にしておけば、何かの拍子にうっかり火がついてしまうことがないのだ。
購入店以外の百均のライターコーナーで、レバー付きのものを見たことがないので、運がよかったなあ、と思っている。ビギナーズラック?
ちなみに、主な使用用途はバーナーの着火だ。イグナイターはついているが、調子が悪いとつかないので…。
他にもたまに持って行くスキレット(ものすごく重い)や、木の匙(今回作った混ぜご飯を食べるときにも使っている)や、クッキングシート、ファスナー付きビニール袋(ジップ●ックではない)とか、百均商品にはかなりお世話になっている。
多分、これからもずっとお世話になり続けると思う。本当にありがたいお店である。
願わくば、ちょっとごわっとした昔ながらのトイレットペーパーを売って欲しい。
汚れたコッヘルなどを拭く用に持って行くのだが、この場合、お尻に優しいふわふわやわらかペーパーより、ごわごわペーパーの方がしっかり拭けていいのだ。
百均でも勿論トイレットペーパーは売っているが、かなりお尻に優しい感じだ。公共施設のトイレとかにある、あの業務用っぽいものを是非、小売りして欲しいのだ。
わがままなお願いなのは承知している。是非、検討願いたい。
ちなみに、我が家の本来用途のトイレットペーパーはふわふわである。