睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「火の鳥ーヤマト編ー」手塚治虫

先日、我がG県では「HANI-1グランプリ」という大会(?)が開催された。

一体何が頂点を目指して戦ったのか!?

そう。大会タイトルを読めばすぐにわかる。

ハニワである!

G県で出土した埴輪の中のナンバーワンを決める戦いだ。そして、1位を獲得すると、その埴輪がオリジナルソングのセンターで踊るというのだ!

 

…最初聞いたときは、何て盛り上がらなさそうな企画なんだ、と思った。タイトルも●●-1グランプリで二番煎じどころか三番煎じ以上のマンネリ感。

しかも、G県には、日本で唯一の国宝埴輪スーパーアイドル「挂甲武人埴輪」くんがいるため、彼がナンバーワンになることが見え見えだったのだ。

武人埴輪くん。G県出土だが、東京国立博物館のもの。都会に連れて行かれちゃった…。同館HPより。

 

しかし、ふたを開けてみれば、この大会、結構盛り上がった。投票総数59,261票。(ちなみに私は投票していない)

投票者の愛にあふれたコメントが秀逸だったし、何より、G県だけでもこんなにバラエティ豊かな埴輪があるんだ!という、純粋な驚きが大きかった。

エントリー埴輪数は100体。

何故か顔がついてる円筒埴輪や、わんわん鳴きそうな犬の埴輪やら、ほぼほぼ復元で足してるつぶらな瞳の水鳥の埴輪とか、騎乗している人間がやたら小さすぎる馬の埴輪などなど。←最後、イチオシ。馬に力そそいだら、人作るのどうでもよくなったとしか思えない出来映え!

知らなかった!埴輪って、いろいろあって面白い!

1500年近く前の人が作ったものが、今でもしっかり残っているというのは、不思議な気持ちになるものだ。是非、実物をこの目で見なくては!
↑ HANI-1グランプリのHPです。いろんな子がいるから、寄っていって~。

わんこ埴輪。しっぽがラブリー。こちらもG県出土だけど、東京国立博物館のもの。みんな都会に…。同館HPより。

 

そもそも埴輪は古墳の周りに並べられたものであるが、なぜそんなものを並べたのかという起源については諸説あるらしい。

でも、私は「殉死の人の代わりに、土で人形を作って並べたもの」だと思っている。

なぜならば、手塚治虫先生の「火の鳥ーヤマト編ー」で、そのように書かれていたからだ。

ウィキペディアによると「日本書紀」垂仁紀に古墳の周りに殉死者を埋めるかわりに人馬の人形を立てることを提案した、という記載があるらしい。多分、手塚先生はそれを採用したのだろう)

 

火の鳥ーヤマト編ー」の主人公は、ヤマト国王子オグナ。彼は殉死の風習を廃止するべきだと考えている。

そのため、父王の墓(古墳)建設をめちゃめちゃにし(かわりにアミューズメントパークを造営。サル山もあります)、憤死した父王の墓(突貫工事で作ったので、石を置いただけ石舞台古墳)に、殉死者として生き埋めにされることになる。

しかし、オグナは他の殉死者と共に、火の鳥の血をなめたため、生き埋めにされてもすぐには死なない。1年以上もずっと、土の中から「殉死反対!」を叫び続けるのだ。

それから何年かたち、埴輪を墓の周りに埋めるようになってから、殉死の風習は廃止された。と物語も終わる。

火の鳥の生き血を飲むと、永遠の命を得ることができる

 

私が初めて読んだ手塚作品。学校の図書館で読んだ。

当時、学校の図書館にあるマンガは、伝記とかの学習マンガの他は、はだしのゲン」と手塚作品(「火の鳥」と「ブラックジャック」)だけだった。

そう。手塚マンガは別格だったのだ。

お堅い先生達にも、手塚マンガなら図書館においても良し!と、納得させる圧倒的な王者の風格が手塚作品にはあった。

(ちなみに禁帯出であったように記憶している。なぜだろう…??)

 

私たちは争うように手塚作品を読みあさり、書棚で発見するとすかさず確保。「よっしゃ~!火の鳥があった~!」と小躍りして喜んだものだった。

しかし、ページを開くと「読んだな、これ…」ということも多かった。当時は、なにしろ人気があって、全巻そろって書棚に並んでいることがなかったので、全部で何冊あるのかもよくわからなかったのだ。そのため、まだ未読の巻があるのではないか?との希望が捨てきれず、書棚で見つけると、とりあえず確保。確保したら、再読でももう一回読む、を繰り返していた。(貧乏性)

 

特に私は過去バージョンの「火の鳥」が好きで、ストーリーに練り込まれた歴史のエピソードを読み込んで胸躍らせていた。史実を元にしたエピソードは、ふむふむ、そういうことが日本の過去にはあったのか、と私の歴史基礎知識として今でもしっかり植え付けられている。

卑弥呼は弟に実権を握られていたのかーとか、源義経は実は常識が通じないタイプだなとか、清盛はエロじじいだな、とか。

僧侶の究極の成仏である即身仏を知ってびびりまくったりもした。すごくない?地中に一人で閉じこもって餓死するんだよ!?

(ちなみに、手塚作品「アドルフに告ぐ!」を読んで、ヒトラーユダヤ人だったと信じていた時期も結構長くあった…)

 

それなので、埴輪は殉死者のかわりに置いたもの、というのも私の歴史基礎知識だ。今でも。

作中、生き埋めにされる前に、オグナは、殉死者の代用として埴輪を作ることを提案する。そのときに、こんなことも言っている。

「人間だけじゃない おやじが生前使いなれていた道具や家や武器なんか みんな似せてつくるんだ

これで、埴輪がバラエティに富んでいる理由もちゃんと説明できる。

わんこ埴輪が置かれた古墳の主は、犬好きだったんだろうね。綱吉?(違う)

騎乗している人間がやたら小さすぎる馬の埴輪は…古墳の主がすごく背が低かったのかしら…??亡くなった人をディスってないか、それ!?

 

いずれにせよ、昔あった事についての正解は現在ではわからない。ただ推測ができるだけ。

現代に残された石舞台古墳や埴輪から、推測という想像力で、この壮大で完成度の高い作品を作り上げた手塚先生はやっぱり、天才、というしかない人物だなあ。

 

ちなみに、HANI-1グランプリでは、私の予想を鮮やかに裏切って、「笑う埴輪」がセンターに輝いた。

ええっ!!スーパーアイドル武人くんじゃないの!?(武人くんは7位!惨敗、惨敗だよね!!)

国宝なんて肩書き、このグランプリには関係なかった。大事なのは(多分)見た目だ!

現代の視点で見て「これ、かわいー」とか「変なの」という素直な気持ちで楽しめたところが、きっとこのグランプリの盛況につながったのだろう。

とりあえず、私は何とかして、イチオシの人がちっちゃい馬の埴輪を見に行くぞ!

私のイチオシ。馬もかわいいなー。グランプリHPより。

 

火の鳥3 ヤマト・異形編 (角川文庫)

火の鳥3 ヤマト・異形編 (角川文庫)

 

 現在、刊行中の角川文庫バージョン。異形編もイイです。

安達太良山〜風が強く吹いている〜

早いもので、山はもう紅葉シーズンも終盤。

今年は安達太良山を登った。

 

朝、4時半G県東部発。

真っ暗だ…。深夜感がハンパない…。

日が昇るのが遅くなったなぁ、と初っ端から季節の移ろいを感じる。もうすぐ、山に登れない冬が来る実感がわいてきて、少し寂しい。

光がないと、人はやっぱりナーバスなキモチになるものなのであろう。深夜のア●ゾンで自分でもよくわからない衝動買いをしてしまうのは、多分光がないせいだ。もっと光を…!

 

8時過ぎにロープウェイ乗り場である、あだたら高原スキー場に到着。

良い天気で、光をたっぷり浴びた私はすでに上機嫌。

「楽しい、登山になりそうだね~。ロープウェイあるから、楽々登山だぞ~!」と同行のノムさんと話しながら、車を出たところ、強い風が吹き付ける。

「車に乗ってるとわからなかったけど、結構、風強いね~

「ネスミーシー(仮名)なら、アトラクションがとまっちゃうかもね~」

とのんきに話しながら、ローフウェイ乗り場に向かうと…!!

とまってるよ、ロープウェイ!

強風はロープウェイの敵だった!

がーん…。

事実を受け入れられずに、その場に立ち尽くす私たちに追い打ちを掛けるように「運休で~っす。登山計画を変更してくださ~い」と係員の方がのんびりお知らせしている。

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天気晴朗なれど風強し…。動かないロープウェイ…。

 

どうする!?どうする私!?

私の選択は「登ろう。道はある」というものだった。このくらいの風では私は引かん!せっかく福島まで来たんだもん!

…私の性格は、本来、登山に向いていない…。

私と同じ考えの登山者の皆様と一緒に「安達太良山 五葉松平」との標識がある道へ進む。

「…ロープウェイありきで考えていたから、この先のコースタイムとか全然考えられない!

「だって、しょうがな~いじゃない~(by和田アキ子こんな時でも歌は忘れない)30分待てばロープウェイが動くなら待つけど、天気のことは予想がつかないもん!」

ノムさんとぐちぐち言いながら歩く。

人生には3つの坂がある。上り坂、下り坂、まさか…。

登山にも3つの坂がある。熟練されたスピーチの完成度に深く感じ入った次第だ。

 

ロープウェイ山頂駅を目指し、これまた動かないリフト(冬しか動いていないのであろう)をくぐって、しばらく歩くと、いきなり見晴らしのいい道に出る。

道というか…

ゲレンデだよね、ここ…」

「あってんのか!?これが、登山道だというのか!?

前を行く人々がいなかったら引き返していたかもしれないが、途中、標識もあったので、不安を抱えつつ黙々と登る。

ゲレンデは遮るものがないので、吹きっさらし。強風なので、時々あおられる。

なんの罰なんだ、この道は!

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ただのゲレンデ。

 

ゲレンデを登り始めておよそ45分。リフトの終着駅(?)に到達。冬のスキー客はここからゲレンデを滑降するのであろう。

さらに上を目指す登山者はここから通常の山道を行く。よかった~。

道の両脇の木々が風を防いでくれて、格段に登りやすくなる。

が、おそらく昨日降った雨のせいで、道がぬかルンルン…。

四阿山に引き続き、またぐちゃぐちゃ!ああ、靴洗ったばかりなのに…。

もう、矢でも鉄砲でも持って来やがれ!私はなんとしてでも頂上に立つ!

なぜ、山に登るのか?そこに山があるからだ!

妙な闘争心が燃え立ち、汚れることなど意に介さずに、ただひたすら、ロープウェイ山頂駅を目指す。

…しばらくして気づく。

「ねえ、ノムさん。ロープウェイ山頂駅についても、そこは頂上じゃないんだよね…

「そうだよ。そこからが、当初の予定の登山ルートじゃないか!」

そうだった…。少し、落ち着いてのんびり行こうっと。

登るにつれて、大分深まった紅葉の山々が姿を現し、下界もくっきり見渡せて、とってもいい景色。この道、楽しくなってきたな~。気分はかなり上向きに。

 

登り始めてだいたい1時間半後の10:15 ようやくロープウェイ山頂駅そばの薬師岳に到着。1350m。

ロープウェイで10分のところを1時間半かけてたどり着いた!ヤッホー!

なんか、精神的な疲労感の余波で?お腹が空いていたので、一心不乱に魚肉ソーセージを食す。復活。スバラシイ食べ物だ、魚肉ソーセージ。

すると、同じルートでこの場所にたどり着いた登山者のみなさんの会話が漏れ聞こえてくる。

「おいおい、ロープウェイ、動いてるぞ!

…!?なんですと、なんですと!?

「ゆ、ゆるせん!動くなら動くと、なぜ事前に言えんのだ!

ノムさんが、怒ってるよ~!天気のせいだから!天気は気まぐれだから!

でも、そんなに早く動くなら、待ってればよかったかもしんない…。

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薬師岳から目指す山頂を望む

 

薬師岳でしばし休憩し、怒りを静めてから、安達太良山山頂である、その名も「乳首」を目指す。

多分、みんな思っているけど、あえて言わないのであろうことを、私は言う。

「乳首」って…!!

なに、そのネーミングセンス!?

確かに、そうだよ。もう、そう言われれば、そのものにしか見えない。

だけど、なんだか恥ずかしいじゃないの!もっと、包み隠そうよ。日本語の豊かな語彙で!

「いや~スバラシイね!なんか、ジャ●ーズを思い出すね!」とノムさんはご満悦だった…。

そうね…ジャ●ーズの皆さん、よくハダカで踊ってる気がするね…。

 

しばらく道は幅の広い木道や砕石が敷き詰められた平坦な道で、非常に歩きやすい。樹林帯なので、眺望はあまりない。

「乳首」というネーミングセンスについて、ノムさん激論を交わしながら、30分ほど歩くと仙女平に到着。11:00くらい。

眺望、最高!

f:id:suishian:20181103224131j:plain黄色のナナカマド。仙女平付近にて。

 

ここからは登り。

階段やら泥濘みやらを超えて、どんどん進む。だんだん道はガレてくる。

40分ほど登ると、目の前にばーん、と「乳首」がその姿を現す。

そのまんま!近くで見てもそのまんま!

どういう案配でこんな風に突き出た形状が山の天辺にできてしまったんだ!?自然の差配の不思議に驚嘆の思いを禁じ得ない。変人の神様がこんなの作っちゃったんだよね、と言って貰った方が納得できるような気がする。

近くで見て納得した。やっぱり、これは「乳首」という直接的な名前で呼ぶしかないんだな。今風に言うならマストネーム。オブラートに包んでも、乳首は乳首なのだ。

ナイスネーミングセンス!ブラボー!

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近くによっても、やっぱり「乳首」。

 

11:50頃、山頂到着。

ロープウェイ無しでも、お昼に到着できてよかった。深夜(?)に出発した甲斐があったというもの。

今回の秘密兵器今が旬のりんご(シナノスイート)とカップラーメンのお昼ご飯を食べてから、いざ、乳首頂上へ!1700m。

360度の眺望。

山々が周りに連なり、広くて青い空に映える。雄大ってこういう景色のことを言うんじゃないかな。

地球は丸い。今、その円の真ん中に立っているような気持ちがする。

近くにいた人が「あれが磐梯山だよ」と言っていた。きっと福島県民の「ふるさとの山」は磐梯山とこの安達太良山なんだろう。

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左奥が磐梯山らしいです。多分。

 

乳首を堪能して13:10下山開始。

くろがね小屋方面へ下る周回コースを選択。山頂を少し下ったところの分岐から、山肌に沿った道を、てくてく下る。

この道は背の高い樹木がないので、ずっと見晴らしが良く、ごきげんな道♪頂上の乳首もずっと見える。

13:30峰の辻。

少し休憩して、先を急ぐ。このあたりから、乳首とはお別れ。

さよなら、乳首。お名残惜しい。

 

14:15くろがね小屋着。温泉の匂いに胸がときめく。

くろがね小屋は酸性温泉があり、日帰り入浴もできる。

当初の予定では、ここで一風呂浴びる予定だった。が、ノーロープウェイのタイムロスにより、入浴は泣く泣く諦める。

「ロープウェイへの怒りが再燃してきたぞ

「次だ、次こそ、必ず乗ってやろう!

と二人で誓い合い、くろがね小屋てぬぐいを購入して道を進む。

ちなみにトイレは無料で貸してくれた。太っ腹。

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くろがね小屋のくろがね。

 

ここからの道は幅も広く平坦な林道。

紅葉もこの辺はちょうど良い感じで綺麗。

そういえば、紅葉を見に来たはずなのに、他のことに気をとられすぎていた、ということに気づき、このあたりから俄然紅葉見物に貪欲になる。

唐松林がキレイな黄色に染まっている。

もみじも真っ赤だ。

「いいねえ。紅葉いいねえ」と写真を撮ったりして、るんるん歩く。本来の目的を思い出せてよかったな~。

 

 

勢至平を過ぎて、しばらく行くと、「馬車道」と「旧道」の分岐点。どちらの道を選択しても奥岳登山口に着くらしい。

ううむ…。なんだ、この究極の選択は!?ガラスの仮面」の劇団一角獣のお芝居「運命」みたいだな…(わかる人だけ頷いてください)

この時点で時間は15:30近くになっていたので「早いほうの旧道にしよう」と選択。

…結果的には多分大失敗だった。

道がぐちょぐちょぬかルンルン!

せっかく、午前中の靴の汚れが乾いてきていたのに!

もはや、紅葉に思いを馳せることも無く、足下のぐちゃぐちゃ泥濘みに意識は集中

これも、ロープウェイに乗れずに、時間が遅くなったせいに違いない!とロープウェイにすべての責任を押しつける。…が、冷静に考えれば八つ当たりだ。

 

ぐちゃぐちゃのどろどろになった靴とともに、登山口にたどり着いたのは16:30。

ロープウェイ、快調に動いてる…。

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動いてる…。

 

「ばかー!」と小さく叫ぶ私たち。(小心者)

売店百名山バッチを見つけたノムさんは「バッチにロープウェイが入ってる!私は乗ってないから、このバッチは買わない!」と怒りをあらわにする。

せめて一日運休だったら諦めもついたのにねえ…。

 

でも、総合的に考えると、私、安達太良山大好き!

今回は行けなかったけど、鉄山とか沼野平方面も行ってみたいし、くろがね小屋に泊ってもみたい!

何だか、ハートをわしづかみにされてしまったような気がするのは、やっぱり予定外にゲレンデを登ってしまったからだろうか。

麓の「奥岳の湯」に入りながら、やりきった達成感にぐふふ、と忍び笑いをしてしまった。

また来たいな~。いや、来るぞ~!

もしかしらた、またノーロープウェイコースで行っちゃうかもしれない。なんだろう、そんな変な予感がする…。

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お土産は赤べこで決まり!かわいい !ラブ!

 

<コースタイム>

8:10あだたら高原スキー場…8:30奥岳登山口…9:30リフト降り場(?)…10:15薬師岳…11:00仙女平…11:50山頂(昼食)…12:45乳首…13:30峰の辻…14:15くろがね小屋…16:10自然遊歩道入口…16:30奥岳登山口 ※自然遊歩道は通っていません

錦秋の尾瀬〜スタンダードコース?〜

今年、二度目の尾瀬草紅葉光る秋景色。

職場の山好きメンバーでわいわい行ってきた。

なんと、今回は7人!「G県に住んでるけど、尾瀬に行ったことがないなあ…」というバラっち(新規参加)を言葉巧みに誘いこんで、規模拡大。…やり手婆だな…。

(ちなみに、「尾瀬平らだから大丈夫!」と誘い込みました…。私の常套手段

 

わーい。楽しい、一日にするぞ~!

当日の天気予報は台風が来るとか来ないとかで曇りだったけれど、蓋を開けてみれば、最高の秋晴れ!珍しく、天気予報ハズレ!

メンバーが多いので、多分、一人や二人は強烈な晴れパワーを秘めているに違いない。ありがたや。

 

戸倉第一駐車場に8:00集合。

鳩待峠までのバスは、9人乗りのジャンボタクシーだったので、車内はほぼ私たちのグループ。(乗り合わせた、お二人、ご迷惑おかけしました…)

「タケさん、昨日、尾瀬初心者のドリーさんに「尾瀬の山小屋ではカードしか使えない」とホラを吹きましたね!」

「ええっ!あれ、嘘だったの!?

「むしろ現金しか使えないわ!」←もしかしたらカード、使えるのかな…?知らない。

などと言う、くだらない会話で盛り上がる。

運転手さんも「だまされてたら、トイレも入れませんよ」と気軽に話をしてくれる。

それにしても、ドリーさん…。素直にだまされてたんだ…。

 

8:30鳩待峠着。

今回は初尾瀬のメンバーもいるので、一番スタンダードな尾瀬ヶ原一周コースを行く。

尾瀬の看板横の無料ポケットマップ配布ボックスは、今回も空…。いつならあるんだろう…?

とりあえず、私がずっと前にもらった地図を広げて、コース確認。

「山ノ鼻から竜宮経由で見晴でご飯食べて、東電小屋方面を回って、牛首で行きと同じコースに帰る、尾瀬ヶ原満喫一周コースです。頑張ろー!」

「頑張ろー!!」

意気揚々と歩き出す。

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 紅葉、見頃。サイコー!

 

「紅葉、こんなに見頃だとは!キレイですねえ」

と感動して、上を見て歩いていたハナちゃん、転倒!続けてバラっちも転倒!

昨日、雨が降ったので、木道が塗れて滑りやすくなっている。

そこから、ものすごく慎重に歩いたため、ペースが落ち、必然的に7人団子状態で木道を歩く。

「…この状況、ド●クエみたいだ…

「おお!勇者が先頭!私、勇者!」←たまたま私が先頭だった。

「次の町は、山ノ鼻だぞ!そこでセーブしよう!

楽しくなった私はうっかり、モンスター遭遇時の音楽を口ずさんでしまい、非難をあびる…。何か、その音楽が浮かんじゃったのよう…。

 

9:40山ノ鼻町到着。セーブ!(休憩)

みんなから貰ったアメちゃん食べて、HPを回復して出発。

ここからが尾瀬ヶ原

一面の草紅葉の中をずっと続く木道。

真っ青な空に至仏山と燧ヶ岳がそびえ立つ。

本当に尾瀬は綺麗なところだなあ。

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燧ヶ岳。天気が良いって、スバラシイ。

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ヒツジグサも紅葉。

 

一面の草紅葉の中をるんるん歩いていると、ハナちゃんが鼻歌を歌い出す。

らんらんらららんらんらん…♪

おお!ナ●シカね!ハナちゃん。

7月にアヤメ平に行った時、私も思い出したよ、ナ●シカの金の野!そして、前回の反省を活かして、今回の私は青い服だ~!!ふふふ。一人静かに達成感。

ハナちゃんに親指を立てて、グッジョブを伝え、一緒に口ずさむ。オ●ム、森へお帰り~。

 

牛首、竜宮を順調に通過して、見晴着は12:00くらい。

ここでお昼ご飯。

ラーメンやらカレーメシやらをいただく。

みんなで食べるとおいしいね~。

ちなみに、この時の話題は、どの病院の人間ドッグがいいのか、である。…話が尽きないね。尾瀬でしなくてもいいけどね!

 

 

13:00頃、見晴出発。

ここで、雪絵さんが気づいてしまう。

「山ノ鼻からここまでが2時間半弱でしょ。東電小屋方面に回るプラス分を考えると、帰りは山ノ鼻に16:00過ぎに着く計算になるよね?鳩待までの登りのことを考えたらバス最終(17:20)に間に合わないんじゃないの!?

「え~、大丈夫だよ。なんだかんだでいつも間に合うし」

根拠も無く「大丈夫」で押し通す私…。何か、7月に尾瀬に来た時も同じ台詞を言ったような…。このいい加減な性格は登山に向いてないな…。自覚はある。

「バスに間に合わなかったら、個人でタクシーを呼べば来てくれるらしいから大丈夫だよ」←大丈夫なのか、それは?

「大丈夫、間に合わないときは、みんな一緒だ!」←全く大丈夫では無いが…

と、大丈夫を連発して、他のメンバーと一緒に雪絵さんを騙くらかす。

この時気づいたけど、割と他のメンバーいい加減な性格な人多いな…。類は友を呼ぶのね…。 

 

13:30 東電小屋

13:50 ヨッピ吊橋

順調だ。

午後になって出てきた風が、草紅葉を揺らして吹き抜ける。

ここで口ずさむ歌は「ざわわ ざわわ ざわわ~」(byさとうきび畑)しかあるまい。

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 ざわわ秋の野。

 

 

14:20 牛首

ここからは行きと同じルートに復活。

尾瀬ヶ原、だいたい一周~」

「ひゃ~、歩いたねえ」

朝からずっと歩いているので、さすがに疲労の色が濃いメンバー

「このベンチから立ち上がるには、相当の決意が必要だ…

タケさんの言葉にみんな同感。でも、立ち上がらない訳にはいかない。立て、立つんだ、タケさん!

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白樺がぽつんと立っている景色が好き。

 

15:00 山ノ鼻

尾瀬ヶ原終了。

ここから、鳩待までのルートの最後に若干の登りがある。若干だけど、今までの疲労がボディーブローの様に効いているから、最後の登りはストレートにヒットする…。

「どうしよう~疲れた体に登りがキツい…。私が遅れたら、バスを止めておいて…」と弱音を吐く雪絵さん。了解だぜ!でも、この時間なら大丈夫だよ!(ようやく自信をもって言える)

この最後の登りは概ね階段と石段だが、そのちょうど中程に「疲れたろう?ちょっと休んでいけばいいさ」と言わんばかりに、ベンチが設置してある。尾瀬、すごい!なんて細やかな気遣いなんだ…!!

でも、これは魔のベンチだ。いちいち休憩していたら、余計疲れる。(と思う)

「もうちょっとや!まだ、行ける、自分!」と自らを騙くらかして、階段を登る。

 

鳩待峠着 16:15

ちゃんとバスに間に合ったぞ~! 

よく歩いたね~とみんなで互いの健闘を讃え合う。

天気も良くて、紅葉ど真ん中で最高だったね。楽しい疲労感~♪

ここでタケさんから衝撃の発表がある。「スマホによると、今日の歩数は29,000歩。距離にして、24kmです」

…!?マジっすか!24kmって!

でも、今日のコースは尾瀬のどスタンダードコースだから、24kmもスタンダードな距離なんだろうな~。

 

と思っていて、帰宅後、インターネットで尾瀬ヶ原コースを見てみた。

…「竜宮で折り返して尾瀬ヶ原を一周する人が多い」って書いてあるね…。

すみません。見晴まで行くのはスタンダードコースじゃなかったかもしんない…。

内緒にしておこう…。

 

最後に耳より情報。

戸倉第一駐車場近くにある「戸倉の湯」(日帰り温泉)に、尾瀬のポケットマップ、置いてありました!(尾瀬ネイチャーセンターが併設されてるからかな?)

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木道を運ぶヘリコプター。お仕事、ありがとう!

 

<コースタイム>

8:00戸倉…8:30鳩待峠…9:40山ノ鼻…10:30牛首…11:00竜宮…12:00見晴(お昼1時間)…13:30東電小屋…13:50ヨッピ吊り橋…14:20牛首…15:00山ノ鼻…16:15鳩待峠…16:45戸倉

 

「おさんぽきのこ」石塚倉譆

今年の人間ドッグのお供本に選んだ本は「おさんぽきのこ」である。

区切りがつけやすくて、写真とかが多い本、という人間ドッグお供本の条件にぴったり。

 

私はきのこが好きで、山に行って、きのこを見つけると「らぶりー!」とわーわー騒ぐけれど、実は知識は皆無。山に生えているきのこで名前がわかるものは1つもない。(ベニテングダケならわかるかも。生えているの見たことないけど。)

ここらで少し、きのこの知識を仕入れておこう!と意気込んで、この本を購入した。

 

人間ドッグの検査の合間に読みふける。

本の冒頭に書かれているが、この本は図鑑ではない。山の楽しさと、きのこの世界の多様さ」を伝えることを主眼としているそうな。

ただ、きのこの名前を知りたいだけなら、きのこ図鑑でいい。この本は、そこから一歩踏み込んでいる。(ちなみにヤマケイポケット図鑑「きのこ」も持ってる)

一応、体裁は図鑑のものであり、きのこの種類ごとに写真や解説がある。その解説が面白い!きのこ狩りの世界にどっぷりひたった作者しもじ氏(石塚氏)が、実際に山で発見、採取、料理(中には毒きのこもあり)した体験記になっているのだ。

シャカシメジのところの解説はこんな感じ。

しもじ氏は初心者だった時に、このきのこを発見。しかし、当時はそれが何なのか、食べられるのかわからず、知人の仲介できのこに詳しい大学教授にあずけてみた。「一体、なんていうきのこなんだろう」とわくわくして返事を待っていたところ、ようやく来た返事が「おいしいきのこ ありがとう」だった…

教授、イイね!人間ドックの検査の合間だけど、声に出して笑う私。

表紙にきのこがどーんと大写しの本で笑う私は、さぞ奇妙だったろう…。周りの検査待ちのみなさん、迷惑掛けてすみません。

 

改めて気づいたけど、きのこに詳しい人って、きのこ狩りに行く人なんだね…。

…そりゃ、そうだよね…。

なぜ、きのこに詳しいのか。それは、きのこ狩りをするから。なぜ、きのこ狩りをするのか。それは、きのこを食べたいから

私は山に生えているきのこの名前がわかるようになりたい!という軽い気持ち程度で、その先の「採って食べる」意識がなかったので、「ほー、そういう世界もあったか!」と認識を新たにさせてもらった。

この本の内容は、きのこの世界を紹介する、というよりは、きのこ狩りの世界を紹介する、と言った方が正しいと思う。

 

きのこ狩りの世界、って全く知らない世界だったから、驚くことが多かった。

きのこは毎年同じ場所に生えることが多く、たくさん生える場所(シロと言うらしいです)を探し当てると、絶対に他人には教えないそうな。教えると、先に収穫されちゃうかもしれないから。

クリフンセンタケの解説文には、ショッキングなエピソードが!

作者のしもじ氏がクリフウセンタケの大株を発見。「うわ~これは見事な株だ!」と声をあげて、写真を撮るべく、ザックからカメラを取り出していると、一緒にきのこ狩りをしていた仲間が「おーこれは凄いな~」と言いながら、自分のカゴに放り込んでしまったというのだ。

なんて厳しい世界なんだ!仁義なき戦いみたい。

スキを見せた方が負けなのね…。

「信頼関係…?何それ?」(by カイジ

 

また、しもじ氏は、山で食べられるきのこを見つけると、全部採りたいのだそうだ時にはトラックの荷台埋まるくらい収穫する時もあるとか!すごいな。

…食べる分だけ採る、という考えではないらしい。割と貪欲。

時には、いろんな事情で、全部持ち帰れず、途中で泣く泣く捨てることもあるとか。

うーん…登山のマナー「山で植物は絶対に採取しない」というのが、私の頭をよぎり、どうも、気持ちがついていかない…。

(ちなみに、本にはちゃんと保存方法とかも書かれている)

 

…他にも雪山きのこ狩りエピソードとかもあって、とにかくきのこ狩りにかける情熱に圧倒される。

そこまでして、きのこが採りたいのね!

こういう人たちがたくさんいるって、知らなかったよ!

 

きのこ狩りか…。興味が無くは無いけれど、多分、私は足を踏み入れられないな…。まだ、情熱が足りない。

一番はじめに「私はきのこが好き」と書いたけど、形やその不思議な生態が好きなだけであって、この本を読むまでは、食べる方のことは全然考えていなかった。これで「きのこ好き」を名乗るなんて、片腹痛かった…!反省。

ちなみに、私は子どもの頃、バーベキューでシイタケの串焼きを「お肉だよ、おいしいから食べなさい」と母にだまされて以来、ずっとシイタケが大嫌いだった…。社会人になってから、ようやくなんとか食べられるようになったけど。(乾燥シイタケは今も苦手)

子どもの頃の出来事って、影響大きいよな~。

私がきのこを食べる方に興味が出てきたら、狩りに挑戦してみよう。割と、近い将来かもしれない。

 

ちなみに、本の冒頭に「この本は図鑑ではありません」と明記されているけれど、十分、図鑑としても使える。

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きっと、オニイグチ。渭伊神社内の天白磐座遺跡でみつけた。なんと、食べられるらしい。

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たぶん、ルスラ(ドクベニタケ)。毒。四阿山に生えてた。写真イマイチ…。

 

余談だが、人間ドッグの際に、医者に「体重が年々増えています。ここらで止めましょう」と、言われた…。

そうしたい気持ちは山々なれど、そううまくいかないのが、人の世の常ってやつでねえ…。

きのこ、ダイエットにいいんだよね…。きのこ狩りか…。

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黄色は多分カベンタケ。食べられるらしい。これも四阿山で発見。(「おさんぽきのこ」には掲載なし)

 

おさんぽきのこ.

おさんぽきのこ.

 

 

四阿山~ゴンドラでぬかルンルン♪~

G県と長野県の県境の山、四阿山に行ってきました。日本百名山

今まで、長野県の菅平側からしか登れないと思っていたけれど、なんとG県嬬恋村側から夏場だけゴンドラがある、との情報をキャッチ。ゴンドラ利用だと2時間弱で四阿山まで行けるという楽々コースらしい。

今年度、全線開通した「ぐんま県境稜線トレイル」のどこかに行ってみたかったこともあり、今回、四阿山をチョイス。

ちなみに、この稜線トレイル、全長100kmあまりとのこと。いつか、制覇したいような…無理なような…。百名山制覇よりはできそうな気がするが…。

 

今回の同行は山の相棒ノムさん

同じG県でも、私が住まう東部と嬬恋はとても遠い。そのため、前日は、草津温泉を経由して万座温泉泊。

強酸性温泉のハシゴ!贅沢すぎる!

草津もいいけど、万座温泉のお湯、最高!天空の露天風呂!

しかし、こんな強いお湯に入りまくって大丈夫なんだろうか…。

 

当日は朝から天空の露天風呂に入り(贅沢!)、ホテルで朝食をすませて、いざ、四阿山へ!

ゴンドラ利用で楽々登山だから、ちょっと遅い出発でも大丈夫なはず。

…ちなみに、万座温泉からパルコール嬬恋(ゴンドラの発着場所)まで、一時間弱かかる…。同じ嬬恋村内なのに…。

パルコール嬬恋着は8:45くらい。良い天気!

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パルコール嬬恋からの浅間山ここでも十分、良い景色!

 

ここ、人、いるのかな…?とやや不安を感じる、夏場の巨大スキー場の片隅で、ゴンドラはちゃんと営業していた。

ここから、20分くらいで一気に2050mまで。ゴンドラって、すごいなあ。

四阿山は2354mなので、ここから約300m上がるだけ。ゴンドラを下りたところの標識には、四阿山山頂まで1時間40分との表示。楽ちん登山だ~。わーい。

 

9:30くらいに出発。結構急な坂道をのろのろ歩くと、5分少々で登山道に出る。ここからが、稜線トレイルルートらしい。

稜線らしく、アップダウンはほとんど無し。すごく歩きやすいはずだ…地面が乾いていれば。

数日前の雨の影響か、元々日があまり当たらない林の中だからなのか、かなり道が泥濘んでる。ぐちゃぐちゃ。

気にしないで歩けばいいのかもしれない。でも、できれば固めの部分を通って歩きたい!

端の方だとか、石の上とかを選びながら慎重に歩いても、靴はどんどん泥だらけ。

ノムさん。私は今、奈良公園を思い出しているよ…

「…奈良公園…?」

「あそこは鹿だらけじゃん。で、はじめの方は鹿の糞を踏まないように気をつけるんだけど、途中で、もうどうでもよくなるんだよね…

「…そうだよね。もう、どうでもいいよね…

途中からは、ばっしゃばっしゃ真ん中を通れるようになる。泥なんか、どうでもいいや。

そうすると、だんだん楽しくなってきて、ついつい鼻歌を歌ってしまう。

「ぬかルンルンルン ぬかルンルンルン ぬかルンルンルンルンルン~♪」

…花の●ルンルンか…!!

さすがノムさん。同級生だから、すぐにわかってくれたぜ。二人でルンルン鼻歌を歌いながら歩く。楽しくなって来たな~。

(この歌がわかる方は同世代ですね…

このぬかルンルンゾーンは、だいたい30~40分くらいで、その後はそこそこ固い地面になる。

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ぬかルンルン。ここは比較的乾いている方。

 

道はおおむね林の中。道の脇には、わたしたちが大好きなきのこがにょきにょき。

「なに、このきのこ!かわいい!

「おいしそうだが、毒の匂いがするぞ~!

と二人で興奮して写真を撮りまくる。

そんな私たちを見て、「何かあるんですか~?」と声を掛けてくれる登山者の方もいたが、「…あ、きのこか」と対象を確認すると一気に興味を無くして、抜いていく。

あれ?みなさん、あまりきのこに興味ないのかしら…?

 

たくさん発見したきのこ達のなかで、最も私たちの目を引いたのは、白くて平たいきのこ。

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スギヒラタケ…?ウスヒラタケ…?図鑑で見てもよくわかんない。

 

白くてキレイ。林の中で輝いてる!

「ちょっとだけ、お触りしちゃうわ」と誘惑に負けたノムさんがきのこにタッチ。

「ぎゃあ~ハムハムしてる~!けっこう、固め!」

「ええ~!いいなあ、私もちょっとだけお触り!えいっ!」

ひんやりしてて、マットな感触。すごくイイ。うふふ、満足~♪

 

歩き始めて2時間くらい経過した11:30頃、ようやく茨木山との分岐点に到着。

あれ?ゴンドラ下りて1時間40分で山頂って書いてあったのに…。泥濘みに気をつけていたせいなのか、きのこに夢中になっていたせいなのか、大分、ゆっくりペースのよう。

まあ、いいか。楽しく歩くのが一番。

ここからが急な登り。ラストスパート。たぶん、標高差300mの大半がここからなのであろう。

 

地図では茨木山の分岐から20分で山頂となっている。

登りはじめてから20分くらい経ったので、もうすぐかな~と視線をあげると、そこには目指す山頂がくっきり。

「…!!我が目を疑う光景だ!あの山の天辺に人影が…!

「おぉう!めっきゃ急やないかーい!髭男爵風)」

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目指す山頂。どこから見ても四阿の形だから、四阿山と名付けられたそうです。

 

急登を登ることおよそ10分で山頂に到着。2354m。ほぼ、12:00。

目で見た時は、ちょっとびびったけど、登ってみれば、割と大丈夫だった。鎖場の鎖も使わなくても大丈夫。

山頂は広くは無いけれど、まあまあ場所があるので、数十人の登山者がお昼ご飯中。菅平側から登ってきた人の方が多かったみたい。

私たちもいそいそと場所を確保して、お昼ご飯。今回もカレーメシ。最高においしい!日●食品さん、ありがとう!

 

山頂から長野側を眺めると、根子岳の雄姿がどーん!

ああ、根子岳も行きたかった!

当初、「ゴンドラで余裕だから、行けたら根子岳まで縦走しようか~?」とか言っていたけど、全くもって無理だった。ゴンドラ下りてから2時間半もかかってるから!己を知れ、私!

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根子岳。稜線歩き、楽しそう。

 

13:00下山開始。ピストンで同じルートを帰る。

朝はすっきり青空だったけれど、かなり雲が出てきて、G県側は眺望イマイチ。

浅間山雲の隙間からちょびっと見えるだけ。

 秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる浅間の鬼のいたずら…

いかん、百人一首と上●カルタがまじってしまった。

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浅間の先っぽ。チラリズム

 

午後になったから、ぬかルンルンは乾いたかな~と期待して歩いたけれど、まあ、やや乾いたかな?というくらいだった。

やっぱり、泥濘みは泥濘みのまま。ぐちゃぐちゃ歩く。行きであきらめの気持ちができているので、もはや気にならない。

ゴンドラ乗り場着は15:00くらい。行より早く着いたのは、泥濘みに対する諦観の気持ちのせいかな…?

乗り場横に靴洗い場あり。気が利くね~。

ゴンドラ乗り場で百名山バッチを購入して、下界に降り立ったのが15:30過ぎ。

今日も楽しい登山であった!

四阿山、今度は菅平方面から登って、根子岳縦走ルートもいいな~。

鳥井峠からの稜線トレイルルートもいいな~。

ノムさんと夢を語りつつ、キャベツ畑の中を疾走して、帰路に着いたのであった。

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嬬恋名物、一面のキャベツ畑。もちろん、買って帰りました。

 

<コースタイム>

7:50万座温泉発…8:50パルコール嬬恋…9:20ゴンドラ山頂…11:30茨木山分岐…12:00四阿山(お昼1時間)…13:00下山開始…13:20茨木山分岐…15:00ゴンドラ山頂…15:30パルコール嬬恋着

赤城山でキャンプ

友人であるジェイ氏から、突然「キャンプをしよう」というお誘いを受けて、赤城山湖畔でキャンプをしてみた。

何でも、ジェイ氏は、話題のアニメ(?)「ゆるキャン」を何気なく見てしまい「キャンプしたい!」と思ったのだそうだ。そして、ア●ゾンでぽちぽちして、道具をそろえてしまったそうだ。

ア●ゾン…おそろしい子!

ちなみに今回、登山はない。

一応、せっかく赤城まで行くのなら、上まで登ろうと言ってはみた。

ジェイ氏の回答。

アイゼンもピッケルもザイルも持ってないよ!!

…そんなもん、私も持ってないわ~!

と言うわけで、しっかりと気持ちを受け取り、今回、登山はない。

 

赤城山大沼湖畔到着は、午後4時くらい。

あたりはものすごい数の立派なテントが張られている。隙間もないほど。

今、キャンプが流行ってるって本当だな~。

時折、大声で歌う声が聞こえたりして、あたりのテントに集う人々は、すでに出来上がっている雰囲気満点だ。昼からビール…最高だな。

それにしても、こんな遅い時間からキャンプを始める阿呆は私たちくらいだ…。もっと早く来よう。次回への展望として心のノートに書き留める。

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 テントぎっしり。この写真は朝方撮ったので、みんな中でお休み中。

 

それでも、水場からは結構離れている湖畔に、なんとかスペースを見つけ、設営作業に入る。

登山とキャンプは一見近いけれど、結構違うものかもしれない。

キャンプの道具って、車で近くまで運べばいいから、大きい!そして、重い!

なんだか大量の荷物をどんどん解き、ターフとかテントとか設置。(すべてジェイ氏所有)

私は子どものころ、ガールスカウトだったので、こういう作業はどんと来いだ。三つ子の魂百まで!(使い方は合っているか!?)

 

流れるように、夕食の準備に入る。今回のメンバーであるジェイ氏とでんさんと私は、事前に打ち合わせしたわけでもないのに、完璧な作業分担でどんどん準備は進む。

あたりが暗くなる時間には、概ねご飯の準備は整った。出だしは遅いが、その気になれば早いのだ。出来る子や、私たち!

しかし、いざ、肉(焼き鳥)を焼こうとしたところ、卓上(?)バーベキューコンロは、炭火の火力が弱くて、全然焼けない…。

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火力が足りない…。じりじり。

 

焦れた私たちは、手近にあった野菜と鳥肉をバーナーでごんごん煮る。それをポン酢でいただけば、水炊きだ。臨機応変

また、別のバーナーで(3人ともバーナーを持参していた)もやしと肉を焼き肉のたれで炒める。

そんでもって、ビールで乾杯!

とりあえず焼けた焼き鳥を片手に「キンキンに冷えてやがる…!」とカイジの名台詞を繰り出したのだが、ジェイ氏にもでんさんにも通じなかった…。さみしい。

 

ある程度、飲み食いした後は、たき火を囲み、デザートタイム。

マシュマロを焼いて、板チョコをそえたものをクラッカーで挟む。

これは、ガールスカウト時代、キャンプファイヤーの最後の定番イベントとして毎回行われていたものだ。

溶けたマシュマロとチョコの甘みとクラッカーの塩味が絶妙で、ものすごくおいしい!

自宅のコンロでも一人で作成して食べていたくらい小学生時代の私を虜にしたおやつだ。

久々に作成して食す。

おいしい~!

たき火を囲んで食べるとコンロより数倍おいしいぞ!

 

そして、キャンプはやっぱり、たき火なんだな~。

夜は更けて、吐く息は真っ白。多分、相当寒いはずだけど、たき火の周りでは全然寒くない。アルコールがまわっているせいもある)

ワインを飲みながらマシュマロ焼きをもぐもぐ。

楽しいじゃないか!キャンプ、楽しい!

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たき火。も~えろよ もえろ~よ~♪

 

それにしても、このキャンプで改めて実感したことがある。

ヘッドランプってスバラシイ!

自分の目線の先を照らすので、暗さが全く気にならない。

実は、私はヘッドランプは持っていたけれど、使ったことはなかった。日帰り登山がメインだったから。

今回、日が落ちた後は3人ともヘッドランプ装着。一応、キャンプらしくランタンや懐中電灯も用意したが、メイン電源はヘッドランプ。

炭坑夫くん、もうちょっとタマネギを切ってくれたまえ」

「ラジャーです、炭坑夫くん!ヘッデンが手元を照らしますので、無問題であります!」

互いに「炭坑夫」と呼び合う、変なテンション…。

そして、以前読んだ、ホシガラス山岳会「あたらしい登山案内」に書かれていた「ヘッドランプをヘッデンと言うと、カッコいい!」を、抜かりなく実践する私。

ふふふ。カッコいい?

 

たき火終了後は、それぞれテントで就寝。狭いけれども、楽しい我が家~♪

明け方、激しい風の音で目を覚ます。5時くらい。

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大沼に日が昇る。キャンプなんだから、一眼持って行けばよかった…。

 

ちょうど、日が昇りだしたころ。

私の心の中では、宝●歌劇の名曲「朝日の昇る前に」が流れる。

もうすぐ朝の日が昇る 地平をバラ色に染め上げて~♪

今、ここで歌っても誰も怒らないだろうな、と思うが、とりあえず心の中だけにとどめておく。(そして、この歌を誰も知るまい…

何もしないで、ぼーっと明るくなっていく湖面を眺める。昨晩の宴と真逆の静かな時間もまたいい。寒かったけど。

 

すっかり明るくなった後、昨日の残り物とホットドッグで朝食を食べ、湖畔を後にした。

夜明け時間から起きているので、他のみなさんよりもかなり撤収は早かった。遅く来て早く帰る…。それもまたよし!

 

ちなみに、その後、山の相棒ノムさんにキャンプの話をした。

「自転車で山を登り(ヒルクライム)、登山して、湖畔でキャンプすればいいんじゃない?」

「…トライアスロン!?」

辛いぜ…。でも、かなり楽しそう。いつかは、トライアスロン

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スワンボート。じゃなくて、ホンモノの鴨。朝、遊びに来てくれた。

「司馬遼太郎が考えたこと」司馬遼太郎

意識した訳ではないけれど、今年の夏、二大東照宮に立て続けに行ってしまった。本当にたまたま。

日光東照宮久能山東照宮

祀る神は東照大権現言わずと知れた徳川家康である。将軍様

徳川家康は自分の亡骸をまず、久能山に葬った後、日光に小堂を造営するよう遺言したという。(京都の金地院にも小堂を造るように遺言)

日光に小堂…。小さいのかな、あれ?家光くんと天海僧正派手にしすぎたような気がする…。

それはともかく、日本全国に東照宮は数多あれど、(ウィキペディアによると現在は約130社だそうだ)この2つの東照宮は別格。徳川将軍家が江戸時代中、維持費をつぎ込んだおかげで(?)、現在でもとにかく絢爛豪華できらびやか。彫刻が細部まで施されていて「は~結構ですな~」とやっぱりつぶやいてしまう。

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日光東照宮の陽明門。扁額の文字は後水尾天皇だそうです。

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こちらは久能山東照宮。写真ではわからないけど、見晴らしサイコー。

 

この二つを二大東照宮とだけ言っていればそれでいいと思うが、どうも日本人は「三大●●」にしたくてたまらないらしく、全国各地の東照宮が「我こそは三つめの東照宮」と名乗りをあげているらしい。

…狭い世界で、狭い争い…。

いいじゃん、2つでも…。

 

そのうちの1つが、我がG県にある。その名も「世良田東照宮」。

この名を聞いてぴんと来る人はかなりの家康ラヴァーであろう。

このあたりには「徳川」という地名があり、「徳川家発祥の地」とされているからなのだ。別に、現代の地元民が「うちの地名、将軍家と同じじゃん!だから、ここが発祥の地に違いねえ!」との薄い根拠で、発祥の地を名乗っている訳では無い。家康自らが、この地を発祥の地としたのだ!

 

司馬遼太郎が考えたこと」は歴史小説の大家、司馬遼太郎の論評やエッセイなどの雑記を集めたものだが、その中に収録されている「徳川家康」という文章の中で、家康の祖先に触れている。

 

家康の数代前、北国のほうをうろうろしていた乞食坊主が、松平郷にやってきた。(中略)

その男も、松平郷の松平家に長逗留していたが、やがて当家の後家さんとできてしまって子がうまれた。(中略)

その子が、家康の祖である。(中略)

家康はえらくなってから家門をかざるために「じつはその乞食坊主が新田義貞の子孫であり、従ってわが家は源氏の名門になる」などというようになった。

 

世良田東照宮のホームページの由緒によると、その新田義貞の子孫は、新田(徳川)義季。その後、9代目の親氏の代に、領地を追われて出奔。これが、司馬遼太郎のいうところの「うろうろしていた乞食坊主」のようだ。(婿に入り、松平親氏と称する)そして、その7代後が家康だそうだ。

 

遠いな…。

無理矢理感、半端ね~。

まあ、当時の人も、現代の人も(多分家康本人も)、信じてないね。

司馬氏も「そういう家ではない」と言い切っている。

しかし、徳川家の皆さんはそうも言っていられないようで、家光くん&天海僧正ペアにより、1644年に日光東照宮からの遷宮が行われ、世良田東照宮が誕生したとのこと。家光くんにとってもご先祖の地だしね…。

一応、由緒正しいので、世良田東照宮は「三大東照宮」を名乗っている、ということなのだ。(何でも、久能山と日光を一直線に結ぶ位置、云々もHPには書いてあったけど、私、そういうの好きじゃ無いな…

 

世良田東照宮には数年前に参拝した。

二大東照宮に比べると明らかに格が違いすぎるが、まあ、G県の片隅にしてはそこそこ立派。

御駕籠の顔はめパネルが楽しかった…。(日光東照宮にも久能山東照宮にも顔はめパネル、結構あった…。東照宮一門、顔はめ好き…??

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前の駕籠かきさん、辛そう…。顔を出す部分はカットしました。写真を見返したら、これしかなかった…。

 

これで、私は三大東照宮を制覇したことになる。

わーい!嬉しい。

なんだろう。やっぱり、私も日本人だから「三大●●」がしっくりくるのよね。代表選手は3人まで!

しかし、他にも三大東照宮の名乗る神社はある…。

それどころか、日本国内には他にも100を超える東照宮があるのだ。

うーむ、一生かかってもすべてに参拝するのは無理だな。いや、コンプリートを目指す気はさらさらないけど!

 

江戸時代には、東照宮は500社とか700社とかあったらしい。

やっぱり、徳川家康のご威光はすごいな~。

司馬氏は、家康は「だまさない人」だと言う。

天才ではないが、義理堅さ、律儀さがすぐれていて、この性格に対する信用が天下を取らせた、としている。

しかし、晩年の「まるで死にものぐるいのように秀頼をいじめ、だまし、ついにその家を覆滅した」ことから「たぬきおやじ」になってしまった、と同情する。

 

東照宮にはだいたい、「家康公遺訓」が掲げてあった。

(遺訓自体はどうやら偽物の疑い濃厚らしいが…)

 

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。

 

確かに司馬氏のいう「だまさない人」らしい、堅忍質直などっしりとした貫禄を感じるお言葉。

どんな人物だったのか、今となってはもうわからない。ただ、推測するだけ。

最後に行った、久能山東照宮で、富士山を眺めていたら、「徳川家康という人がいて、ここに眠っているんだな~」という妙な実感が今更湧いてきて、なんだか不思議な気分だった。

歴史と現代は地続きなんだな~。

 

ちなみに、司馬氏によると、徳川家先祖の乞食坊主は隣村の酒井家の後家さんともできて、子どもがうまれた。その子は徳川家の譜代大名の筆頭になった酒井家の祖だそうだ。

…世良田東照宮は、酒井家の発祥の地でもあるね…。

 

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御朱印ゲットだぜ!

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 浜松城にいた徳川家康。出世前なのかな…?

 

司馬遼太郎が考えたこと〈2〉エッセイ1961.10~1964.10 (新潮文庫)

司馬遼太郎が考えたこと〈2〉エッセイ1961.10~1964.10 (新潮文庫)

 

 「徳川家康」は2に収録。