睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「和宮様御留」有吉佐和子

和宮様御留 講談社文庫 660円(税込み)  

貧福 貧福 貧福……」  

とつぶやきながら、毎日、職場の長い廊下を往復している。  

なぜならば、最近、万歩計を付けているからだ。ピ●チュウのヤツ。ピカちゃん、意味もなく「ピカッピカッ」と鳴いてかわいいの。  

毎日、あまりにも動かないので、一体どのくらい歩いているのか計測してみようと思って。  

計測の結果、ごく普通に家と職場の往復で終える日の歩数はおよそ3000歩と判明!  

3000か……。事前の予想よりは歩いているような気もするが(予想低すぎ?)、運動量としてはかなり低いんだろうなあ……。  

これでは、あまりピ●チュウとお友達になれないかも……。くそう、ピカちゃんとラブラブになりたいよう!  

それなので、仕事前の朝、職場の長い廊下をひたすら往復することにしたのだ。  

100メートル近くある廊下をだいたい5往復。それだとほぼ1000歩くらいになるの。たいして時間もかからない。10分弱。  

うーん、マンダム。我ながら、ナイスなアイデアだ。  

ただ歩くのではつまらないので、「和宮様御留」で紹介されていた、幕末の公家の間で行われていたという呪い(まじない)を実行することにした。和宮生母観行院の兄橋本実麗(さねあきら)が作中で、こだわりまくっていた呪いだ。  

それが「貧福 貧福……」である。  

左足が「貧」右足が「福」。  

歩き始めや門とか扉なんかに入る一歩目が「貧=左足」だと縁起が悪い、というよくわかんない呪いだ。  

ちなみに「ひだり」の「ひ」が「貧」につながるからだそうだ。  

うーん、そのあたりもよく分からん。なんでこんな妙なもんが……?  

でも、そのわからなさが、公家っぽくて面白い。  

私の愛する東久世通禧(卒論を書いた)もこの迷信を行っていたのかしら?うふ。ステキ。  

江戸期の公家はやること無し、お金もなし。あるのは古さばかりなり。なので、不思議な迷信をみんなこぞって実行してしまうんだろうなあ。真面目だ。    

あ、でも、子どもの頃「お墓の前を通るときは親指を隠して通らないと、悪いことが起きる」なんてことを言われ、真剣に親指隠してたよ、私!  

別に公家じゃなくても、現代でもこういうのってけっこう生きているのかも。都市伝説!  

「夜に口笛を吹くと蛇がでる」とか。(ちなみに我が家では「夜に口笛を吹くと泥棒が来る」と教えられてました。リアルだ……。どこで間違ってしまったんだろう?)  

 

まあ、それはともかく、私が実行している「貧福歩行法(仮)」を簡単に説明したい。

まず、当然のことながら、歩き出しは「福=右足」である。扉や敷居などをまたぐときは必ず「福=右足」でまたぐことに留意する。  

そのまま歩き続け、折り返し地点に到着するときは、「貧=左足」の足を軸に体を回転させる。  

方向転換が終了したら、回転時浮いている「福=右足」で第一歩を踏み出す。  

このパターンならば、間違いなく、「福=右足」で第一歩を踏み出すことができるのだ!すごいぜ、私!ふはははは!「貧福ターン」と名づけようかな~。うふ。あ、くだらないですか……?くだらないかもね……。  

ちなみに、歩いているときは「貧福 貧福」をぶつぶつとつぶやきつつ歩く。つぶやいてないと、とっさの時(どんな時だ?不明)に対応しきれないのだ。  

はたから見たら、すっごい変な人だ、私……。ただ、ひたすら廊下を歩いているだけでも変な人なのに、訳の分からん呪文みたいな言葉をつぶやいているのよ!  

どうしよう、密かに「魔女」というあだ名をつけられてしまったら!いや、それはそれでいいか。キキとかハーマイオニーみたいだし。ちょっと違うか?  

それ以上に、職場の人に「宗教じゃないです!」とはあらかじめ言っておかないとダメかしら?「貧福教」教徒だと思われたらまずいな。  

こんな危険をはらみつつ、私は毎日コツコツ歩いているのだ。ピ●チュウと仲良くなるために!いや、違った!自らの健康のために!  

そして、「貧福歩行法(仮)」により、私の運気を上昇させるために!  

しかし、こんだけ気をつけているのに、全然運気が上昇していない気がする……。  

おかしいなあ。カモン!福!