「千住家にストラディバリウスが来た日」千住文子
新潮文庫380円
買いました。年末ジャンボ宝くじ。
今年は「当たりますように」というダルマが描かれた綿棒をもらい、何だかものすごく当選率が上がった気がする。
ありがとう、ジョ●ホー宝くじ売り場の人!
もし、2億当たったらどうするのか?(バラ買いなので前後賞無しの計算)
私の答えは決まっている。
「ストラディバリウスを購入する」である。どーん!!(効果音)
数年前までは「電子顕微鏡(2億円くらい?)を購入する」と答えていたが、ちょっとアカデミックな方向に修正。(ちなみに電子顕微鏡のお値段は「動物のお医者さん」で知りました)
どうせあぶく銭。ぱ~っと使うのが一番良いわ!
それも、ほとんど無意味(でもモノは残る)、と思われることに使いたい!
大馬鹿者。
でも、いいの。2億円が一体いくらなんだかよくわかんないし。(2億円は2億円だよ!というツッコミはいりません)
ちなみに私はヴァイオリンを弾けない。せいぜいさわったことがある程度。
うーん、ますます無意味だ。
でも、購入したストラディバリウス(長いので以下「ストラちゃん」)をお気に入りのヴァイオリニストに弾かせて楽しむってどう?
その対象は、才能はあるがお金はない少年(又は青年)のヴァイオリニストであることは言うまでもない!
そう、たとえて言うなら、竹宮先生「変奏曲」のエドナンみたいな少年がベスト!
エドナンに「君の好きな曲を弾いてごらん。そうだね、サン=サーンスなんかがいい」とか言っちゃえるのよ~!!ろんど・かぷりちおーそっ!!
きゃあ~!!パトロンよ。貴族っぽい!
ヴァイオリニストにとって、ストラちゃんを弾く、というのは、そりゃもう大変!なことらしいのだ。
ヴァイオリニスト千住真理子の母千住文子が書いた「千住家にストラディバリウスが来た日」を読むとその「そりゃもう大変!」さが良く分かる。
千住真理子は3番目の試奏者として、幸運にもストラディバリウスの名器デュランティを購入するチャンスが巡ってきた。
でも、千住家にはお金がない!
千住母曰く「うちのような一般家庭にはそんなお金はないのでした」とのこと。
いや、千住家、一般家庭では無いと思うけどね。大学教授の家だから……。
そもそも「お父ちゃま」「お母ちゃま」と呼ばせるところからして一般家庭ではない。
でも、まあ、それはいい。確かにハイソではあっても、大学教授クラスだと、何億ものお金をぽーんと出せるほど、お金があるとは思えない。
そこから、千住家一丸となっての奮闘が始まる。
何故か「真理子にストラディバリウスを買わせるためには、家族が一つにならなければいけない!」という精神論に、兄二人も同調してしまうのだ。
うーん、さすがは千住家。
で、家族が一つになってどんな荒技でストラちゃんを購入したかというと……
普通に真理子氏がお金借りて買いました。
あ、そうですか。意外と普通ですね。
私は家族一丸となったら、貯金を出し合ったり、家を売ぱらったり、兄のまだ制作していない絵を画廊とかに売る約束をしてお金を貸してもらったり……という感じの必死の金策があったもんだと思っていたのに……。そんなの全然ない。
億単位のお金を借りるのは確かに大変だとは思うけれど、ぶっちゃけ、画家の兄と作曲家の兄とヴァイオリニストの本人の力をもってすれば、そのくらいのお金、返せると思うので、案外苦労してないんじゃないかな……と勘ぐってしまうのは、私が世間の荒波やら、芸術家の実生活をよく知らないから?
いや、待てよ。
もしかすると、そのストラちゃんは、私が思っているより遙かに高額なのかもしれん……。
私が宝くじの当選金2億円を持って「ストラちゃん下さい」と言ったら「ふっ……この金額で?」と鼻で笑われちゃうくらい……。
だから、千住家は一丸となって「真理子に金を貸してやってください!」運動を繰り広げなくてはならなかったのか!?当然、兄二人が連帯保証人だよな。
千住母はお上品なので、一体デュランティがおいくらで、真理子氏がどこからどんだけ借金をしたのか、という生々しい話は一切お書きにならないのだ。
正直、この本を読み終えての一番の感想は、これにつきる。
「で、一体いくらだったのよ?」
……すみません。俗物で。
でも、宝くじをつぎ込む夢をもっている私には切実な問題なのよう……。