睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「ボクの町」乃南アサ

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うおおぉぉやっちまった!いや、やられちまった!  

警察に捕まってしまったのだ~!  

いや、別に私は犯罪を犯して逃げていたわけではない。  

「……ふっ、時効まであと3日だったんだが……所詮、悪いことなんて、できねえもんですね」なんて状況ではなく、単にスピード違反で捕まったのだ。  

免許を取って、早●●年。(年がばれますね)初めての屈辱だ。  

ピカピカのゴールドだったのに~!  

今日、私は仕事で銀行に行く用事があったので、車を走らせていた。  

沼のほとりの直線道路。気候はさわやかで、開けた窓からはほどよい風。  

自然とスピードも上昇。  

鼻歌も出ちゃうよ~ってな具合でハンドルを握っていると、突如、目の前に警察官が現れて、大きく手を振っているではないか!  

脇を見ると、車が何台か止まっている。  

あれ?なんか事件でもあったのかしら?それで、私に「昨日、この場所を通りませんでしたか?事件の犯人を追っているんです」なんて質問するのかな~?などと暢気に思う私。(前に一度聞かれたことがあったので。痴漢の捜査だった)  

……つくづくアホだ。平和ボケしてるんだな……。  

ごくごく素直に車を止めた私に向かって警官は「スピード出過ぎです。免許証持って、前のワゴンに行って」と宣ったのだ!  

のおぉぉ~!  

私は善良な市民として、犯罪捜査に協力しようとして、止まったのに~!  

気分よく走っていただけに、反動で怒りがふつふつと……。  

そりゃ、制限速度よりは出てたけど!でも!……くうぅぅ……言い返せないぞ!  

結局、18kmオーバーで12,000円の罰金を科せられたよ……。  

けっ銀行に行く途中だったから、即座に銀行で払ったさ。丁度良かったわ~(強がり)    

それにしても、どうしてスピード違反で捕まるとあんなに悔しいのか。  

私の他にも数人同士がいたが、皆一様に仏頂面。  

そうだよな!悔しいよな!同士よ……。この怒りを共に分かち合おう……。  

さあ、一緒に叫ぼう!(心の中で)  

くそーっ警官たちめ!  

何してくれんのよ~!しかも、高いお金ふんだくりやがって!不祥事バンバンおこしてるくせによ~!アホたれ~!    

さらに、警官が私の免許を見て「あ、ゴールドだったんだねえ」と暢気に言ったときは、警官に対して殺意を覚えたね、私は!  

そうよ!私、あと2ヶ月くらいで更新だったのよ~!  

「1点だから、3ヶ月で消えるけど、更新には間に合わないね」とさくっと言いやがって~!  

くうぅ!更新時にあの講習を受けねばならんとは!何て間の悪いときに捕まったんだ、私は!自分に対するふがいなさに涙が出そうだぜ!    

 

警官に対する憎しみで真っ黒に染まった私だが、普段は警察に対して、わりと好意を持っている。  

乃南アサの「ボクの町」なんかに出てくるように、警官って、日々、市民のためにコツコツ働いているのだ。  

道を教えたり、落とし物を預かったり、ケンカの仲裁をしたり。しかも、土日も正月も関係なく、24時間いつでも開店だ。警官って大変だよな~と思う。  

もっとも「ボクの町」の新米交番警官の高木くんは、警察手帳にプリクラを貼っちゃうような今時の若者で、先輩たちに怒られてばかりなのだが……。  

そんな高木巡査が、だんだんと警官としても、人間としても成長していく姿は、大変さわやかで、読んでいて楽しい。  

警官だって、普通の人で、「税金高いんだよ~!」と給与明細を見てぼやくし(それは私か……)「助さん、角さん、格好いいぜ!あの奉行、悪い野郎だな!やっちまえ」と水戸黄門を鑑賞するだろう。  

そういうごく普通の人たちが、日々町の安全を守って働いているんだな~と改めて感じさせてくれる本だ。  

警察って特殊な組織じゃなく、身近にあるもんだよな、と安心感を感じたりもしたのだ。  

が、しかしである。  

自分が捕まると、そんな感情は瞬時に地平線の彼方へひとっ飛びだ。  

警察、許さん!」と怒り心頭に発する私……。  

修行が足りません。公共のルールを破ったのはワタクシです。  

暑い日も寒い日も、外での取り締まり、ご苦労様です。体に気を付けて、がんばって下さい。  

でも、私の車は捕まえないで……。