睡紫庵文庫

身辺雑記をまじえた読書雑記です。

「さむがりやのサンタ」レイモンド・ブリッグズ

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 私の母は嘘つきだ。  

子どもなら誰もが抱く代表的な疑問「サンタさんは本当にいるの?」という私の問いに  「実は本物のサンタさんがプレゼントを配っているわけではないのよ。本当のことを言うと、かわりに「日本サンタ協会」という組織があって、親がそこにいくらかお金を払うと(この辺現実的)サンタさんに代わって、プレゼントを配達してくれるのよ。ちなみに配達に来るときは赤い服で来るのよ(←ピザーラみたいな感じか……?)」  

と答えていた。  

あまりに現実味があって凝った嘘だったため、私は中学生くらいまで、真剣に信じていた。  

「親がプレゼントを持ってくるところを見たっていう子は、サンタ協会さんはさすがに枕元まで配達してくれないので、玄関からは親が運ぶからよ。または、サンタ協会に入ってない家は親が買っているのかもね」  

などという理屈にあった嘘も展開。  

100人子どもが居たら、95人はこの嘘信じるよな~。  

(全国の悩める親御さん。この嘘を是非、お宅のお子さんに伝えて下さい!)  

なので、「サンタなんていないって」と言い出す友達に「いや、サンタ協会があるんだよ!」と真剣に言い返していた。  

実は、しっかり大人になった今日でも「もしかしたら、サンタ協会って本当にあるのかも……。だって、サンタに手紙出すと、返事が来る、というサービスあるよな……」と思ったりもする。  

ちなみに、昨年、テレビのニュースで「サンタさんが日本にやってきました」というものがあって、飛行機の窓からにこやかに手を振る白髪+白髭ヅラをつけた日本人(どう見ても日本人だった……)の映像に私は絶句したよ……。  

せめて、西洋人にして欲しかった……。  

でも、あのイベントを主催したのは「サンタ協会」なのかもしれない……とまたもや勘ぐる私。  

ああ、母の嘘の後遺症は深い……。  

ちなみに、母は「赤ちゃんはヘソから生まれてくる」という嘘もついていた……。  

「へその緒はどうなっちゃうんだろう……?」と真剣に考えた時期があったよ……。  

狸だ!うちの母は狸だ!  

それにしても、どうして大人は子どもに「サンタクロースは存在する」と信じさせたいのか?  

だまされる子どもの姿を見て、「子どもって純粋でいいなあ」と思いたいからなのかしら?  

それとも、そういう夢のある世界を自分もどこかで信じたいからかしら?  

私なんか、信じたい、という典型だな……。まだ、サンタ協会に望みをつないでいるし。  

 

「さむがりやのサンタ」は私が「サンタ協会」にだまされる前に、純粋に信じていたサンタクロースの姿そのままだ。  

一年に一度のその日に、例の赤い服を着込んで、トナカイの橇に乗って、子どもたちにプレゼントを配る。  

「サンタさんへ ご自由にどうぞ」なんてメッセージのついたブランデーに「よろしい!」とご満悦になったり、「なんて寒いんだろうね、まったく」と愚痴をこぼしたりする。  

サンタクロースのくせに……人の家でブランデー飲んで、くつろいじゃいけない気もするけど……。  

人間味あふれるサンタクロースで、とにかく愛嬌たっぷりの素敵なおじいちゃんなのだ。  

このサンタさんは、自分のうちの隣に住んでいるかもしれない、なんて思ってしまうような感じだ。    

このサンタさんは多分、ロンドン担当サンタさんなので、日本は遠すぎてこれないんだろうな……。

だから、「サンタ協会」が日本では代理でがんばっているんだろうな……なんて。  

いや、待てよ。実はこのサンタクロースも「サンタ協会 ロンドン支部」の委託を受けた「サンタクロース資格保持者」で、普段は普通のおじいちゃんとして生活しているのかも……。  

そうだったらいいなあ。まだ、あきらめきれない私。  

でも、この発想は夢がないわ……。つまらない大人になっちまったな、自分……。  

 

余談ですが、私はこの絵本の英語版も持っている。(どこかの本屋でたまたま発見したので、即買いしました)  

タイトルは「Father Christmas」。そのまんま「サンタクロース」だ。  

その時初めて「へー、英語ではこう言うんだ」と知った。うーん、勉強になったなあ。  

中の英語も子ども向けなので、とても簡単で、英語教育にも向いているかもしれない。  ちょっとクリスマスの話題は早すぎましたね……。  

今日はハロウィンなのに……